スイスで、障がい者に広範な自己決定権を認める「インクルージョン・イニシアチブ(国民発議)」が国民投票にかけられる見通しだ。車椅子生活を送る障がい者2人に「自立した生活」について聞いた。
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発起人によると、スイスに暮らす障がい者は約170万人――住居や職場、公共交通機関など、日常生活で多種多様な差別を受けている。「インクルージョン(包摂)・イニシアチブ」は国と州に、生活のあらゆる面で健常者との平等を保障する法的措置を要求する。
スイスは2014年4月、2006年に国連で採択された「障がい者の権利に関する条約(障がい者権利条約)」を批准した。これにより、「障がい者が直面する障壁を取り除き、障がい者を差別から守り、社会へのインクルージョンと社会での平等を促進」する義務を負う。
だが、イニシアチブを支持する障がい者の権利擁護団体は、スイスはこのような義務を十分に履行していないと批判する。これらの団体には、Agile.ch外部リンク、アムネスティ・インターナショナル・スイス外部リンク、インクルージョン・ハンディキャップ外部リンク、タートクラフト外部リンクが含まれる。
どこで、どう暮らすか
イニシアチブは、支援を必要とするかどうかにかかわらず、障がい者自身が住む場所やライフスタイルを選択できるよう求める。「ヘルパー支援を受けながらの一人暮らし」制度はすでにあるが、これでは不十分だという。
だがイニシアチブは、自宅での支援の充実に必要な財源を示していない。保守系政治家の一部では早くも財政不足を懸念する声が上がっている。
ドイツ語圏のスイス公共放送(SRF)が、異なる環境で車椅子生活を送る障がい者2人に「自立した生活」に対する考えを聞いた。
英語からの翻訳:江藤真理、校正:上原亜紀子
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