EURO2008 退屈と波乱の準々決勝
6月19日から22日まで、準々決勝4試合がバーゼルとウィーンで行われた。全体的に慎重なゲーム運びでハイライトの少ない試合が多く、3試合が延長戦に、また2試合がPK戦にまで持ち込まれた。準決勝に進んだのはドイツ、トルコ、ロシア、スペインと、予想を大きく裏切る意外な顔ぶれとなった。
これまで開催地では雨が多かったが、予選リーグが終了した途端に天気は好転。昨日の日曜日は各地で30度を上回る夏日となり、これまで閑散としていたファンマイルにも大勢の人が訪れた。
本命チームの脱落
6月19日にバーゼルで行われた準々決勝第1戦はポルトガル対ドイツ。ドイツ代表のヨアヒム・レーヴ監督は、その前の対オーストリア戦で第4審判と口論し、それが原因でオーストリア監督とともに主審から退場を命じられた。そのため、レーヴ監督はこの日の試合もボックスシートからの観戦となった。
試合は20分が経過するまで両チームとも守りの体勢で進んだが、そのあとドイツのポドルスキーとシュヴァインシュタイガーの名コンビが先制点を決めた。最終的には2‐3とポルトガルも食い下がったが、試合ごとに調子を上げてきているドイツに追いつくことはできなかった。
翌20日、ウィーンで行われたクロアチア対トルコの試合も見どころの少ないスタートとなった。0‐0のまま延長戦に入り、終了間際の119分にやっとゴールを決めたのはクロアチア。勝負は決まったかに見えたが、ロスタイムにトルコが劇的なゴールを入れて、試合はPK戦に持ち込まれた。
PK戦ではクロアチアのラキティッチとペトリッチがゴールを逃し、結局2‐4で準決勝進出を手にしたのはトルコだった。トルコは本大会で驚異的な粘りを何度も見せている。欧州大会決勝進出はこれが初めてだ。ゴールを決められなかったクロアチアの2人はいずれもスイスで育っているが、21歳になる前にクロアチア代表としてプレーする方を選んだ。
準々決勝の中で最も見応えがあったのは21日に行われたオランダ対ロシア戦。若いロシアのチームは、強豪オランダに押されながらも後半56分に先制点を決めた。オランダもよくねばり、86分に追いついて延長戦に持ち込んだ。勢いづいたロシアには何度も大きなチャンスが訪れ、ついに112分2点目のゴールを決めた。そして4分後にまた1点。
トルコとともにこれまで予想外の活躍を見せたロシア代表。監督を務めるヒディンク氏はオランダ人だ。オランダ代表監督として1998年フランスW杯でオランダをベスト4に、韓国代表監督として2002年日韓W杯で韓国をベスト4に、またオーストラリア代表監督として2006年ドイツW杯でオーストラリアをベスト16に導いた名監督として知られる。そして今回、ロシアを20年ぶりにベスト4に導いたというわけだ。
準々決勝最後の試合はスペイン対イタリアの南欧同士の対決だった。だが、両チームともリスクを犯さず慎重な守りの体勢。ボールはほとんどゴール前まで達しない。スピード感に欠ける元気のない試合運びで得点もハイライトもないまま0‐0で90分が終了。延長戦に入るとすぐ両チームともにゴールのチャンスを得るが、得点には至らずPK戦へ。最終的に4‐2でスペインがイタリアを振り切った。この試合でスペインは88年ぶりにイタリアを破り、欧州選手権準決勝には24年ぶりに進出することとなった。
昨夜で4強がすべて出揃った。準決勝は6月25日にドイツ対トルコ ( バーセル ) 、翌26日にロシア対スペイン ( ウィーン ) の試合が催される。本命と目され、予選リーグで活躍したチームはすべて脱落した。前回のポルトガル大会でギリシャが優勝したように、今年もまだまだ波乱が待っているもしれない。
swissinfo、小山千早 ( こやま ちはや )
6月19日 ポルトガル‐ドイツ 2‐3
6月20日 クロアチア‐トルコ 1‐1、PK戦2‐4
6月21日 オランダ‐ロシア 1‐3 ( 延長戦 )
6月22日 スペイン‐イタリア 0‐0、PK戦4‐2
6月25日 ドイツ‐トルコ ( バーゼル )
6月26日 ロシア‐スペイン ( ウィーン )
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