リビア「とにかく情報を外へ」

コンピュータ、電話、そして努力を惜しまぬメンバーたち。「代替通信社」にはこれだけあれば十分 swissinfo.ch

スイスに住むリビア人から成る小グループが、検閲の目を逃れ、全体主義国家の母国で今、何が起こっているかを伝えようとしている。

このコンテンツは 2011/02/24 15:00
エティエンヌ・シュトレーベル, swissinfo.ch

検閲、電話やインターネットの利用制限、記者の立ち入り禁止、マスコミを操作する政権。このような中、リビアで目下何が起こっているかを誰が正確に伝えられるだろうか。

回線は使用可能

厳密な答えはサレー・マグドゥブさんにもできない。1995年にリビアからスイスに逃れたマグドゥブさんは、「リビアで何が起こっているかを世界に伝える」ため、数人の仲間とともにフィルターのかかっていない情報を母国から引き出そうとしている。

亡命リビア人たちが集めた情報の糸は、ソロトゥルン州オルテン(Olten)市の町外れにある寂れた工業地域の一角に集まる。リビアの混乱がエスカレートする間に、グループの活動も定着していった。

「何人かはすでに以前から人権団体で活動していた。現在、人権分野で仕事をしている人もいるし、報道関係で働いている人もいる」

情報は電話やインターネットを通じて収集する。回線は全面不通ではないという。当初は仲間や親戚などから話を聞いていたが、今では状況が悪化している地域にネットワークを広げることができた。

リビアは情報操作が日常化している国だ。マグドゥブさんたちはそのこともよく承知している。

「同胞のことはよく知っているし、信頼関係が出来上がっている。こちらからは具体的で正確な表現を使って尋ね、可能であれば複数の人に同じ質問をする。このようにして情報が正しいかどうかを確認している」

また、回線が不通になったときのために、先日リビアの首都トリポリにいる仲間に衛星電話を送ったところだ。

中立のニュースを

「騒乱が始まってすぐの数日間、リビアの中立的なニュースを流していたのはほぼわれわれだけだった。われわれが発信した出来事はロイターも報道していた。ロイターがうちの情報を利用したのか、同じ出来事を知らせたほかの誰かの情報だったのかは分からないが」

だが、マグドゥブさんにとって情報源の究明はさほど重要ではない。

「母国で起こっていることを世界に知ってほしい。みんな、自分の意思でやっているだけ。金儲けをしたいわけではない。大切なのは情報が外に出ることだ」

と語る。

収集した情報はメーリングリストを通じて外に流す。これまでの経過は順調で、例えばスペインに住むリビア人は受け取った情報をツイッターで流したりもしている。

「メジャーなマスコミがあまり関心を持たないような小さな情報も流したい。われわれリビア人にとっては、それも重要なのだから」

非軍事国家へ

マグドゥブさんは16年前にスイスへやってきた。今では知り合いもたくさんいる。

「リビアの政治形態はスイスのようになるべき。誰もが自分の国で個人の自由を享受しながら生活できるようになる。これがわれわれの目標だ」

と言う。

また

「カダフィの息子は、現政権が崩壊したら過激派が権力を掌握すると脅してヨーロッパを不安に落とし入れているが、そんなことはない」

とセイフ・アルイスラム・カダフィ氏に異を唱える。

「リビアやアラブ諸国に住む人々の大半は非軍事国家への移行を期待している。誰もが自分の宗教の中で生活を営めるべき。大切なのは、人々が互いに寛容であり、法律が存在することだ」

カダフィ大佐の時代はいつ終わりを迎えるのだろうか。

「今日、終わるかもしれないが、カダフィはおそらく最後の最後まで闘うだろう。世界が応援してくれれば、その最後の時が訪れるのもそれほど遠いことではないだろう。無援であれば時間がかかり、何よりもさらに多くの血が流れるに違いない」

カダフィ一族の資産凍結

スイス政府は2月24日、スイスにあるカダフィ大佐所有の不動産の売却を即刻全面禁止した。また、カダフィ一族やリビア経済界の代表者の資産も即刻凍結した。

スイス国立銀行 ( スイス中銀 ) によると、スイスとリビアの外交危機以前、リビアはスイスに約57億フラン ( 約5042億円 ) を預金していた。両国の衝突後、預金額は6億3000万フラン ( 約557億円 ) に減少したという。

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サレー・マグドゥブさんの略歴

1967年生まれ。

1995年にリビアからスイスに亡命。

1998年に難民として認められる。

既婚。子ども6人。

機械工学を学び、現在は遠距離通信会社にネットワーク技師として勤務。

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スイスとリビア

トリポリのスイス大使館には46人のスイス人が滞在を届け出ている。ほとんどは二重国籍者。

テクノロジーコンツェルンのABB社はリビアで業務を展開しているスイス企業の一つ。

スイスとリビア間の貿易は、過去数年間の政治的緊張が原因で減少。

2010年8月までのスイスからの輸出総額は1億フラン(約88億円)を割った。連邦経済省 ( EVD/DFE )の調べによると、2008年全体の輸出総額は約2億8000万フラン(約247億円)を上回っていた。

輸入も減少の傾向にあり、同時期で約33億フラン(約2919億円)から4億フラン(約354億円)弱に激減した。

取り引きの対象となっているのは主に機械、時計、医薬品、農産品。

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