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レッツィグルンド・シュタディオン チューリヒの陸上競技場 新しい高性能トラックで世界新記録なるか

過去にいくつもの新記録が出たチューリヒのレッツィグルンド・シュタディオン。今夏開かれる陸上競技大会に向け、スイスの企業コニカ(CONICA)がトラックの新舗装を手掛けた

(Conica)

チューリヒの陸上競技場、レッツィグルンド・シュタディオン。これまで何度も世界記録が打ち立てられてきたこの競技場で、この夏、再び新記録が出るかもしれない。重要な陸上競技大会を前に、新しく高性能舗装材を用いたトラック(周回走路)が整備されたからだ。ただし、その性能を存分に生かすためには、新トラックに適したスパイクが必要かもしれない。

 レッツィグルンド・シュタディオン他のサイトへ(Stadion Letzigrund )は、過去数十年間で短距離走などの世界記録が25回樹立された「魔法の」競技場として名が知られる。しかし、最後の世界記録(女子棒高飛び)が出たのはもう5年も前になる。

 今年は8月12〜17日にヨーロッパ陸上競技選手権大会他のサイトへが行われ、その11日後には世界最速の男、ウサイン・ボルト選手が出場するヴェルトクラッセ・チューリヒ陸上競技大会他のサイトへ(Weltklasse Diamond League)が控える。それに備え、80万フラン(約9036万円)をかけてトラックの再舗装が行われた。

 「このような舗装を施したトラックは、今年はここだけだ」と、両大会運営委員会のパトリック・マグヤー会長は話す。新しい舗装が選手たちのパフォーマンスの向上とけがの防止に役立てばと期待している。

ニッチ市場のリーダー

 再舗装の設計を手がけたのは、スポーツ舗装材メーカーのコニカ(CONICA)他のサイトへ社だ。スイス北部のシャフハウゼン市郊外の工業団地内にひっそりとある同社は、チューリヒの新しいトラック素材の開発に数年をかけた。スポーツ科学者や運動選手と緊密に協力していると、ウルリッヒ・ダウム社長は話す。

 ダウム氏は自身の名前入りの安全ヘルメットをかぶり、Tシャツの上から腕の保護カバーをつけて、同じ装備をした記者にトラック素材を製造する化学工場内を見せてくれた。巨大なタンク内では化学物質がかき混ぜられていた。屋内スポーツ場の舗装用素材や、工場の床材もあった。タンクの具合をモニタリングしたりフォークリフトでタンクを動かしたりしている作業員たちは、社長が通りかかると朗らかにあいさつした。

 地味に見えるコニカだが、実はグローバル企業で、昨年の売上高は6500万フラン、社員は120人だ。レッツィグルンドの高性能舗装が目下の大型プロジェクトとなっている。

 再舗装作業は7月に完了したが、ひやりとした瞬間もあったという。トラックの敷設と硬化前は24時間雨が降ってはいけないのだが、スイスはこの7月大雨に見舞われた。幸い、ある程度の時間雨が降らないでいてくれたので、「大惨事」は回避された。

 鮮やかな赤のトラックの主な素材は、自動車の座席用スポンジなどにも使用されるポリウレタンだ。

 コニカの広報によると、トラックを舗装するには技術的な要件をクリアしなければならない。さらに、国際大会を開催するには、国際陸上競技連盟(IAAF)によるトラックの認証を受けなければならない。しかし、使用する素材に関しては規定がないという。

 再舗装の第一の層は軟らかくクッション性があり、踏み込んだ時のエネルギーの一部が走者に戻るように設計されている。第二の層はそれより硬く、選手の推進力を向上させ、安定性を高める。

より速く、より安定した走りに

 新舗装のテストはドイツのケルン体育大学生物力学・整形外科研究所他のサイトへと協力して行った。「測定によると、選手のエネルギー損失は1割程度減少した。この舗装が物理的に優れている証拠だ」とダウム氏。

 トラックに大きな重量と力をかけて走行する男子には、このトラックは特にメリットがあるという。しかし、従来のトラックと比べて硬めにできているため、短距離走者はまずこのトラックに慣れなければならないことがわかった。体重の軽い女子は、表面衝撃を強くするために、より鋭いスパイクをつけたシューズを履くとよいが、そうしたシューズは男子にも役立つ可能性があるという。

 レッツィグルンドの練習用トラックをテストしていた女子選手たちは、新しい舗装の硬さにまだ慣れていないとスイスのテレビ取材に答えた。しかし、そのときの測定では選手たちの走るスピードは上がっており、要となる足首とひざの関節の安定性が向上していた。関節が安定すれば、短距離走でのけがのリスクが軽減される。

 男子棒高跳びの世界記録保持者、フランスのルノー・ラビレニ選手他のサイトへもトラックのテストに参加した。5月に行われたヨーロッパ陸上競技選手権記者会見の席で、トラックについて「強く、あまり軟らかくないようなので、高く跳ぶには適していると思う」と話した。もちろん、競技を行うまでは確かなことは言えないとした。

世界新記録なるか?

 では、ヨーロッパ陸上競技選手権大会で世界記録が樹立される見込みはあるのだろうか?ヴェルトクラッセ大会でのボルト選手はどうだろう?

 「トラックが話題にはなっているが、走るのは選手であってトラックではない」と、ダウム氏は微笑を浮かべる。「記録が出ればいいと思っている。純粋にトラックの物理面からいうと可能ではあると思うが、6〜7割以上は選手の力だ」

 では、今期をもってヴェルトクラッセ大会の運営委員会会長を退くマグヤー氏の希望はどうだろう?「もちろん、華々しい幕引きになればと願っているよ」

二つの主要陸上競技大会

ヨーロッパ陸上競技選手権大会(8月12〜17日)

50カ国から1万4千人の選手が出場し、47組のメダルが授与される。観客数は1日2万5千人、テレビ観戦者数は3億7千万人と予想される。

ヴェルトクラッセ・チューリヒ陸上競技大会(8月28日)

トップレベルの有名選手としては、シェリーアン・フレーザープライス(ジャマイカ)、デービッド・ルディシャ(ケニア)、ウサイン・ボルト(ジャマイカ)が出場。観客数約2万人、テレビ観戦者1500万人。

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ヨーロッパ陸上競技選手権大会(チューリヒ2014)

チューリヒ2014とも呼ばれるヨーロッパ陸上競技選手権大会は、チューリヒで8月12日から17日まで開催される。スイスでヨーロッパ選手権が開催されるのは、60年ぶり2度目。前回は1954年にベルンで開催された。またチューリヒ2014は、2008年にスイスとオーストリアで共同開催されたサッカー欧州選手権以来最大のスポーツ大会といわれている。

もちろん、スイスでは他にも大きなスポーツ大会が開催されている。毎年開催されるヴェルトクラッセ・チューリヒ陸上競技大会や、ローザンヌのアスレティッシマには、ウサイン・ボルトのような有名選手が出場する。今年のヴェルトクラッセは、チューリヒ2014のわずか11日後の開催となる。

チューリヒ2014のスイス代表選手団は過去最大の約40人となる見込み。「いろいろな競技で決勝に進出したいと思っている。ヨーロッパ選手権は非常にレベルが高いので、メダルについては予想が難しい」と、スイス陸上競技連盟スイス・アスレチックス(Swiss Athletics)の広報は話す。

チューリヒ市は街の活性化のために、これらの大会に570万フラン(約6億4300万円)を投資した。

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(英語からの翻訳 西田英恵、編集 スイスインフォ), swissinfo.ch

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