スイスの視点を10言語で

ローカル駅の改築進める連邦鉄道

改築第1号のMuntelier駅 swissinfo.ch

スイス連邦鉄道(SBB)は、3億4000万スイスフランを投入し、全国619のローカル線駅の改築を進めている。安全性と利便性を高めるため、19世紀に建てられた木造の駅舎は近代的なガラスのシェルターに変身を遂げている。

改築第1号はフリブール州のMuntelier – L嗹enberg駅。クリスチャン・クレイヒSBB広報部長は、駅舎改築計画は地域鉄道網にとって重要な意味を持つという。「国内の鉄道利用者の80%はローカル線の利用客だ。通勤や長距離線への乗り継ぎのためローカル線の利用率は極めて高い。スイスでは各地域が大変重要だ。鉄道を大都市間の接続手段と見なしてはいけない。」。

新しい駅は、利用客にとって快適で、誰にでも一目で駅とわかるようにデザインされたため、全国619の駅は基本的に同じ構造だ。200社の中から改築工事を落札した建築家ダニエル・メッサーリ氏は、全ての駅に同じ設備を施すが、全く同じではないと言う。「基本的に、レゴのようなものだ。レゴは全て違う形・サイズで建てられる。」。新しい駅はほとんで全てガラス張りで、裏に旅行シーンや赤と青の鉄道カラーのパネルをディスプレーする。基本設備として乗車券の自動販売機、発着情報の電光掲示板を設け、ガラス張りの待ち合い室には時刻表、バス・トラム(市電)接続を標示する。ガラスを多用するのは、落書き予防のためだ。メッサーリ氏は「我々は先ず、利用者に快適だと思ってもらいたい。そして、清潔で安全な使いやすい駅を利用者に提供したい。」と言う。

が、改築後のローカル駅は全て無人駅となる。また、改築第1号のMuntelier – Lowenberg駅には、トイレがない。無人駅についてクレイヒSBB広報部長は、各ローカル駅に駅員を配置するのは、人件費がかかりすぎるという。「人件費を節約しなければやっていかれない。これまでのように国内全ての駅に駅長がいたら、彼等の人件費のためにローカル線をいくつか廃線にしなければならない。」とクレイヒ部長はいう。無人駅にするかわりに、各駅には非常ボタンを設置し、主要駅の駅員と連絡が取れるようにする。そして、ガラス張り無人駅の最大の特徴となるのは照明だ。鉄道利用者が遠くからでも駅だとわかるように、駅のトレードマークの高さ8mから10mの光の柱が建てられる。

年末までに約80の駅が、そして2006年までには619全ての駅の改築工事が終了する予定だ。これだけ多くのローカル駅に3億4000万スイスフランをかけて改築するのは、スイス人の鉄道を愛する心の表れだと関係者らはいう。「スイスの鉄道利用者数は1日80万人、1年で3億人。日本に次いで世界第2位の鉄道利用国だ。」とクレイヒ広報部長は言う。実際、スイス鉄道は欧州で最大の公的財政支援を受けている。今週、全州議会(上院)は、線路、車輌の維持、インフラストラクチャーの改善・開発、既存路線網の拡大のための今後4年間の鉄道予算60億スイスフランを承認した。

swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。

他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部