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ローザンヌから「北京へようこそ」

テラスに建つ中国の塔。赤は中国では、祝いの色だとトロバトさんの解説にあった swissinfo.ch

「ベイベイ、ジンジン、ファンファン、インイン、ニィニィ」は北京五輪の5つのマスコット人形の名前。合わせると「ベイジンファンインニィ・北京欢迎你」で「北京へようこそ」という意味になる。

このマスコット人形が飛ぶように売れているというローザンヌの「オリンピック博物館」主催の「北京2008展」を訪ねてみた。オリンピックを通して中国を理解するという趣旨だが、8月の北京五輪の開催中は大型スクリーンが設置され、北京まで行けない人はここで「ミニチュア五輪」が楽しめそうだ。

サッカーは中国の蹴鞠 が起源

 大気汚染問題、人権問題、チベットの人権侵害に端を発する聖火リレーの妨害など、開催前から批判をよぶ話題でメディアに取り上げられ続けた北京五輪だが、ローザンヌでの北京2008展は毎日大勢の来館者で埋まるという。
「いろいろ批判されたために、逆に人気が高まった感じがします。訪問者はスイス人はもちろん中国人も多いです」
 と説明するのは、ベテランの展示解説者クリスティーナ・トロバトさんだ。

 展示は東西南北と中央の5つの方角とテーマを結びつけて行われている。南を象徴する博物館の庭には、中国の歴史と世界の歴史がパラレルに書き込まれた幕が巡らされている。

 館内2階の展示場は、北を象徴し「スポーツと社会」というテーマだ。中国に古くから行われているスポーツ、太極拳や気功、さらに中国で春秋戦国時代に行われていたキュジュ( cuju ) という蹴鞠( けまり ) に関しても展示されている。
「サッカーは中国の蹴鞠が起源で、それをイギリス人が発展させたのです」
 とトロバトさんは自分のことのようにうれしそうに解説する。

ベイベイ、ジンジン、ファンファン、インイン、ニィニィ

 1階に下りて右側は、西を象徴し「都市計画、建築、環境」というテーマの展示場になっている。北京五輪でかなり話題になっている分野だ。

 スイスの有名な建築家ヘルツォーク&ド・ムーロンのオリンピックスタジアム「鳥の巣 ( Bird Nest ) 」と四角形のスイミングプール「ウオーター・キューブ ( Water cube ) 」は、北京で道を挟んで左右対照に並ぶというが、会場でも模型が左右対称に並べてある。こうしたオリンピック関係の現代建築や、すでにある高層ビルと、伝統的な低い屋根の民家のコントラストの数枚の写真は、今後の北京の都市計画問題の複雑さを考えさせる。

 東を象徴する地下展示場は、今回のオリンピックでの「デザインと漢字の伝統」に光を当てている。漢字の持つ絵文字性を利用して、今回のオリンピック用に生み出された数々の表示記号は、スポーツをする人間の体と記号性がうまく混じっていて面白い。最後に登場するのが、五輪の色に呼応して、その色のイメージから、火や水、森などを表すマスコット人形のベイベイ、ジンジン、ファンファン、インイン、ニィニィ。
「大人から子供まで年齢を問わず、すごい人気です。キーホルダーからいろいろなサイズの人形まで揃っています」
 とトロバトさん。
  
 なお、レストランのある最上階テラスには大きな中国風の赤い塔が建てられ、中華料理のメニューが食べられる。8月のオリンピック開催中は大型スクリーンも設置される。レマン湖を眺め、中華料理を食べ、北京五輪鑑賞もできるという豪華版の展示だ。

swissinfo、ローザンヌにて 里信邦子 ( さとのぶ くにこ )

2月2日~10月26日まで、オリンピック博物館 ( Museé Olympic ) で開催。

住所、Quai d’Ouchi 1, 1001 Lausanne
Tel、+41 21 621 6511
時間、毎日開館、9~18時まで
行き方、ローザンヌ駅からバス8番でオリンピック博物館までか、バス2番でウシ ( Ouchy ) まで行き徒歩5分 

8月8~24日の特別プログラム >

この期間は、毎朝9時から太極拳がありまた、9時から18時まで、大型スクリーンでライブか、編集された競技番組が放送される。昼は北京ホテル学校のシェフによる食事が楽しめる。

17時30分~20時は、招待客による1日の競技結果についての発表と解説が行われる。

8~10日の週末は、特別企画の「扇の舞」のダンスや、中国の音楽、絵画が披露され、16~17日の週末は、中国武道が披露される。

また、10月26日までの毎日曜日には、コンサートが開催される。

そのほか、多くのプログラムがある。詳しくはオリンピック博物館のサイトで。

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SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

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