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ローザンヌ国際バレエコンクール決勝戦

それぞれ賞を受賞した井井澤諒さん、贄田萌さんと松井学郎さん。 swissinfo.ch

日本から出場した埼玉県、アクリ・堀本バレエアカデミーの贄田萌さん(15)、群馬県、山本禮子バレエ団の井澤諒さん(15)と東京都、佐々木三夏アカデミーの松井学郎さん(17)の3名全員が「スカラシップ賞」と「プロ研修賞」をそれぞれ獲得した。

受賞者のなかでも最高得点を得たカナダのアレックス・ウォン(17)さんはフリー・ヴァリエーションで「トラの捕獲」と題した曲に合わせターザンのような衣装でダイナミックな踊りを披露、凄いジャンプ力で観客を釘付けにした。

 続く2位の高得点を得た贄田萌さんは表現力溢れるクラシックの課題曲を踊ったほか、キミホ・ハルバート振り付けの「ウイリアム・テル」というユーモアに富んだユニークな踊りで笑いを取り、客席から喝采を浴びた。

贄田萌さん

 萌さんは感想を聞かれて「とっても幸せです」と嬉しそうに笑った。緊張しない性格らしく「回を追うに連れて楽しくなった」という。萌さんを評して「好きで仕方がないという感じが出ている」と日本人審査員の新国立劇場バレエ団ミストレス、大原永子さんは話す。好評だったフリーの課題曲について大原さんは「おきゃんな感じを上手く生かして作品が映えたのではないか」という。この選曲について萌さんは「先生に勧められてみて、自分のじゃじゃ馬みたいな性格に合っていると思って決めた」という。スカラシップは英国ロイヤルバレエ学校に入学を希望する。憧れのダンサーは吉田都さんで「自分の世界を持っている、何でも踊って楽しめるダンサーになりたい」と情熱が迸るようだ。

井澤諒さん

 井澤諒さんは「予選落ちだと思っていたのでかえって気楽に出来た」と語る。「コンテンポラリーのレッスンは初めてだったので難しかった」というように得意分野はクラシックで希望はハンブルグバレエ学校だ。井沢さんについて審査員の大原さんは「日本人には珍しい気品が備わっている」と評し、王子様役にピッタリの正統派で将来の成長が楽しみだという。母親が好きだったバレエを4歳で始めたという素直そうな15歳だ。

松井学郎さん

 他の2人より年上の17歳の学郎さんは「準決勝まで行ければと思っていたので今日は楽しく踊れた」という。決勝の出来については「踊りの流れが止まらなかった」のが良かったという。ダンスは親と一緒に見に行ったマニエル・ルグリの「眠り」に衝撃を受け9歳半から始めたという。クラシックが好きでコンテンポラリーは初めてとのこと。審査員の大原さんは学郎さんを「日本人には珍しいブルノンビル(デンマーク振付家の独特のスタイル)が入っている」と評した。「正確なステップとジャンプ力がいい」とも絶賛。本人はやはり、デンマークのロイヤルバレエ団を希望している。ダンスは「体操じゃなく、芸術だから好き」と語り、将来は「自分の全てを売れるダンサー」を目指すという。

ローザンヌの難しさ

 コンクールの関係者は「今年はレベルが高く、差が少なかった」と評価が高かった。ボーリュ劇場の舞台は遠い観客も見やすいようにとの配慮から3,6度斜めになっているという日本にはないタイプで、ダンサーにとっては大変難しいチャレンジだそうだ。今回はこのことも考慮して、第一次審査段階から舞台でやるように工夫したそうだ。


スイス国際放送、ローザンヌ 屋山明乃(ややまあけの)

‐ローザンヌで行われた2月1日の決勝戦に出場した日本人3名全員が奨学金と1年間の研修か留学をできる賞を獲得した。

‐アクリ・堀本バレエアカデミーの贄田萌さん(15)と山本禮子バレエ団の井澤諒さん(15)が「スカラシップ賞」を、「プロ研修賞」を佐々木三夏アカデミーの松井学郎(17)さんがそれぞれ獲得した。

‐受賞者のなかでも贄田萌さんは2位の高得点を得た。

– その他の受賞者は「研修賞」に英国のジョセフ・ケイリーさん(17)と韓国のチエ・ヒジェ(16)さん、「プロ研修賞」には最高得点だったカナダのアレックス・ウォン(17)さんとウクライナのピソニエフ・アンドリィ(17)さん。コンテンポラリーダンス賞は韓国のチャン・イジさん(16)が受賞した。

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SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

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