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ワインの風味にだまされるな

「怒りのぶどう」:ワイン・メーカーは木片の混入に待ったをかけている Keystone

ワインを一口。ふわっと木の香りが広がる。それが長年寝かせた樽によるものではなく、木の切れ端で風味をつけられたものだったらちょっとがっかりだが、アメリカ等ではよく行われている製造法だ。

このコンテンツは 2006/08/21 15:26

現在、スイスではこの製造法は禁じられているが、近々これが解禁になるかもしれない。これを聞きつけたスイスのワイン・メーカーは激怒している。

スピーディにオークの風味

事の起こりは2006年3月。欧州連合 ( EU ) は、ヨーロッパでも木片をワインに加えることを認可することに合意した。スイスはEUに加盟していないが、2国間貿易などでヨーロッパ諸国とは密接な関係を持っている。このため、スイスでもEUにならって来年にも同様の内容で認可がおりる予定だ。

アメリカ、南米、南アフリカ、オーストラリアのワイン・メーカーはこれまで何年もの間、オークの風味をつけるために木片をワインに入れてきた。本当はオークの樽に入れて何年も寝かせたワインにのみ、このような風味がつくのだが、安くて簡単、スピーディに同じ風味をつけるため、手っ取り早く木片をワインにつけてしまうやり方が定着した。

一方ヨーロッパのワイン・メーカーは、今までそのような商業的な作り方を拒否してきた。スイス・ワイン製造者および貯蔵者協会のミシェル・ドゥボー会長は言う。「木片など入れたら、消費者にそっぽを向かれてしまいます。それどころか、実際ワインそのものの味を損ないます」

「スイスはワインの生産大国ではありません。ワインの原料となるためのブドウ畑は、たった1万5000ヘクタールしかないのです。だからこそ私たちは大手ワインメーカーの隙間を狙って、限られた数のお客様をターゲットに生産しています。私たちのワインは大量生産や工業化する必要がないのです。そんなことをしたら質が落ちてしまいます」

「私が最も恐れているのは、一度木片混入の認可が通ってしまったら、洪水のように様々なものが人工的に付け加えられるようになるのではないか、ということです。そして最終的に私たちは本当にブドウだけで作った正真正銘のワインを口にすることができなくなるのではないかと思います」

500人以上の会員を持つ同協会の地域支部代表は、この問題について会合を開き、満場一致で非難決議を採択した。

隠し事はだめよ

それでも木片の混入を認める認可が通ってしまった場合、スイス・ワイン製造者および貯蔵者協会とスイス消費者協会は、そのワインは木片で風味がつけられたのかどうか、ラベルにしっかり明記するべきだと主張している。

しかし、すでに法律改正の手続きに入っている連邦保健局はまた別の考えらしい。保健局は、木片で風味がつけられたワインは「オークの樽で寝かせた ( aged in oak barrels ) 」というラベルをつけることはできないが、わざわざ「木片を入れた」と明記する必要はないというスタンスだ。

保健局によると、アメリカでは「オークの樽で寝かせた ( aged in oak barrels ) 」というラベルと「オーク加工 ( oaked ) 」と、両者の違いを明確にしているそうだが、担当者は「私たちはそこまで規制するつもりはありません」と言う。

一方、消費者協会は、「ラベルに『木片を入れて製造された』とラベルに明記するべきです。そうでなければ、消費者にはそれが樽で寝かせたワインなのか木片を入れて風味がつけられているのか分かりません。つまり、消費者をあざむいて売ろうとしているようなものです」と、政府の対応を批判している。

「特にワインのように作物から生産された製品については、情報が隠されることなく、しっかり消費者に伝わることが最も重要なことです」

スイス・ワイン生産連盟のモニク・ペロテ・リシャール部長は「私たちは木片をワインに混入することに反対はしません。木片がスイス・ワインの品質を損なうということはないと思います。けれども、やはりそのワインが木片入りかそうでないのか、消費者に対して明確にする必要があると思います」と述べた。

「時間と手間をかけて樽で寝かせたワインと、簡単に木片を入れて風味がつけられたワインとでは、実際の味は雲泥の差がありますからね」

Swissinfo アダム・ボーモン 遊佐弘美 ( ゆさ ひろみ ) 意訳

補足情報

-スイス・ワインは生産のたった1%しか輸出していないにもかかわらず、多くの国際コンクールで優勝している。
-最近では、スイス・ワインも6割が外国から調達された材料で製造されている。
-スイスでは、白ワインが有名だったが、2003年に初めて赤ワインの製造が白ワインを上回った。
-スイスで最もワインの生産が多いのはヴァレー州。次に続くのが�Aヴォー州、�Bジュネーブ州、�Cティチーノ州。

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キーワード

2005年版のアシェット・ワインガイド ( フランスワインのバイブルと言われている ) は190種のスイス・ワインの20%近くに、3つ星をつけた。
一方、フランスワインで3つ星を取ったのは2%のみ。

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