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先史時代の道具が融けた氷河から出土

白樺の木でできた、矢を入れて背負う道具「えびら」が氷河から発見された (Photo: be.ch)

先史時代の皮の端切れ、ラフィアヤシの繊維、えびらに矢だけでなく、ローマ時代のブロンズのピンや靴の釘…これらの歴史の「落し物」が融解しているベルナーオーバーランドの氷河から出土した。

近年、スイス中の氷河の融解が進んでいるが、そのお陰で当時の姿のまま氷に覆われた道具などが登山者によって発見された。その場所を考古学チームがさらに調べたところ、先史時代から中世までの様々な道具の発見に至った。

 ことの始まりは2003年の秋、地元のカップルが登山中に見つけた白樺でできた、矢を入れて背に負う道具「箙」(えびら)をベルン州の考古学チームに届けた。この道具のカーボン年代測定(炭素年代測定法)をしたところ、紀元前3000年のものであることが分かった。 

 そこで、ベルン州の考古学チームはこの発見があった、ヴルトホルン氷河とシュニデヨッホ氷河の間に位置する標高2756メートルの氷河地帯を地層深く調べることにした。2003年の猛暑以来、氷河の融解がさらに進んでいるためここ2年間かけた調査は大変に実りのあるものとなった。

新石器時代から青銅器時代

 紀元前3000年から紀元前1750年ぐらいまでは、この地帯の気候はそれほど厳しいものでなかった。この時代の多くの衣服の切れ端や道具が発見されたことがこれを裏付ける。これら、多くの道具は人が失くした後、雪や氷に覆われたために現在まで保存される結果となった。

 容器の一部をなすと思われる木の破片は先史時代のアルプスの人の往来を立証するものとなる。興味深いことに、発見された袖なしマント(ケープ)の一部と思われる布はオーストリアで発見された5千年前の氷のミイラ、エッツィ(Ötzi/別名アイスマン)のものと類似している。

 石器時代の紐孔の開いた靴と皮のベルトと思われる部品も復元することができた。現在、人間の皮膚の一部と思われる部分をDNA鑑定に出している。

時代と共に変化する氷河

 この氷河地帯では紀元前850年ぐらいから気候が寒くなり、氷河が前進する。そして、ローマ時代に相当する紀元前150年ぐらいから5世紀ぐらいまで再び暖かい期間に戻る。このローマ時代の発見物には当時の男女が着用したチュニカ(ガウン)の毛糸製のベルトの一部も含まれる。驚いたことにこの毛糸の質は現在のメリノ羊毛に相当するものだという。

 この他に、古代のマントを留めた留め金「フィブラ」と靴の釘が幾つも発見された。これはローマ軍のものか、ロバ引きの民間人のものかは定かではない。しかし、北イタリアとスイスの高原を結ぶシュニデヨッホ峠が当時、盛んな交通路だったことを示すものであるといえる。

 中世には安定した比較的暖かい気候が続いた。14世紀か15世紀のものと思われる靴の一部も発見されている。しかし、16世紀からは再び氷河が前進したため、このシュニデヨッホ峠は閉ざされる。

 スイスで初めて作られた地図である「ジークフリート地図」では1850年にはシュニデヨッホ峠は氷河に覆われていることが分かる。現在のように、この峠を越えることができるようになったのは氷河が後退したためだ。


swissinfo、外電 屋山明乃(ややまあけの)

補足情報

- 2003年の秋にベルナーオーバーランドの氷河を登山していた夫婦が古代の道具を発見した。考古学チームがこの氷河地帯をさらに調査したところ、ここ数年の氷河融解で先史時代から中世まで様々な時代の「落し物」が発見され、この峠の往来を立証するものとなった。

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