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国民、UBSとクレディ・スイスにリベンジ

「 コルティ会長、我々は貴方を支持している」「オスペルさん、故意に欠席か?」などプラカードを掲げた社員、スイスエア本社前で。 Keystone

スイス2大銀行UBSとクレディ・スイスの救済措置の不十分さから、スイス航空は運航不能に追い込まれ国辱となったと怒るスイスの消費者らが、リベンジに出た。UBSとクレディ・スイスの口座を解約し、他行に移す動きが続発している。

業界3番手のチューリッヒ州立銀行(ZKB)のスポークスマン、ウルス・アッカーマン氏は、多くのUBSの顧客が口座を解約し他行に預金を移しているという。が、アッカーマン氏は、UBS各支店の目先の顧客消失よりも、スイスの銀行全体の長期的な信頼喪失を懸念する。特に、UBSのイメージダウンがスイスの銀行全体のイメージダウンに波及し、外人客の信頼の喪失に繋がることに懸念を示す。

当のUBS銀行は3日、消費者らのリベンジに関するswissinfoの取材に公式コメントの用意がなかったが、「UBSにはスイス航空の運航不能の責任があるが、社会からの攻撃は正当ではない」としたマーカス・オスペル議長の内部メモを入手した。オスペル議長は、UBSが過去6ヵ月以上にわたり、スイスエア・グループが極めて危険な状況にあることを警告し再建が不可避であることを繰返し伝えてきたと強調している。

スイス航空が燃料費もないと認めた2日、銀行救済プランの資金振り込みが遅れたのは、クレディ・スイスは支払い準備が整っていたがUBSの責任者が不在だったためだ。結果、スイス航空は2日間運航不能になり、モーリッツ・ロイエンベルガー大統領は2日、銀行の態度に深く絶望したと銀行を批判、また3日付けの各紙も「10月2日はスイス連邦の民主選挙で選出された政府が銀行から史上最悪の侮辱を受けた日」と銀行批判を繰り広げた。さらに連立政権を構成する4政党も、政府が提案した2億5000万スイスフランの合同緊急融資を銀行が拒否した事を強く非難している。

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SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

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