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増えるインド人IT専門家

アールガウ州ツォフィンゲン ( Zofingen ) にある「ポストファイナンス ( Post Finance ) 」の情報センター内で働くIT専門家。ここにもインド人の専門家はいる。

(Keystone)

グローバル化の時代になり、短期契約でスイスに働きに来るインド人のコンピューター専門家が増えている。賃金は安く、即戦力として使えるインド人の腕が買われている。

4年前に期限付きの労働許可を取得したインド人IT専門家は550人だった。それが2007年には約1400人に増加した。連邦移民局によれば、2008年もほぼ同じ数を記録するという。

インド人に頼るスイス企業

 スイス企業のために情報処理を行うインド人が増え続けているのは偶然ではない。インドはIT大国だ。欧米の会社がコンピューターのメンテナンスや会計処理を外注する際、多くの場合、その委託先はインドだ。

 インターネットがあるとはいえ、それだけでは何千キロメートルも離れた場所と完全なやり取りはできない。時にはすぐ近くに人が必要だ。2007年に労働許可を得てスイスに入国した1400人のインド人IT専門家の多くは短期滞在者だった。
「彼らは特定のプロジェクトを行うためにスイスに来て、プロジェクトが終わればまたインドに戻って行きます」
 と、ザンクトガレン大学アジア研究所のインド専門家、シグ・ムリンガゼリル氏は言う。

短期プロジェクト

 大概、インド人はIT関係を専門にしているインド企業から派遣される。大手の「インフォシス ( Infosys ) 」、「ウィプロ ( Wipro ) 」、「タタ・コンサルタンシー・サービス ( Tata Consultancy Services ) 」はスイスにも事務所を構えている。

 例えば、タタ・コンサルタンシー・サービスはスイスに約150人のインド人従業員を抱え、その多くがコンピューターのエキスパートだ。さらに、顧客であるスイス企業のために750人がインドで働いている。インド人はプロジェクトごとにスイスを訪れると、社長のハインツ・ゲーリ氏は言う。
「多くの場合は数カ月程度ですが、3、4年滞在することもあります」

大企業以外も

 インド人IT専門家の力を借りているスイス企業は多い。例えば、「UBSインベストメント・バンク」のスイス支店では、2007年の一時期には約200人のインド人IT専門家が働いていた。また、再保険会社の「スイス・リー ( Swiss Re ) 」はインドのバンガロール ( Bangalore ) に数多くのIT専門家を抱えている。チューリヒ支店には70人のインド人が勤務しており、2大陸間で行われる業務のコーディネートを行っている。

 また、「ポストファイナンス ( Post Finance ) 」のような大企業以外の企業もインドからの専門知識に頼っている。
「ピーク時にはインドの会社と共同で作業を行います」
 と、広報担当のマーク・アンドレイ氏は言う。現在、15人のインド人専門家がポストファイナンスのIT部署をサポートし、そのうち8人がスイスで働いている。

専門家不足

 スイスにはIT専門家が少ないため、インド人がその穴を埋めている。そのため、インド人をライバル視していないと、スイスのIT連合会「ICT」の会長シュテファン・アルン氏は言う。
「インド人がスイスのIT分野を支えています。スイスにはITの専門家が不足しているのですから、これは当然の対策です」
 その上、インドでは専門家はすぐに見つかるともいう。
「インドの企業は高いレベルの人材をすぐに送り出せます」

 ところで、スイスの企業は必要に迫られてインド人専門家を雇っているだけではなく、業務の一部をインドで行うとかなりの人件費を節約できる。
「ただ、インド人がスイスで働く場合にはスイスの賃金制度が適用されます」
 と、ムリンガゼリル氏は指摘する。インドではIT専門家の収入は以前よりも高くなったが、欧米諸国と比べるとまだかなり低い。

カルチャーショック?

 ムリンガゼリル氏によれば、インド人はスイスの職場に適応しているという。
「共同作業はそれほど問題にはなりません。多くの場合、業務内容は明確にされていますし、内容もほぼ毎回同じようなものです」

 また、表面的な部分ではインド人は異文化との接触にそれほど戸惑っていないと、インド専門のコンサルティング会社「マルワス ( Marwas ) 」の社長ヴァセーム・フセイン氏は言う。
「それでも大きな文化的相違はあります。例えば、スイスにはあまりはっきりとした階級制度がありませんが、インドでは誰がボスかということはいつでも明確にされます」
 言葉の問題に関して、シュテファン・アルン氏はこう指摘する。
「もちろん、コミュニケーション面にも障害はあります。ただ、ITでは英語が主要言語です」

インド人ブームも終わり?

 経済成長期には、スイスで働くインド人IT専門家の数は倍増した。しかし、多くの企業の業績が悪化している今日、企業はIT部門でも経費削減を図り、インド人の労働許可申請をあまり行わないようにしている。しかし、長い目で見れば、もしインド人がそのままIT分野でトップを走り続けるなら、もっと多くのインド人IT専門家がスイス企業のコンピューターの前で仕事をする日は必ず来るだろう。

swissinfo、マーク・ビュルギ ( sda ) 、 中村友紀 ( なかむら ゆき ) 訳

スイスとインド

スイスは対インド投資国トップ10に入る。

多くのスイス系企業がインドに進出している。その中には「リーター ( Rieter ) 」、「ノヴァルティス ( Novartis ) 」、「ネスレ ( Nestle ) 」、「ホルシム ( Holcim ) 」、「スルザー ( Sulzer ) 」がある。

2007年のスイスの対インド輸出額は前年比約22%増加の23億フラン ( 約1960億円 ) 。輸入額は約29%増加の9億5000万フラン ( 約811億円 ) 。

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IT大国インド

インドでは過去20年の間にコンピューター産業が著しく発展した。

世界経済がより多くのITサービスを必要とした際、インド企業は有利に立ち、市場の穴をうめた。

1980年代終わりにインドが市場を開放した際、インドには提供できるものがほとんどなかった。従来の産業や農業では諸外国との競争に対抗できなかった。

しかし、若手インド人にとってはチャンスだった。1990年代、より多くの欧米企業が賃金の安い国に業務を委託するようになった。インターネットとコンピューターのおかげで、某アメリカ企業はボストンではなくインドのバンガロール ( Bangalore ) でIT専門家を雇うことができた。

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