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季節労働 季節失業者をなくせ スイスの観光業界がワークシェア制度

ティチーノ州のレストラン

スイス南部・ティチーノ州は夏が観光シーズンで、冬に閉業するホテルやレストランが少なくない。スキーリゾートの多いグラウビュンデン州ではその逆の悩みを抱える

(Keystone)

「夏は湖、冬は雪山」。スイス東部グラウビュンデン州と南部ティチーノ州は3年前、このようななスローガンを掲げて共同で実験事業を始めた。その狙いは、観光関連で働く人を「シェア(共有)」し、ピーク時の人手不足や閑散期の失業を解消することにある。

背景にはこんな事情がある。夏が観光シーズンのティチーノ州では、冬にホテルが休業すると従業員は失業してしまう。スキーリゾートの多いグラウビュンデン州ではその逆が起こり、州の失業保険を圧迫してしまう。

このほど実験事業の試験運用が終了し、「従業員シェア」のオンライン登録システムが立ち上がった。まずはホテル業者が使える特別なプラットフォームで、マッチングサイトのようにホテル経営者と求職者が互いに検索できる。

「シェア従業員」で広がる活躍の機会

このシステムを使ったシェア従業員の1人、マリカ・ソマイーニさん(26)は感激した。昨年、冬はグラウビュンデン州サン・モリッツの高級ホテルで、夏はティチーノ州ルガーノのホテルで働いた。「このプロジェクトで一番すごいのは、ホテル業界の多様性を目の当たりにできることです。そして(勤め先の)ホテルを探したり面接に行ったりするのが簡単になりました」。簡単かつ多くのホテルに繋がれるようになり、ソマイーニさんは職に就くチャンスが広がったと考える。

従業員シェア制度の総括を務めるホテル経営者、マルセル・クレーエンマン氏も同じ考えだ。ホテル事業者は検索システムの運営費用を負担するが、従業員の募集にかかる経費を節約できるようになった。ただ応募者は必要な言語能力に欠けることが多い。「イタリア語圏のティチーノ州出身者はドイツ語があまり上手でないし、ドイツ語圏のグラウビュンデン州出身者はその逆のことが言えます。システム利用者向けの語学コースも始めました」

300件の契約成立

現在までにティチーノ州とグラウビュンデン州の間で300件の従業員シェアが成立した。やや物足りない結果だ。このシェアモデルによって現状が大幅に改善したとみなされるためには、もっと多くのホテル事業者や従業員がプロジェクトに参加しなければならない。

グラウビュンデン州のチュッゲン・ホテルグループのコリン・デンツラー会長は、3年の試験運用が終わった今、参加者は飛躍的に伸びると確信する。「試験運用を始めた当初、何とも理論的な仕組みだと気付きました。デジタル化し、失業保険の申請書類を書かなくてよくなれば弾みがつくでしょう。これは重要な点です」

閑散期の失業保険が申請不要に

連邦経済省経済管轄局(SECO)は2019年から試験的に、申請手続きを経ることなくシェア従業員に失業保険を給付する。夏の観光シーズンが終わってから冬のシーズンが始まるまでの閑散期6週間が対象だ。

これによってシェア従業員は年間を通じて収入が保証されることになった。ティチーノ州の従業員に冬季全体にわたって失業保険を給付する必要がなくなるため、失業保険財政にとっても負担減になる。

スイス全域に拡大?

この特別失業保険は今のところ、ティチーノ州民とグラウビュンデン州民だけが対象だ。SECOの試みがうまくいけば、スイス全域に対象を広げる可能性がある。前出のクレーエンマン氏は「できるだけ多くの経営者と従業員に参加してもらいたい」と地域拡大に期待を寄せる。

検索システムには何千人分ものプロフィールから簡単に探せる。季節失業者はティチーノ州だけで年2000人に上り、総額1600万フランの失業保険が給付される。


(独語からの編集・ムートゥ朋子)

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