当選者15万人の国

RDB/SI/Reto Hügin

26州2636の自治体(日本の市町村にあたる)から成り立つスイス連邦はおそらく、世界で最も政治家人口が密集している国だ。とはいえ、いくつかの議席には空席がある。公務に対する使命感が薄れつつあるのだ。

このコンテンツは 2009/07/27 12:00

なぜ「おそらく」なのか。なぜならばスイスというこの連邦国家において、このテーマについては国際レベルはもとより、連邦政府レベルにおいても統計が取られていないからだ。

連邦政府、州、自治体の3レベルでの行政機関

確かなことは、人口770万人のこの国には2636の自治体がある、ということだ。1つの自治体における平均人口は2921人。ヨーロッパでは唯一フランスのみが、自治体総数が1自治体の平均人口 ( 1800人以下 ) を上回っている。

スイスを除く欧州諸国は現代になってアンシャン・レジーム ( 旧制度 ) の領土区分を改革、点在する村々を合併した結果、都市ではない自治体のほとんどは広大な農村地帯となっている。

スイスにおいて各自治体の行政を執行するのは最低3人 ( 上限15人 ) の当選者であり、行政の決議を有効にするのは州によって名前の異なる議会の役割である。それら自治体の議会に加え、学校や墓地、都市計画などを管理するいくつもの委員会 ( 大規模な自治体には10まで ) があり、その構成員が選出される。

とはいえ、すべての自治体で議員が選出されるわけではない。スイスにおいて、例外はあるにせよ、5分の4の自治体では、住民総会が議会の役割を果たしているからだ。これは自治体の規模の問題ではない。フランス語圏の州では一般に、数百人の自治体においても間接民主制を採用している。一方、ドイツ語圏の州およびヴァレー州 では直接民主制の伝統が深く根を下ろしている。立法権を行使するのは依然として住民総会であるとする、人口1万人以上の都市を10も数えるチューリヒ州が、その例として挙げられる。

スイス国民は、自治体の構成員であると同時に、州の構成員でもある。26の各州は、州民によって選出される独自の政府 ( 5人ないし7人から成る ) と議会 ( 議員数は46人から200人まで ) を始め、 独自の憲法や法律を有している。
スイスにおいて、アッペンツェルインナーローデン州とグラールス州のみがランツゲマインデという伝統的な直接民主制を採用し、州の有権者が年に1度州都の広場に集まり、州の法案に対して挙手により賛否を示す。

その上さらにスイスは、2院制 ( 国民議会・議員200人、全州議会・議員46人 ) の連邦議会を合わせ持っている。

誰が村長に?

ローザンヌのスイス公共行政学大学院 ( Institut de hautes études en administration publique de Lausanne ) の政治学者アンドレアス・ラッドナー氏の調査によると、スイスにおける政治家の数は合計約15万人 ( その大半が公務とその他の職業との兼業 ) で、党員も合わせると合計30万人に達する。

「政党への加入が、当選の可能性を五分五分にするとは限らない」
とラッドナー氏は言う。現に自治体レベルでの当選者の3分の1は、無所属である。

しかしながら小さな自治体は人材確保に苦労している。今年初め、ヴォ―州政府は、4人の行政の構成員が辞任したグレッシ ( Gressy ) という人口160人の自治体のために、臨時政府を設立しなければならなかった。

このようなケースはよく見られる。小規模の自治体において、委ねられた公務は献身を必要とされる任務であり、報酬を期待することは難しい。行政組織においては1年につき数十万円の謝礼金またはワイン半ダース、ある立法組織においては報酬は一切無しとされている。

「われわれは定期的にアンケート調査を行なっているが、自治体の多くは公務に対する人々の関心の低さを懸念している」
とラッドナー氏は警告する。かつては、毎月の会期後は、トランプに興じたり地域のビストロでグラスを傾けたりした。しかし現在、公務は労働の質と量の両面での負担が大きい上、多様化し、専門化した。その上さらに、地方の自治権の及ぶ範囲は縮小している。

合併への望み

基盤強化のために、自治体は合併されるのか。
「人口2000人から3000人の小さな自治体が合併しても、仕事が増えるにもかかわらず、公務を執行する人員は相変わらず不足する」
と、ラッドナー氏。そのため、2つの小さな自治体同士の合併ではなく、今後は大規模な合併を検討している。例えば、山岳地方のヌーシャテル州ヴァル・ド・トラヴェール地方の9の自治体が合併し、人口1万1000人の1つの自治体となる。さらに2011年には、グラールス州の25の自治体が合併され3つとなる。

君主制を体験したことがなく、ナポレオンの「単一かつ不可分」なフランス共和国を否定したスイスでは、自治体及び州は依然として支配的な役割を担っている。「ほかの国々とは違い、スイス連邦政府にとって地方行政区画の再整理は容易ではない」
とラッドナー氏は指摘する。したがって、これらの任務は州の管轄とされるか、または、自治体が望む場合、自治体の仕事となる。

マルク・アンドレ・ミズレ、swissinfo.ch
( 仏語からの翻訳 魵澤利美 )

自治体を抱えるスイス

2008年、合併により79の自治体が消失。これは1848年以来最大の減少幅。

連邦政府建国年1848年当時の地方自治体の数3205。
1900年には3164あったが以後1950年に3101、1990年に2955と減少し2009年現在で2636になった。

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最小と最大

人口1000人以下の自治体数:1300
人口5000人以下の自治体数:1028
人口10000人以上の自治体数:105 ( スイス人口の約半分を占める )

人口最少自治体:ティチーノ州コリッポ ( Corippo ) 、人口17人
人口最多自治体:チューリヒ州チューリヒ 、人口34万5千人

最小の自治体:ティチーノ州ポンテ・トレーザ ( Ponte Tresa ) 、28ヘクタール
最大の自治体:グラウビュンデン州ダボス、2009年1月1日ヴィーゼン ( Wiesen ) と合併、2万8300ヘクタール

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・・・そして、州

最小の州:
バーゼル・シュタット準州
面積:37平方キロ
人口密度:5000人/平方キロ

最大の州:
グラウビュンデン州
面積:7105平方キロ
人口密度:27人/平方キロ
人口最少の州:
アッペンツェルインナーローデン州
人口:1万5500人
人口最多の州:
チューリヒ州
人口:130万7600人

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