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心が和む コイに恋して17年

鯉を扱う店内にあるプールに泳ぐコイ。体長85�aの「黄金」と呼ばれる錦鯉は200万円 Yumi von Reding / B. Kaufmann, Koi Firm

庭に池を作ったら、魚を泳がせてみたくなる。こうした錦鯉のファンがスイスにはおよそ1800人以上もいるという。ベルンハルト・カウフマンさん(55歳)もそんな一人だったが、いまやスイスの錦鯉はこの人なしでは語れないほどの第一人者。欧州の品評会に出す鯉は賞を総なめにし、日本から直輸入したコイを毎年国内外に5000匹ほど売りさばく。

このコンテンツは 2006/02/03 08:35

カウフマンさんは17年前、家を建て、庭には小さな池も掘った。ペットショップから、色の綺麗な魚を30匹買ってきてそこに放した。後になってシンガポール産の鯉だったと分かったものの「そもそも鯉など知らなかった」とカウフマン氏。どんどんと大きくなる魚に驚きながら、池をプールのように作り変えたり、更なる池を掘ったりして、コイの飼育に励んだ。

しかし6年前の寒い冬、体長70�aにまで育った錦鯉が酸欠のため一瞬にして全滅。この事件がカウフマンさんの人生を変えた。池の管理技術などを勉強しながら、本業の左官は辞めて錦鯉の商売を始めようと思い立ったのである。

カウフマンさんにとって、錦鯉は趣味でありビジネスでもある。感情的に両立は難しいこともあるというが「以前携わった建築業では、客の注文とその期待に沿おうというプレッシャーが強かった。今の客は、ゆったりと時間をかけるので嬉しい」と微笑む。池から聞こえる水の音に誘われて庭に出てみると、錦鯉が餌を求めて寄ってくる。魚との対話ができる至福の時をほかのスイス人にも味わってもらうのが、自分の使命でもあるという。

初めて飼った錦鯉で、色のあまり美しいとはいえない一匹がいた。何度も瀕死の状態から生き返り、常に勇気を与えてくれた錦鯉だ。いまは死んでしまったその「友」に思いを馳せながら、カウフマンさんは自宅の池の淵に立つ。

swissinfo 聞き手 佐藤夕美(さとうゆうみ)

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