スイスの視点を10言語で

抗マラリア薬でコロナ治療、死亡率増加と研究報告

医薬品のボトル
研究は世界671カ所の病院、9万6千人の新型コロナウイルス感染症患者の事例を分析した Copyright 2020 The Associated Press. All Rights Reserved.

チューリヒ大学病院とハーバード大学医学大学院は、抗マラリア薬ヒドロキシクロロキンと類似薬クロロキンに新型コロナウイルス感染症(COVID-19)への有効性が見られなかったとする共同研究論文を発表した。

医学誌ランセットに22日掲載された。研究によると、抗マラリア薬を摂取した入院患者の方が、そうではない患者よりも死亡率が高く出た。いずれかの薬を摂取した患者の死亡率は11.1%だったが、対照サンプルでは9.3%だった。

この薬を摂取すると不整脈のリスクが4倍に増加するという結果も出た。抗マラリア薬のいずれかを摂取した患者の約4〜8%に新しく不整脈の症状が出たが、そのような治療を受けていない患者では0.3%にとどまった。

チューリヒ大学病院循環器科のフランク・ルシツカ部長は声明で、ヒドロキシクロロキンとクロロキンの有効性に「何ら科学的証拠はない」と述べた。

声明では「現在行われている無作為の臨床試験結果が得られるまで、ヒドロキシクロロキン、クロロキンを新型コロナウイルス感染症患者に使用するべきではない」としている。

抗マラリア薬は、今年初めにトランプ米大統領が繰り返し言及したことで大きな議論を呼んだ。特に一部の感染症学者は、心臓病患者へのリスクの高さを問題視していた。

おすすめの記事
ワクチン

おすすめの記事

スイスのコロナ情報 マスク義務再開はなし

このコンテンツが公開されたのは、 スイスは4月1日、新型コロナウイルス感染症に対する全国的な感染対策を全て撤廃した。秋冬の感染再拡大が懸念される中、スイス公衆衛生当局はマスク義務の再開は必要ないとしている。

もっと読む スイスのコロナ情報 マスク義務再開はなし

トランプ大統領は5月中旬、予防策としてヒドロキシクロロキンを服用していると明かした。米食品医薬品局(FDA)は今年初め、この薬の緊急使用許可を出したが、欧州の規制当局は慎重な姿勢を見せていた。

ただ、複数の前臨床研究のほか、患者の症状が改善したという事例報告があり、新型肺炎の効果への期待が高まっていた。

スイスでは17カ所の病院が、ヒドロキシクロロキンの有効性を調べる世界保健機関(WHO)の共同研究に参加している。

外部リンクへ移動
サブスクリプションを登録できませんでした。 再試行する。
仮登録をしました。 次に、メールアドレスの認証手続きを行ってください。 ご入力いただいたメールアドレスに自動配信メールを送信しました。自動配信メールに記載されているリンクをクリックして、ニュースレター配信手続きを完了させてください。
今週のトップ記事

各種テーマに関するswissinfo.chのベスト記事を受信箱に直接お届け。

毎週

SRG SSRのプライバシーポリシーでは、データ処理に関する追加情報を提供しています。 


swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。

他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部