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新しい世界七不思議が発表される                      

新しい世界7不思議の1つに選ばれた「メキシコ、チチェン・イツァーのマヤ遺跡」の前で歓ぶ人々 Keystone

スイスの「ニュー・セブン・ワンダーズ ( N7W ) 財団」が2007年7月7日に新しい世界7不思議をリスボンで発表し、「メキシコのマヤ遺跡」や「中国の万里の長城」などが選ばれた。

世界中からネットや電話で投票を行い、1億人が参加した。スイス人映画監督ベルナール・ウェーバー氏が2001年から世界共有の文化遺跡に対する認識を高めるために立ち上げた。

 この他、新しい世界7不思議に選考されたのは「ローマのコロッセウム」、「ペルーのマチュピチュ」、「ヨルダンのぺトラ遺跡」、「ブラジル、リオデジャネイロの丘のキリスト像」、「インド、タージマハール」で最終選考に残っていた京都の清水寺は惜しくも落選した。

ニュー・セブン・ワンダーズって何?

 N7W財団を設立したウェーバー氏はアフガニスタンのバーミヤン遺跡が破壊されたことから、このプロジェクトを思いついた。同財団はこれまでに1000万ユーロ ( 約16億円 ) を同キャンペーンに投資しており、経済的な危機にあるとの報道もあった。

 キャンペーン経費はリスボンでの発表イベントのテレビ中継の放映権やN7W財団のライセンス権などから賄うつもりだ。キャンペーンで集めたお金の50%をバーミヤンなど遺跡の修復に当てると発表しているが、今回どのくらいの黒字になったかは分からない。

 N7W財団の広報官ティア・ヴィーリング氏は「20人でやっている小さい非営利団体ですから、収支の発表はしません。個人の寄付に頼るところが大きいが決して赤字ということはありません」と語った。投票は電話やSMSは有料だが、ほとんどの人が無料のネット投票だという。

 しかし、このプロジェクトに対する非難の声も多い。「インターネットにアクセスできる世界の市民のみの投票となると全く民主的ではない」とか、「最終選考に残った候補地はまるで、旅行会社のパンフレットのようで、ヨーロッパ人の趣味だ」、「候補地は既に有名な場所ばかりで更なる宣伝の必要はない」といったものだ。

 これに対し、ヴィーリング氏は「投票は現状の資金と技術でできる限りのもっとも公平なもの。世界中の人が参加できるのですから」と答えた。

面白くないユネスコ

 国連教育科学文化機関 ( UNESCO、ユネスコ ) の広報官ピエール・ガイヤール氏は「ユネスコとは全く関係のない私立の財団がやっているものでポリシーが違う」と冷たい。

 ユネスコの声明文によるとウェーバー氏がこれまでに何度もユネスコに働きかけてきたが、協力しないことに決定した。世界遺産を特定し、保護していくという科学的、政治的、教育的なアプローチとは違うと説明している。

選考基準

 候補地は、世界各地から推薦された「人間による建造物」から200カ所が選考され、インターネット投票で77カ所の候補地に絞られた。建築家などからなる、7人の専門委員会がこれを21カ所に絞り、今回の最終選考となった。

 選考委員会には建築家の安東忠雄氏やユネスコの前事務局長のフレデリコ・マイヨール氏などが参加した。

 さて、新世界7不思議が決定された今、N7W財団はどうするのか。「次は世界自然7不思議 ( New Seven Wonders of Nature ) に取り掛かります。ネット上で世界中の人からリクエストがありましたから!」。次回はスイスのマッターホルンも載るだろうか。

swissinfo、 屋山 明乃 ( ややま あけの )

N7W財団はスイスのコルビュジエの資料館であるハイジ・ウェーバー美術館 ( ル・コルビュジエ・センター ) 内にある。

- ヨルダンのぺトラ遺跡  
- メキシコ、チチェン・イツァーのマヤ遺跡 
- ブラジル、リオデジャネイロの丘のキリスト像  
- インド、タージマハール  
- イタリア、ローマのコロッセウム 
- ペルーのマチュピチュのインカ遺跡  
- 中国の万里の長城

- アメリカ、ニューヨークの自由の女神像
- トルコ、イスタンブールの聖ソフィア寺院
- ドイツ、バイエルン州のノイシュバンシュタイン城
- ギリシャ、アテネのアクロポリス
- フランス、パリのエッフェル塔
- 京都の清水寺
- イギリスのストーンヘンジ
- スペイン、グラナダのアルハンブラ宮殿
- カンボジアのアンコールワット
- マリのトンブクトゥ
- オーストラリア、シドニーのオペラハウス
- チリ、イースター島のモアイ像
- ロシア、モスクワのクレムリン宮殿
- エジプトのギザのピラミッド ( 旧世界7不思議の名誉会員として競争には参加しないことになった )

- ギザのピラミッド(唯一、今も実在する)
- アレクサンドリアの大灯台
- バビロンの空中庭園 ( 架空 )
- ロードス島の巨像
- オリンピアのゼウス像
- エフェソス ( 現トルコ ) のアルテミス神殿
- ハリカルナッソス ( 現トルコ ) のマウソロス霊廟

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