スイスの視点を10言語で

新型コロナ第2~5波へのスイス政府の対応

スイスは欧州で新型コロナウイルスの流行が最も深刻な国の1つ。2020年春の第1波、同秋の第2波、21年春の第3波に続き、同夏からはデルタ株の感染拡大で第4波が襲来。年末にはオミクロン株の登場で第5波は発生した。

各流行期に連邦政府がとった対策やその緩和の流れをまとめた。

第2波に対する感染対策

連邦レベルでは2020年10月29日以降、レストラン・バーでは1テーブル4人まで(子供を除く)、午後11時~翌朝6時は営業禁止となった。ディスコやダンスホールは閉鎖された。

イベントは公私・屋内外を問わず50人までに制限。結婚式や葬式も対象だ。ただし連邦・地方議会や政治デモ、国民発議のための署名集めは開催できる。誕生日会など私的空間での家族・友人同士の集まりは10人に制限されている。

屋内でのスポーツや文化活動は15人に制限され、距離確保・マスク着用が必要になる。ただしテニスや大ホールなど、距離が確保できる場合は除く。屋外でも十分に距離をとる必要がある。身体接触を伴うスポーツは禁止。これらの措置は、16歳未満の子供は対象外。

スイスのケーブルカー事業者は12月1日、スキー場施設のチェアリフトや滑走式リフトなどを含む全てのスキーリフトでのマスク着用を即時に義務付けると発表した。これまでは密閉されたゴンドラリフトのみが対象だった。また、待合室などの閉ざされた空間だけでなく、外で行列を作るときにもマスクを着用しなければならない。

プロスポーツ・文化の試合やトレーニング・練習、公演は開催可能。合唱はアマチュアは禁止、プロの試演は可能。

11月2日からは高等教育機関の授業は遠隔となった。義務教育や後期中等教育(ギムナジウムや職業教育)は対面授業が続く。

10月19日に導入された公共の屋内施設でのマスク着用義務は、同29日から拡大された。▽商店やイベント会場、レストラン・バー、マーケットなどの屋外部分▽混雑し距離が確保できない歩道▽後期中等教育▽距離の確保できない職場――も対象に。12歳以下の子供や医療上の理由でマスクを着けられない人、レストラン・バーで着席した場合は免除される。

第3波への対応

政府は2020年秋以降の第2波に対しては厳しいロックダウンは行わず、経済と衛生対策を両立させる方針を取ってきた。ただ変異株による第3波が警戒され、12月12日にレストランなどの営業停止を発表した。

コロナ感染対策一覧
swissinfo.ch


20年12月22日、21年1月18日にはさらに対策を強化した。

  • レストランは全面営業停止。社員食堂、義務教育機関の食堂、ホテル客専用の食堂は営業可。テイクアウト、宅配も可

  • 1月18日からは生活必需品を除く小売・サービス店・市場も営業停止。事前に注文した商品の受け取りは可。キオスク、パン屋、ガソリンスタンド併設ショップ、薬局、眼鏡店、補聴器店、通信機器販売店、修理サービス、クリーニング店、理美容室、園芸店、花屋などは営業可

  • 営業可能な小売店やキオスク、ガソリンスタンドの夜間・日曜祝日の営業禁止は18日から撤廃。サービス業は午後7時以降と日・祝日営業禁止

  • スポーツ施設は全面閉鎖。屋外でのグループによるスポーツは、5人までとする。プロスポーツは無観客試合の実施は可能。満16歳未満の子供は対象外(競技会を除く)

  • 私的な集まりは5人まで(子供含む)。上限2世帯を強く推奨

  • 公共イベントは、葬式、宗教礼拝(最大50人)と議会、政治集会(同)を除き禁止

  • レジャー・文化施設(博物館、映画館、図書館、カジノ、植物園、動物園など)は閉鎖。少人数での文化活動、16歳未満の子供の場合は可能。観衆ありのイベントは引き続き禁止(オンラインは可能)
  • 可能な限り在宅勤務を義務付け。職場では同じ部屋内に2人以上いる場合はマスク着用義務
コロナ対策
swissinfo.ch

当初は感染状況が落ち着いている州はスポーツ施設、レストランに対する制限措置を緩和できたが、1月9日以降は全国一律のルールが適用されている。また1月22日までの措置としていたが、連邦政府は1月13日に2月末まで延長すると発表した。

セミロックダウンの段階的緩和

<2021年3月1日の緩和>

・屋外での私的な集まりを現行の最大5人から15人に引き上げる。屋内では5人のまま

・図書館・公文書館の閲覧エリア、動物園、植物園の屋外エリア・アウトドアパーク、博物館の再開

・全ての小売店の営業を再開。ただし売場面積の広さに応じ、10~25平方メートル当たりの顧客数を1人とする。ショッピングセンター内全体の人数も制限

・屋外スポーツ施設(ゴルフ、テニス、サッカー場、陸上競技場、スケートリンク)の再開。ただし1グループ15人までとし、1.5メートルの対人距離が取れない場合はマスクの着用を義務付ける。身体的接触を伴うサッカー、ホッケー、格闘技などのスポーツは、大人は禁止

・スポーツ・文化活動の人数制限を除外する年齢を、16歳未満から20歳未満に引き上げ

・在宅勤務を義務付け(可能な職種の場合)

<3月22日の緩和>

・屋内での集まりは最大10人

<2021年4月19日の緩和>

・レストラン、カフェのテラス席営業

・観客を入れた文化・スポーツイベント再開。屋外は最大100人、屋内は同50人。着席制・マスク着用義務。座席は会場定員の3分の1に限定

・成人のアマチュアスポーツ、文化活動再開。グループの場合は15人まで。対人距離、マスク義務

・大学での対面授業再開(1グループ15人まで、マスク、対人距離)

第4波への対応

21年夏ごろから、デルタ株の拡大で感染者が再び増えた。政府は9月1日にいったん対策強化を見送ったものの、同13日からはしレストランの屋内部分、文化・スポーツ・レジャー施設、屋内イベントなどの利用時にワクチン接種や陰性、り患済みであることを証明する「COVID証明書」の提示を義務付けた。

COVID証明書の提示義務
swissinfo.ch

第5波への対応

2021年11月下旬に南アフリカで感染力の強いオミクロン株が発見された。スイスは12月6日にCOVID証明書の提示義務を拡大した。

感染対策一覧
swissinfo.ch

2022年1月19日、政府は各措置の延長を発表。しかし2月16日、一転して翌日からほぼすべての感染対策を解除すると決めた。

おすすめの記事
Covid certificate in use at restaurant.

おすすめの記事

スイス政府、ワクチン証明・マスク着用義務を解除

このコンテンツが公開されたのは、 スイス連邦政府は16日、ワクチン接種などを示す「COVID証明書」の提示義務やマスク着用義務など、新型コロナウイルス感染対策の大半を翌日から解除すると発表した。

もっと読む スイス政府、ワクチン証明・マスク着用義務を解除
コロナ対策一覧
swissinfo.ch


swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。

他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部