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無料の日刊経済紙発行

「キャッシュ・ディリー」もほかの無料新聞と同じくタブロイド版

(swissinfo.ch)

9月8日、また新しい無料の日刊新聞が発行された。スイスの大手メディア、リンギエー出版 ( Ringier-Verlag ) による、ドイツ語の日刊経済新聞「キャッシュ・ディリー (Cash Daily ) 」だ。

日刊経済新聞といっても銀行員など経済の専門家だけではなく、一般読者向けに編集されている。無料新聞は、スイスの新聞社が現在、大きく注目している分野である。

 ドイツ語圏ではこれで、無料日刊紙は3紙目となるが、経済専門紙は初めて。第1号の1面には「管理職の給料上昇」という記事が載った。発行初日には10万部が刷られ、キオスクを中心に人が集まる場所に置かれている。24ページのうち半分は広告。月曜日から金曜日まで毎日発行される。

後発がどう成功するか

 すでに発行されている他の無料日刊紙は、人のたまり場となる連邦鉄道の駅や路面電車の停留所に専用のスタンドを設置している。しかし、キャッシュ・ディリーはスタンドではなく、ドイツ語圏内にある1100軒のキオスクに置かれている。キオスクを運営するヴァロラ社は、無料新聞を求めてキオスクまで来る人にとって、有料新聞や雑誌、そのほかの商品に接する機会になり、こうした商品を買ってもらえるのではないかと考えたためだ。

 現在発行されている無料日刊紙、ツヴァンツィック・ミヌーテン ( 20 Minuten ) は「TA−メディア」が発行しているが、発行部数は38万部で、100万人の読者を抱えている。無料新聞がTA−メディアの大きな収入源となっているのだ。一方、ライバルのリンギエー出版は無料新聞への進出に出足が遅れた。同出版社で発行する大衆新聞ブリックが、ツヴァンツィック・ミヌーテンに押されていることに、やっと今、反応したとみられる。

自らの経済新聞を侵すもの?

 スイスドイツ語圏では、現在3紙の経済新聞が発行されている。そして今回、無料新聞が新たに発行され、経済新聞市場は過密状態にある。「キャッシュ・ディリーが、同じリンギエー出版が発行する有料の週間経済紙、キャッシュを脅かすものにならないだろうか。スイス国内の市場はそれほど大きいわけではない」と懸念するのはコミュニケーション・メディア学のロジャー・ブルム教授。有料のキャッシュは発行当時、購読者を確保するのに苦労した。キャッシュと同じような苦労を多くの新聞が経験している。キャッシュ・ディリーはその答えのようなものとブルム教授は言う。

 一方、チューリヒ大学のメディア学のハインツ・ボンファデリ教授は、「無料経済日刊紙はニッチな市場を見つけた」と評価する。「これまでの無料日刊紙は、経済に重点を置いていなかった。無料新聞が有料新聞の市場シェアーを侵すと考えられていたが、実際はそうではなかった。無料新聞は、そもそも有料新聞なら買わないであろう若者が読むもので、無料と有料は住み分けができている」と語る。

swissinfo、外電 佐藤夕美 ( さとう ゆうみ )

補足情報

<無料日刊紙>
1999年にスイスにオランダのツヴァンツィック・ミヌーテンが進出。その直後スウェーデンとスイスの合弁企業からメトロポールが販売されたが、ツヴァンツィック・ミヌーテンがメトロポールを制した。ツヴァンツィック・ミヌーテンはスイスの大手メディアグループTA-メディアに買収された。
2005年、フランス語圏のエディプレス ( Edipresse ) が フランス語圏で初めての無料新聞レ・マタン・ブルを発行。翌年TA−メディアがフランス語圏で独自の無料新聞を発行。ドイツ語圏では現在、無料夕刊紙も発行されている。

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