スイスの視点を10言語で
ファクトチェック:スイスの「事実」

貧困の人々、コロナの影響深刻に

配給
食料・生活必需品の配給に並ぶ人達。2020年5月9日、ジュネーブで Keystone / Salvatore Di Nolfi

ジュネーブの食糧配給に集まった人たちへの聞き取り調査で、新型コロナウイルスが貧困ラインに近い状態で暮らす人たちへ及ぼす影響は、そうでない人に比べ4.5倍高いことが分かった。

ジュネーブで2日に行われた無料の食料配給支援で、ジュネーブ大学病院(HUG)と国境なき医師団(MSF)が集まった532人に聞き取り調査を行った。

回答者の75%が女性。また全体の52%が有効な滞在許可証を持っていなかった。

調査では、ウイルスの影響がさまざまな理由により、これらの社会集団に過大な影響を与えていることが分かった。ソーシャルディスタンシング(社会的距離)を保つのが難しい環境にいる、検査や治療を受けにくいーなどが主な理由だという。

おすすめの記事
3月18日、ローザンヌの中心部で炊き出しの行列に並ぶ人々

おすすめの記事

コロナ危機に脅かされるスイスの不法滞在者

このコンテンツが公開されたのは、 新型コロナウイルスの流行により、もともと高い生活費で知られるスイスに暮らす推定10万人の不法滞在者が直面する問題がいっそう深刻になっている。

もっと読む コロナ危機に脅かされるスイスの不法滞在者

回答者の半数近くが、1部屋に2人以上の環境で生活していると回答。約11%は4人以上で1つの部屋を共有していると答え、社会的距離が取りづらい状況にいることが分かった。

健康保険加入は4割弱

一方、加入が義務付けられている健康保険(基礎医療保険)に入っているのは40%にとどまった。有効な滞在許可証がない人では、この割合が10%未満に下がった。無保険、生活苦が理由で医者に行かないようにしていると答えたのは全体の58.6%に上った。

新型コロナウイルスに感染した人とアパートをシェアしていた人は全体の8.8%で、検査を受けたのはその半数以下だった。

調査の担当者は、こうした結果が「この社会集団がウイルスの影響に強くさらされ、またこの集団の中で伝染が起こっていることを示している」としている。

この調査が行われた日、ジュネーブ州の感染者は全人口の1%だった。ただこれを今回の調査対象に限ると、割合は3.4%に上昇した。

9日の食料配給には1500人超が並び、その1週間前の2日には2500人が集まった。今週末も食料の配給が予定されている。

swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。

他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部