Navigation

盗難美術品天国の終わり…

バクダッドのイラク国立博物館の考古学品を警備する米兵士。 Keystone Archive

法律不在の盗品天国と国際的批判に晒されてきたスイスだが、「文化財の移転」に関する新法で国際標準に足並みを揃えることになる。また、国連教育科学文化機関(以下ユネスコ)のユネスコ条約も来年、批准する。

このコンテンツは 2003/06/23 18:45

これまでのように、スイスの倉庫に美術品を時効期間の5年間眠らせ、洗浄することはできなくなり、輸出、輸入、通貨の規制と盗品返還に関する新法ができる。

美術商に厳しい新法

今月20日、国会で採択された文化財に関する新法では盗品と知らず「善意取得」をした場合の返還請求権が現行の5年から30年になり、他の欧州諸国などと同様の国際標準となった。この法律ではスイスの文化財の輸出保護とともに、外国からの輸入品の盗品チェックは二国間交渉で行われる方針が決まった。また、自由港と呼ばれる倉庫への一時通過(トランジット)については新たに申告義務が課される。なお、美術・骨董商が疑わしいと思った美術品についての「通告の義務」については実施が困難ということで今回は見送りになった。

もめた項目

スイス文化庁のイブ・フィッシャー氏は新法を「国際標準と全く変わらない」といい、「ある国が盗まれた文化財を他の国の所有者から取り戻すときに、国による美術品の善意取得者への返還額を購入価格にするか、美術品の価値価格にするのかでもめた」と述べた。美術商はコレクターを保護するために価値価格で買い取ることを求めたが、投機的行為を避けるため、購入価格になった。パスカル・クシュパンスイス大統領も「知らずに買った人のことを考えれば、これが一番公平な解答に思える」とコメントした。

盗品天国のイメージを払拭

世界美術品売買の総額が世界第5位のスイスは長年、盗難美術品天国として国際社会から非難されてきたが、その最大の理由は文化財不法輸出入等規制法が存在しないことで、「美術品輸入はトマトより簡単」と言われてきた。これまでも、第2次世界大戦の盗品をめぐって問題が浮上し、イタリアの多くの考古学品がスイスを巡って世界中に渡っていると世論を騒がせていた。クシュパン同大統領は新法について「イラクの博物館略奪でこの法律の重要さが認識された」と語った。

ユネスコ条約へも批准

ユネスコ代表者によると新法は美術市場でも限られた特別な市場にしか適用されないという。「考古学や民俗学美術を取引するディーラーは売る製品の出所にもっと気を付けなければならなくなるが絵画やモダンアートなどを扱っているところはあまり、影響はない」と説明する。

新法が来年発効すれば、1970年のユネスコ条約(文化財の不法な輸出入および所有権の移転の禁止および防止に関する条約)の批准が来年の中頃、可能になる。この条約は盗難美術品などの輸出入は条約を締結した国同士で禁止、盗品は返還するといった内容でスイスが加盟すれば100ヶ国目の批准国となる。

国際刑事警察機構(インターポール)の報告によると、盗品美術市場は麻薬と武器に次ぐ、第三の不法取引市場だ。

このストーリーで紹介した記事

この記事は、旧サイトから新サイトに自動的に転送されました。表示にエラーが生じた場合は、community-feedback@swissinfo.chに連絡してください。何卒ご理解とご協力のほどよろしくお願いします

共有する

この記事にコメントする

SWIアカウントをお持ちの方は、当社のウェブサイトにコメントを投稿することができます。

ログインするか、ここで登録してください。