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2018年9月23日の国民投票 憲法改正でスイスの自転車利用者は増えるか

un operaio sta dipingendo su una corsia stradale il pittogramma simbolo delle ciclopiste.

自転車専用レーンに自転車のピクトグラムを塗装するようす。チューリヒ市では新しい交通制度について小規模なテストを実施中だ。2本の主要幹線道路にいわゆる自転車専用レーンを設置、そこを走る自転車は、側道から合流してくる車両に対し優先権を持つ

(Keystone)

交通インフラを整備し、自転車の利用を促進- このような目標を掲げた、自転車専用レーンの設置を憲法に盛り込もうという提案が、9月23日の国民投票にかけられる。連邦政府・議会がともに支持を表明する一方で、右派国民党はこのような憲法改正は非現実的で不必要だと反対している。

 この提案は「歩行者専用道および遊歩道に関する憲法条項他のサイトへ」に自転車専用レーンを加えるよう求めるもの。約40年前、同条項の憲法組み入れについても有権者に可否が問われたが、当時のような成功他のサイトへを収められるかどうかは、9月の投票結果を待つしかない。

 ただし、今と当時の状況に似通った点はある。いずれの場合も、イニシアチブ(国民発議)の成立を受けて提出された対案他のサイトへが議会の支持を受け、その結果イニシアチブは撤回、対案に一本化されるという経過をたどっている。

高尚な動機

 また、連邦政府・議会は、この「自転車イニシアチブ他のサイトへ(自転車専用レーン、歩行者専用道および遊歩道の整備推進に関するイニシアチブ)」に関しても、40年前の「歩行者専用道および遊歩道の整備推進に関するイニシアチブ」の時と同様、要求自体には理解を示しながらも目標達成のための財源案には同意していない。

 全州議会(上院)交通専門委員会で広報を担当するラファエル・コムテ議員は、審議の中で「スローモビリティ他のサイトへ、特に自転車の利用を促進する必要性に異議を唱える委員は皆無だ」と述べた。

 急進民主党所属でヌーシャテル出身のコムテ議員は、「歩行者専用道および遊歩道整備推進イニシアチブ」に対する対案が議会で審議された1977年当時は、「国民議会(下院)は自転車専用レーンも含めることに前向きだった」と振り返った。反対したのは上院である。

 そのため、憲法の条文には今も自転車の文字がないままだ。イニシアチブ発起人らがこの「抜け」を不服とするのはもちろん、政府や議会もできるだけ早い修正をという姿勢を示している。

 連邦内閣や連邦議員らは、自転車が日常の移動手段として更に利用されるようになると多くのメリットが生まれると主張。主に車の交通量削減や公共交通機関の混雑緩和を挙げ、それらがひいては省エネ、有害物質や騒音による公害抑制につながると説明する。また、自転車で体を動かせば健康増進効果も期待できる。

自転車に優しい国へ もっと自転車の利用を!国民が提案する発議

自転車に優しい交通制度を求める「自転車推進派」は、政府が主体となって、地方自治体が行う自転車利用や安全性向上のプロジェクトを支援するよう求めている。山国スイスがサイクリストに一層優しい国になるにはどうすれば良いのだろうか?

交通インフラ整備でポテンシャルを開拓

 自転車は移動手段としてスイスで広く普及している。スイスの自転車利用者は400万人と推定され、またここ数年の自転車販売台数も高い水準を保っている。2017年にはおよそ33万台が販売され、前年比で4.2%増加した。成長株である電動アシスト車はそのうち約9万台を売り上げ、伸び率にして16.3%と新記録を更新した。

 しかし、自転車には日常の移動手段としてさらなる伸びしろがある。バス、トラムの利用者の約8割、自家用車利用者の約5割の移動距離は5キロメートル以下で、これは自転車でも問題なく移動できる距離だ。

 自転車の利用を促進するためには安全で質の高い専用レーンを作ることが不可欠だ。専用レーンは、車道や歩道から区切られたスペースに作る必要がある。これは、今後数年にわたり交通量の増大が予測されるというだけではなく、政府や連邦議会も認識しているように、犠牲者を伴う自転車事故が国内で多発しているという事情を踏まえている。

 ドリス・ロイトハルト連邦交通相は、今回の投票キャンペーンの開始にあたり「00年以降、死亡者数および負傷者数が増加している唯一の分野が自転車事故だ」と述べた。これには電動アシスト車の普及も関係している。

交通事故による死亡者数と負傷者数のグラフ(2000~2017年)

交通事故による死亡者数と負傷者数のグラフ(2000~2017年)。赤色のラインが自転車利用者

(swissinfo.ch)

連邦には義務でなく権限を

 9月23日の国民投票で憲法改正が決まれば、歩行者専用道や遊歩道と同様、自転車専用レーンの基本的理念の策定は連邦政府が行う。イニシアチブ発起人から出されていたこの要求は、政府対案にも引き継がれた。

 一方、イニシアチブは連邦政府に対し「州や第三者による快適で安全な自転車道路網の整備とメンテナンス、および道路網に関する情報発信について、『州の権限』を十分に尊重しつつ、調整と促進を行わねばならない」という義務を課そうとしていたが、これは「行き過ぎ」とされた。

 スイス政府は、スイスの連邦制度および州の主権への配慮から「(連邦は)〜することができる」という表現がより好ましいと判断し、「連邦は調整や促進を行うことができる」という文言にした。

 しかし、結局は、道路網に関して第三者、特にこの分野で活動する組織が取る措置や情報提供について、その調整と促進に連邦の権限が及ぶことになる。その意味ではイニシアチブの要求に沿うものとなった。

「余計な仕事」

 この妥協策が功を奏し、対案は議会を無事に通過した。国民党を除く全政党から支持を取り付けたのだ。保守系右派の国民党議員らは、憲法改正は不要な上、国と州、自治体間の役割分担にも干渉するものだとして拒否している。

 トマス・フルター国民党議員は同党の意見を代表して、「これは州と自治体の主権への干渉だ。現在スムーズに機能している事柄に介入することになる」と主張、「州と自治体は自らの役割をきちんと把握している」と述べた。

 「もともと責任範囲外にあるはずの仕事を国が新たに引き受けるなど論外だ」と、同じく国民党所属のエーリヒ・ヘス議員も口をそろえる。

 同党議員らの間ではまた、自転車専用レーンを全国規模で整備すればただちに自転車利用率がアップするという見通しは甘い、という意見が聞かれる。フルター議員によると、極端な寒暖や降雨、降雪、強風など、頻繁な悪天候が自転車利用のネックとなっている。それに加え、自転車の日常使いに適しているのは平坦な道のある場所、つまり都市部に限られており、都市部には自転車専用レーンを拡充する余地はほとんどないという。

 最終的判断は有権者に委ねられる。投票に持ち込まれるのは対案のみとなった。政府がまとめた妥協案が議会の多数およびイニシアチブ発起人の賛同を得たことから、イニシアチブは政府対案に一本化するために撤回されたためだ。この対案は、有権者と議会の両方で過半数を獲得しなければならない。


(独語からの翻訳・フュレマン直美)

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