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第44回アート・バーゼル アート・バーゼル、川俣正の作品が刺激



アート・バーゼルの広場に建てられた川俣正の「ファベーラ・カフェ」

アート・バーゼルの広場に建てられた川俣正の「ファベーラ・カフェ」

(swissinfo.ch)

世界最大の現代アートフェアであるアート・バーゼルの第44回展が16日、来場者7万人を記録し終了した。「今年は例外的に質の高い美術品が展示された。買い手の質も高く、投資のためにのみ購入する客がほとんどいなかった」と関係者は話す。また、日本のアーティスト、川俣正(かわまたただし)のインスタレーションが会場入り口の広場を飾り、その高い造形性で人々を惹きつけた。

一過性の小屋

 北京オリンピックのスタジアム「鳥の巣」の設計で一躍世界の注目を集めた、スイスの建築家ヘルツォーク&ド・ムーロンはバーゼルの出身。ここにオフイスを構える。今年2人はアート・バーゼルの会場の上に新しく2階を増築した。その外装は、リボン状の灰色の金属が波打つように並ぶもので、それだけで「アート作品」の感を呈している。

 こうした、完璧でシャープな建築をバックに、川俣の「バラック」的な小屋が18軒、入口の広場「メッセプラッツ」に並んだ。一部は喫茶店やバーに利用されているが、多くは観客の休憩所、ないしは単なる小屋として建っている。

 屋根はさびたトタン。小屋の周りは解体された家屋から拾ってきたような、古びた窓枠などの廃材でできている。しかしよく観察すると、一つの窓枠の上にもう一つの窓枠がずらして打ち付けられ、それが彫刻のような造形性を生み出している。テーブルの脚や支えも必要以上の木材が斜めに横にと重なって打ち付けられ、「一つのテーブルのオブジェ」になっている。

 廃材の個性・質が再利用されることで、新しい空間と造形を生みだす。だが、それらは強風でも吹けばすぐに壊れてしまうような「一過性」を呈し、崩れてはまた生まれる変わるといった連続性も喚起する。

(swissinfo.ch)

建築的な造形性

 こうした建築的な造形性は、今回の一つのテーマとして、巨大彫刻などを展示するアート・アンリミティド(Art Unlimited)の会場にも一貫して流れている。中国の芸術家艾未未(アイウェイウェイ)のインスタレーションは、白いカーテンで四角に囲んだ空間の中に簡易ベットが8台並ぶだけのものだ。そうした簡単な設置だけで、閉じた空間が生まれる。

 だが、ベッドの足元に置かれた(これもまたひどく簡易な)スーツケースは、人生の「一過性」を象徴するようでもある。

 カール・アンドレもどっしりとした表面の粗い木材の立方体を、一つは床に寝かせ次の一つは立てるというふうに繰り返しただけの作品を展示する。接着剤も使わずただ並べられた木材は、不安定でありながら、座ると椅子に変化するような安定性との間を行き来する。

 ところで、これらは美術館のいわゆる展覧会作品ではなく、気に入れば購入できるというところが、アート・バーゼルの特殊なところだ。全ての彫刻、インスタレーションには、コンタクトをとるべきギャラリーの名が添えられている。

ファベーラ・カフェ

 さてメインの、世界から厳選された304軒のギャラリーが所狭しと並ぶ展示場では、今年4千人のアーティストの作品が観客を惹きつけた。

 大手の有名なギャラリーには、ピカソ、クレーやキリコ、アメリカのフランク・ステラや、作品数が少ないといわれるスイス人女性アーティストのソフィー・トイバー・アルプの作品も展示され、「まだ手に入る巨匠の作品」の多さに圧倒される。あるギャラリストは「アート・バーゼルは、鑑識眼の高いベストの客に、ベストの値段で売れる場所だ」と語っている。

 ところで、前出の川俣のバラック群「ファベーラ・カフェ(Favela Café)」。ファベーラとは南米の貧民街を意味する。

 実はこのカフェで会期中、「ここにあるエスプレッソの器械は、南米の貧民街では決して手に入らないもの。このインスタレーションは本当の貧民街を表現していない」と主張する若い芸術家など約100人が、自分たちで「本当の貧民街の」小屋を建て、音楽やダンスを始めた。

 そこに、騒ぎが大きくなるのを恐れた警察が介入。彼らの作った小屋が取り壊されるという一幕があったと、ドイツ語圏の日刊紙ターゲス・アンツァイガーは伝えている。

 川俣の作品は、既成の高価な美術品売買の世界に、「一過性」や「リサイクル性」を持ち込んで、少し切り込んだように見えるが、それをさらに批判する人がいたというおもしろさがここにはある。

 このように、アートバーゼルは現代アート売買の最高の場であると同時に、「インターアクション」のある、生き生きとしたアートフェアである点が特徴だと言える。

アート・バーゼル(Art Basel)

スイスのバーゼルで6月13~16日開催された第44回アート・バーゼルには7万人の来場者が訪れた。

メインのギャラリー会場には、304軒のギャラリーが展示を行い、出品作家数は4千人を数えた。

また、以下のようなセクションを含む。

アート・アンリミティド(Art Unlimited)は、巨大なサイズのアートの展示で、今年は79点の作品が出品された。

アート・パークール(Art Parcours)は、有名な作家ないしは新人による屋外でのインスタレーション。

アート・フィーチャーズ(Art Features)は、専門家が企画したプロジェクト、ないしはテーマによる展示。

アート・バーゼル・カンバセーション(Art Basel Conversation)は、アート界の中心的人物によるパネル討論会。

アート・フィルム(Art Film)は、アーティストによる映画作品、またはアーティストを主題にした映画作品の上映会。

インフォボックス終わり


バーゼルにて, swissinfo.ch


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