スイスの視点を10言語で

第31回、ジュネーブ国際発明展開幕

火傷しないチーズフォンデュー器(スイス) swissinfo.ch

世界知的所有権機関(WIPO)の本部があるジュネーブで、国際発明展が9日から13日まで開催される。今年は、新型肺炎(SARS)やイラク戦争などの影響で昨年に比べると参加者は減少気味。

世界42カ国、585人の出展者がここ1年以内の発明を披露し、ビジネスパートナーを探す機会を得る。欧州では重要な発明展で発明家にとってはビジネスチャンスだ。76%が欧州からの参加でアジアからは10%。今年はロシアやルーマニアなど旧共産圏からの参加が多い。

参加者

 会長、創立者のバンサン氏によると昨年の展示会で商談につながった額は3千万�j(約36億円)相当で、参加者の35%が個人の発明家、残りの65%は企業や研究所に所属するという。世界知的所有権(WIPO)の戦略計画政策立案室の高木善幸上級部長は日本との発明展の違いをこう説明する。欧州では独立したエンジニアが会社を立ち上げての参加が多く、これに反して日本ではエンジニアは企業に属しているため、むしろ学生や主婦の参加が多いという。同氏は日本からの出展者がいないのは地理的に遠く、日本に多くの発明展があるからではないかと指摘する。

発明大賞

 この展示会では37の異なるスポンサー賞が贈られるが、一番重要なのは主催者が受け渡すグランプリで受賞すれば品質証明書のような役割を果す。技術、経費、潜在的なマーケットなどを考慮して選ばれる。昨年のグランプリは、スイスから出展の「人の姿勢の良さ測定器」で左右対称を測る医療機具が受賞したが過去にはオーストラリアからの爆発させずに岩を壊す技術が選ばれたりと様々である。毎年、22もある別々な部門から一つのグランプリを選ぶのは至難の業だという。

ユニークな発明

 今年の展示は柏の木のアイスクリームから車の屋根に乗せるキャンプ用テント、電動ローラースケートなど多岐にわたる。スイスらしい発明に、電気器具が鍋の内側に組み込まれて、火傷をしない、洗うのも簡単なフォンデュー器があった。フランスのエンジニア、ケイロル氏は地雷を避けて歩ける金属探知機が組み込まれた靴を開発。金属を探知するとふくらはぎに取り付けた紐に弱い電流が送られ自動的に足が地雷を避ける仕組みになっている。フランスの軍隊がこのアイデアの商品性をテストしているという。「将来は軍隊だけでなく、東南アジアなど地雷が残る地域で電柱を取り付ける仕事をする市民などにも利用してもらえたら」と語る。第一次湾岸戦争の再にどうにかして地雷を除けられないものかと頼まれた時に、戦争映画を見ながらアイデアを思いついたという。

swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。

他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部