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米大統領選ブッシュ氏勝利とスイス経済への影響

米大統領選は、史上最大の接戦を共和党ブッシュ氏が制した。米大統領選の結果は、スイス経済に重大な影響を与える。アナリストらによると、輸出産業は企業寄りのブッシュ候補を応援するべきだと力説していた。

米大統領選は、史上最大の接戦を共和党ブッシュ氏が制した。米大統領選の結果は、スイス経済に重大な影響を与える。アナリストらによると、輸出産業は企業寄りのブッシュ候補を応援するべきだと力説していた。

アナリストらによると、スイス実業界のリーダー達は、当初から自由貿易の旗手を自認するブッシュ氏を応援していた。対するゴア候補は、市場から「干渉主義者」の候補として見られた。チューリッヒ州立銀行のアナリスト、ハンス=ヨルグ・シュミット氏は、ゴア候補が経済を統制するの必要があると宣言した事をあげ、「ゴア候補が保護主義勢力からの圧力を受けがちなのに対し、企業寄りのブッシュ候補は自由貿易支援を打ち出している。」と分析する。そのため、スイスの多国籍企業は、ゴア候補の勝利は規制強化に繋がる怖れがあると見ていた。

ゴア候補は、ノバルティス、ロシュのスイス多国籍企業が業界トップに名を連ねる医化学薬品部門を規制の対象として上げた。「ゴア候補は、この部門は、何を売るか、誰に売るか、価格をどうするか等の規制を強化をする必要があると発言した。ブッシュ候補は、どちらかというと規制緩和の方向を取っている。もしゴア大統領が誕生し、医化学薬品部門で規制強化されたら、この部門のスイス企業の売り上げが落ちるのは明白だ。」とシュミット氏は解説する。

さらに、スイスの輸出産業界には、ゴア候補が当選するとドルが切り下げられる可能性が強いため、スイス製品が割高になり輸出が苦しくなるという懸念がある。市場のブッシュ支持は、ゴア候補の当選は株の急落が起こり、ドル立て株の売りが進む懸念があるからだとシュミット氏はいう。「近年のドル高傾向で、スイス製品は割安感を保っていた。ゴア候補の勝利でこの流れに変化が起きたら、スイス企業の米国での売り上げは困難になる。」

が、どちらの候補が勝っても、株式市場のおける影響は小さく短期的なものだと、シュミット氏は見ている。なぜなら、経済政策決定における大統領の影響力は、議会次第だからだ。共和党が多数派の議会は、たとえ「ゴア政権」が干渉しても最小限のものにくい止めたであろう。さらに、連邦準備銀行のアラン・グリーンスパン議長がいる限り、市場が自信を失う事はないという。グリーンスパン議長は米経済の続伸を保証しており、グリーンスパン氏の離職の方がホワイトハウスにおける政治指導者の交代よりも米経済に与える影響は大きい。





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