スイスで近年、仕事でストレスを感じる人やバーンアウト(燃え尽き症候群)に陥る人の割合が急増した。独語圏日刊紙NZZ日曜版が22日に報じた。
このコンテンツが公開されたのは、
仕事が原因で病気にかかった人の数は過去5年で2割増加。うつ病などの精神疾患を患う人の数は3.5割増加した。健康保険会社Swica外部リンクが行った統計データ(未公表)を元に、NZZ日曜版が報じた。
Swicaのロジャー・リトラー社長はNZZの取材に「この憂慮すべき状態を引き続き注視する」と話し、「特に精神疾患の広がりは懸念事項だ」とした。
>>スイス人は週に何時間働く?
リウマチや腰痛や関節痛、けがによる痛みが3カ月以上続く慢性疼痛(とうつう)など、心理的な要因が強く関係する病気にかかる人は3割増加した。一方で心臓疾患、ウイルス、がんなどの割合は調査期間中で変化がなかった。
Swicaは、約3万社の会員企業と約60万人の従業員を抱えるスイス最大手の保険会社。統計データはストレス関連疾患に関する従業員への聞き取り調査を元に作成された。
健康保険会社の統括組織、サンテスイス(santésuisse外部リンク)が2018年1月に発表した調査では、スイスで働く人の4分1が仕事でストレス状況下にいることがわかった。
労働組合の上部組織トラバーユ・スイス(Travail Suisse外部リンク)が発表した「よい仕事バロメーター」調査では、職場で抱えるストレスの高さが顕著だった。41%が頻繁に並~強度のストレスを感じていると答えた。
おすすめの記事
おすすめの記事
スイス人、富をエンジョイする暇がない?
このコンテンツが公開されたのは、
スイスは一人当たりの個人資産が世界で最も多い国の一つだが、富に代償はつきもの。スイス人の成人男女の9割が自分の好きなことに時間を使えず、ストレスを抱えているという。
もっと読む スイス人、富をエンジョイする暇がない?
続きを読む
おすすめの記事
スイスで「燃え尽き症候群」は病気?
このコンテンツが公開されたのは、
燃え尽き症候群(バーンアウト)に関しては、世界保健機関(WHO)が新分類を導入したにもかかわらず、雇用者にも医療関係者にもいまだによく理解されていない。失敗を恐れる文化のあるスイスは、燃え尽き症候群とその治療という問題にようやく正面から向き合いつつある。
もっと読む スイスで「燃え尽き症候群」は病気?
おすすめの記事
スイスの教育現場に警鐘 急増するバーンアウト教師
このコンテンツが公開されたのは、
長時間勤務、終わりのない事務作業、対応の難しい生徒とその親。これらすべては教師がバーンアウト(燃え尽き症候群)に陥る原因だ。スイスのフランス語圏で行われた最新の調査で、教師の約40%がその危険にさらされていることが明らかになった。
もっと読む スイスの教育現場に警鐘 急増するバーンアウト教師
おすすめの記事
「Karoshi」スイスでもニュースに
このコンテンツが公開されたのは、
NHKの政治部記者の過労死がスイスでも大きく報じられている。月間の残業が最大159時間に及んでいたことに注目し、「Karoshi」との単語とともに日本の長時間労働の問題を取り上げている。
もっと読む 「Karoshi」スイスでもニュースに
おすすめの記事
うつ病などの精神疾患 もっとオープンに話し合える社会に
このコンテンツが公開されたのは、
精神疾患を患った過去をもつ人を雇用できるか?自分の子どもを預けられるか?この二つの問いにイエスと答えた人は、前者でもわずか38%。後者に至っては14.2%だった。精神疾患にまつわるタブーに立ち向かうスイス初の全国キャン…
もっと読む うつ病などの精神疾患 もっとオープンに話し合える社会に
おすすめの記事
バーンアウト、働きすぎて「ゆでガエル」になる前に予防を
このコンテンツが公開されたのは、
スイスではここ数年、ストレスからバーンアウト(燃え尽き症候群)に陥る人が急増。一つの社会現象ともいえるほどだ。このバーンアウトをテーマにローザンヌで先月、シンポジウムが開かれた。そこで講演した専門家のキャトリン・ヴァゼーさんは、仕事に没頭しすぎて燃え尽きてしまう人たちを、ぬるま湯から徐々に温度を上げられてもそれに気付かず、最後は「ゆでガエル」になってしまうカエルに例え警鐘を鳴らしている。
もっと読む バーンアウト、働きすぎて「ゆでガエル」になる前に予防を
おすすめの記事
スイス人は週に何時間働く?
このコンテンツが公開されたのは、
週41時間10分。これはフルタイムで仕事をしている人のスイスの平均労働時間だ。他の多くの先進国と比較して少ない。どのようにスイスはこの幸せに見える状況を作り上げたのか。なぜ労働組合や業界団体はそれでもこの問題に取り組んでいるのか。
もっと読む スイス人は週に何時間働く?
swissinfo.chの記者との意見交換は、こちらからアクセスしてください。
他のトピックを議論したい、あるいは記事の誤記に関しては、japanese@swissinfo.ch までご連絡ください。