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観光業は独創的に

ヒツジのようにコツコツとトップを目指す? swiss-image

スイスの観光業界は1990年代初めから好況に沸いている。だが、構造的な欠陥と自己満足からくる安心感がさらなる発展の可能性を遠ざけているようだ。

このコンテンツは 2008/04/22 15:26

「難問に立ち向かい、効率を向上させる一番の方法は、独創的に考えること」。これが毎年恒例の全国観光会議で出た今年の結論だ。

「あるリゾートホテルが満室だったとき、隣のホテルに空室があってもそれを探すことができない」
と嘆くのは、スイス政府観光局のユルク・シュミット氏だ。

協力体制に改善の余地

これは、スイスに数百ある観光局の協力体制が整っていないことから発生する問題の1つ。シュミット氏はまた、スキーのハイシーズンに集中するアルプス地域の宿泊施設不足など、ほかにも目立ってきている問題を解決するためにもいま新しい考え方が求められていると言う。

「空室があっても、部屋を探している人に見つけてもらえない」という苦情のある観光地は多い。しかし、空いているベッドのほとんどは個人が所有している休暇用シャレーやアパートに置かれているもので、使用していないからといって貸し出せるベッドではないことも事実だ。

ここ数年、観光産業は堅調な成長を続けており、2007年にスイスを訪れた観光客の宿泊数は延べ3640万泊に達した。前年に比べて4.4%の伸びであり、1992年以来最高の数字となった。そして、今年は再びこの記録を破るのではないかと期待されている。オーストリアとの共催によるサッカー欧州選手権「EURO2008」でさらに50万泊が見込まれているからだ。

客が少ない?

ドリス・ロイタルト経済相は全国観光会議でのあいさつで、休暇施設について
「休暇用アパートが多すぎるのか、ゲストが少なすぎるのか」
と皮肉った。また、観光業界が抱える問題を解決するためには、「ビッグアイデア」だけではなく、勇気と粘り強さも必要だと述べた。

スイス南部のイタリア語圏の町ルガーノ ( Lugano ) で開催されたこの会議では気候の変動もまた大きなテーマとなっており、「活動計画」という形でさまざまな案が紹介された。観光業界はもっと積極的に二酸化炭素( CO2 )の排出量を制限し、自然災害の増加を招く温暖化に適応し、さらにスイスの長所を売り込むべきだという。スイスの長所には標高の高いスキーリゾート地や新鮮な山の空気も含まれるが、この計画書は「気候変動という難題の逆手を取れば、ほとんどの観光地では失うものよりも得るものの方が多くなる」とさえ主張する。

この会議で基調演説を行ったシカゴ市ノースウエスタン大学のアンドリュー・ラゼギ教授も、スイスの「商品」は素晴らしいと賛同する。しかしその反面、スイスは人の心に訴えるアピールに欠けているとも言う。

「時機適切でスイス特有ともいえる『詳細へのこだわり』は評価されている。それはよく知られていることだが、感情に訴えるということにも挑戦してほしい。例えばイタリアはまったくその逆で、気候変動に対する取り組みを感情と結びつけている。だが、何事も計画通りに運ばないことも了解済みだ。スイスでは物事はうまく運ぶが、感情へのアピールがない。スイスは自分たちの取り組みをどんなふうに伝えるつもりなのか」

セックスアピール

しかし、政府観光局の方向はすでにそちらの方向へ動きつつあり、数週間前に終了した広告キャンペーンは大成功を収めている。このキャンペーンに起用されたのはハンサムな半裸の男性スキーインストラクターだ。ポスターやテレビでこのCMを見た人がスイス政府観光局のウェブサイトにログインし、好みのインストラクターに1票を投じるというキャンペーンだった。

このシンプルなアイデアは各国のマスコミでも報道され、スイス政府観光局のサイトをクリックした人は数百万人に上った。また、懸賞のスキー休暇を獲得しようと、美男スキーインストラクターコンテストに参加した人も50万人近くいたという。

型にとらわれず、独自の大きな構想を持つことが問われている今、インターラーケン観光局のシュテッファン・オッツ局長は、
「ロシアからもっと多くの観光客を呼び寄せるために、『湖上ウォッカ・クルーズ』をやってみては」
とアイデアを膨らませる。

「数は少なくてもいいが、規模や経済的影響のより大きい観光局が必要だという声もある。私自身、規模はあまり関係ないと思っているが。いずれにせよ、『商品』のことを考えずに構造改革に焦点を当てても意味がない」

swissinfo、デイル・ベヒテル ルガノにて 小山千早 ( こやま ちはや ) 訳

観光産業の成長

2007年、スイス観光産業にとって重要なマーケットの中で客数を伸ばしたのはオランダ人観光客。宿泊数は前年比の9%近く増加し、1年間で延べ94万8000泊となった。

最大外国人観光客グループのドイツ人も前年比5.6%増で、1年間の宿泊数は延べ600万泊だった。

この先、伸びを期待されているのはロシアやインド、スペイン、中国の各国で、2011年までに、合わせて年間40万泊から60万泊に成長すると予想されている。

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