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赤十字にもう一つのシンボルを

将来は赤十字の活動を表す標章として現在使用されている赤十字や赤新月の他に「赤いひし形」も加わるかもしれない

(swissinfo.ch)

赤十字の救護活動に欠かせないのが「救護活動を行なっていますよ」と示す旗で、「白地に赤い十字」またはイスラム圏では「白地に赤い月」だ。この標章は国際法上、戦闘から守られることが約束されている。

ジュネーブ条約を受託されたスイス政府は年内にジュネーブ条約に批准している192カ国を招請する予定だ。狙いは「赤いひし形」を新たな標章としてジュネーブ条約の第三の追加議定書に加えることだ。これには様々な理由がある。 

 赤十字運動の標章問題は今に始まったことではなく、これまでも赤十字国際会議などで何度も盛んに議論が繰り広げられてきた。1990年代には前ソマルガ赤十字国際委員会委員長が「含意のないマークを」と新しい標章の使用を提案していた。

背景

 赤十字の旗に使われる白地に赤い十字のモチーフは日本人にもお馴染みだ。赤十字国際委員会(ICRC)の創設者、アンリ・デュナン氏が祖国スイスに敬意を表して、スイス国旗の赤と白を入れ換えて使用したことも有名だ。この標章は1863年に作られ、その13年後、イスラム圏ではキリスト教を想定させるとして十字の代わりに赤い月(赤新月)のマークが加えられた。1949年に定められたジュネーブ条約ではさらにペルシアの赤いライオンマークも加えられた。イラン革命以後、イラン政府はライオンマークを使用しないと宣言したため、今はこの二つしか使用されていない。

問題のマーゲン・ダビド公社

 現在、イスラエルの赤十字社に相当する赤盾ダビド公社(またはマーゲン・ダビド公社Magen David Adom)は創設以来、キリスト教でもイスラム教でもないとして「赤いダビデの星」を標章に使用している。このため、ICRCから承認を受けられず、国際赤十字・赤新月運動にも加盟できていない。また、キリスト教徒とイスラム教徒の両者がいるエリトリアでも赤十字と赤新月を両方使用しているためにエリトリアの救護団体は赤十字社として正式に認められていない。
 
 しかし、ジュネーブ条約では上記に挙げた3つの標章しか認めていないため、ICRCも認めるわけにはいかないという状態にある。

 さらに、米国の赤十字社などはイスラエル赤十字社が排除されていることへの抗議として2000年来、国際赤十字社・赤新月社連盟へ分担金を払うのを拒否している。

赤十字マークの混乱を防ぐ「ひし形」案

 この状況を打開しようとICRCが提案したのが「ひし形」(英語ではRed Cristalと呼ばれているが、公式名称ではない)だ。ICRCの広報官のイーアン・パイパー氏は「全く、宗教や文化上の意味を含まないシンプルな形」から選んだと言い、各国で行なわれた長年の調査から生まれた。その認識性はスイス軍によりテストされたという。ICRCにとって、この「ひし形」を加えることで各国の赤十字社が勝手なシンボルを使用するのを抑えるのが狙いだという。

 もし、追加議定書が発効されれば、「国際赤十字・赤新月運動」の呼び名は新しく「国際赤十字・赤新月・赤ひし形運動」と改名するのだろうか?


swissinfo、  屋山明乃(ややまあけの)

補足情報

- 赤十字国際委員会(ICRC)と国際赤十字社・赤新月社連盟(IFRC)および各国赤十字・赤新月社を合わせて国際赤十字・赤新月運動と呼ぶ。ICRCは主に武力紛争地域の救護活動を、IFRCは自然災害において、各国赤十字・赤新月社の活動の調整を主な任務とする。

- 各国で活動する赤十字社はICRCの承認を必要とするが、イスラエルで活動する赤十字社に相当する救護団体、赤盾ダビド公社(またはマーゲン・ダビド公社Magen David Adom)は赤いダビデの星を標章に使用しているためにICRCから認められず、IFRCにも加盟していない。

- 戦争犠牲者の救済を目的とする1949年のジュネーブ条約(赤十字条約ともいわれる)で赤十字運動の標章が定められている。

- もし、ジュネーブ条約の3つ目の追加議定書として「赤いひし形」が認められるようになれば、「赤い十字」や「赤い月」と同じ意味を持ち、3つのうちのどれかを選択できる。場合によっては、赤いひし形(Red Cristal)の白い部分の中に赤い十字、月または両者かダビデの星のマークを使用できる。

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