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軍縮で戦車のセール

スイス軍隊の戦車 M-109型機 Keystone

スイス軍は縮小の方向にあり、現在36万人いる兵士を来年から徐々に22万人まで減らす計画である。これに伴い戦車や戦闘機なども古い型のものから売却することになった。現在およそ2000台の戦車や戦闘機100機などが売りに出されている。

アラブ首長国連邦がすでに40台の戦車を購入し、米国も32機の戦闘機を購入した。ブラジルやタイもスイス軍から購入を考えているという。

軍隊縮小計画「軍隊XXI」によりスイス軍隊の規模が縮小されるのに伴い、2000台以上の戦車および100機の戦闘機が売却されることになった。

スイス軍隊のゴディ・フーバー広報担当は、売却される戦車や戦闘機はメンテナンスもよく、国際武器市場でも需要は高いと見ている。市場に売り出されているのは、戦車や戦闘機で、これまで売却されたのは、戦車40台と30機の戦闘機。

ライフルなどの小型の武器はスイス国内で破壊処分となる。

これまでの売上は3000万フラン

 スイス国内を走っていた戦車40台は500万フラン(およそ4億5000万円)でアラブ首長国連邦へ売却された。アラブ首長国連邦は、購入した戦車は改造が必要としてスイスの武器生産者との契約も成立した。
「スイスの軍事産業も潤う」 
と先出のフーバー氏は国の歳入のほかに、今回の売却処置の国内経済への効果を語った。

 F-5E型タイガー戦闘機32機は、米国が2500万フラン(22億5000万円)で購入。米軍で練習用に使われるという。すでに4月には一部が受け渡しを完了し2007年までにすべてが米国へ渡される予定である。イラクに戦争中の米国に対してスイスは、戦争当事国には武器を輸出を禁止する法律があるため、戦闘機の輸出を一時保留していた。しかし、米国から購入予算を打ち切ると主張され、一部を受け渡したという経過がある。

 この他、ブラジルはタイガー戦闘機を数機、タイからも190台の戦車の購入の希望が寄せられているという。

軍縮を進めるスイス軍

 スイス軍は2005年までに、M-109型戦車を217台、68/88型戦車を190台、ミラージュ機20機などを売却する予定。 スイス軍隊縮小計画「軍隊XXI」に従い、今回の武器売却でこうした戦闘機のメンテナンスにかかる費用が年間1億フラン(およそ900億万円)節約できるという。

スイス国際放送 佐藤夕美 (さとうゆうみ)

売却リスト

戦車 M-109型(28�d、5人乗り 長砲身とライフル付) 217台

戦車 68/88型 (クレーン付の運搬用戦車)190台

戦車 M-133型(兵士運搬用)1000台以上

ミラージュ機 20機

その他                   

今年5月18日に行われた国民投票では、スイス軍隊縮小計画を遂行するための軍隊法、「軍隊XXI」が投票者の76%の支持を得て国民に承認された。

スイスは国民皆兵で、兵役に適するすべてのスイス男子は徴兵される。

女子も希望により志願が可能だが、直接の戦闘には加わらない。

これまで35万人規模のスイス軍は2007年までに22万人に縮小される。

兵役義務は300日から260日に短縮

退役は42歳だったが、30歳まで遅くとも34歳までとする。


20歳になるとスイスの男子全員が入学する兵学校での訓練はこれまでの15週間から18週間もしくは21週間に延長される。

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SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

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