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迫る危機、国家破産に備えて国際破産制度の導入を



10月5日、厳しい緊縮財政政策を課されたギリシャ国民は財務省に抗議。ストを起こした。

10月5日、厳しい緊縮財政政策を課されたギリシャ国民は財務省に抗議。ストを起こした。

(Reuters)

ユーロ圏で債務不履行のリスクが高まる中、スイス政府は、国家破産に対処する国際的な法的枠組みの動議を検討し、他国にも働きかける予定だ。

28人の連邦議会議員で編成されたグループも、将来、ある1カ国が破産した場合に備えた「公正で独立した」国家破産制度を支持している。

 動議では、こういった国家破産制度を設定することは、将来的な債務危機を回避し、通貨および、金融システムの安全性を確保する上で有益だと述べ、さらに、政府に、制度実現のために国際的な支援とその実施を提唱するよう求めている。

 この動議はチューリヒ州の急進民主党(FDP/PRD)全州議会(上院)議員、フェリックス・グーツヴィラー氏が提案した。以来、この問題を国際的な問題として取り挙げているNGOの活動もより盛んになっている。

 グーツヴィラー氏は、国家破産に対処する国際的な法制度が欠如していると、金融市場に不確実性をもたらすと言う。ギリシャの債務返済能力をめぐって投機が行われた結果、現在の市場は不安定に変動していることが何よりの証拠だ。

 「国家が破産したときに、どのような手続きが行われるのか債権者が心得ていなければ、不確実性はさらに増す。これはとても危険なことだ。しかし、明確な法的手続きを取り決めることによって不確実性を軽減することができる。また、このプロセスは重要な役割を果たし、ヨーロッパやほかの経済大国のためにもなる」とグーツヴィラー氏は説明する。

隣国に迫る危機

 スイスは1990年代に初めていくつかの国際的パートナーと共に、債務返済不能な国家に対処する国際法を制定するという提案を行った。しかし、国際的な支持がほとんど得られないことが判明し、この提案は却下された。

 

 また、2001年のアルゼンチンの破産宣言をきっかけに、国際通貨基金(IMF)は国家が債務再編を円滑に行えるように国債再編メカニズム(SDRM)を国際通貨基金の条約の中に折り込もうと試みたが失敗に終わった。

 スイスの金融システムを監視するNGO「アクションスイス金融業界(AFS/APS)」の代表を務めるアンドレ・ローテンビューラー氏は、ギリシャが財政困難に陥ったことで、国際破産制度の制定に対して新たに支持を得ることになったと説明する。

 

 また、ノルウェーはこういった計画を既に提唱しており、ドイツではアンゲラ・メルケル首相を始めとする、中心的人物が国家破産における国際規定の導入に同意しているという。

 「この提案は国際討論の中核になり、問題意識は1990年代よりもさらに強くなっている。デフォルト(債務不履行)は今、ほかでもない、ここヨーロッパで起きようとしている。これは我々の隣国で起こっていることなのだ」とローテンビューラー氏は語気を強める。

国家破産法廷の必要性

 国家破産の処理手続きに関する法的枠組みに関する動議では、債務国と債権者との間で債務再編成を協議するために公式な国際破産法廷に持ち込む前に、まず、非公式で独立した「仲介者」を制定しているとローテンビューラー氏は説明する。

 また、独立した仲介者との手続きを始める前に、破産処理において国家が満たさなければならない基準も設定するべきだという。しかし、法制度は債務不履行を起こした国家が国民に(医療、教育、食料、水といった)必要不可欠なサービスを供給し続けることができるよう保障するものでなければならない。「これまで国家が債務を返済できず、困難に陥った場合は、大抵、債権者が思うままにしてきた」とローテンビューラー氏は語る。

 

 グーツヴィラー氏は、この計画に対して大部分の個人投資家から肯定的な反応が得られると期待しているが、ヘッジファンドや危機的状況に弱いアフリカ諸国に投資する人たちは、こういった提案に抵抗すると予想している。「彼らは国際的な法的制度に従うよりも、(債務国に)圧力をかけて取り引きできる自由な環境を好むだろう」

 

 また、「おそらく最も困難な点は、この提案に関して国際的なコンセンサスが得られるかどうかだ」とグーツヴィラー氏は付け加える。

スイスの役割

 確かに国際的な国家破産制度を確立するためには、まず、こういった制度に対する国際的な支持を得て、破産処理手続きに関するコンセンサスを諸外国から得ることが最も大きな課題になる。 

 

 しかし、グーツヴィラー氏やローテンビューラー氏は、スイスは主要な金融立国として、また、金融安定理事会(FSB)、世界銀行(WB)といった国際金融機関のメンバーとして、国際レベルの政策を推し進める上で理想的な立場にいると主張する。

 また、「連邦政府は年末までにこの問題を取り上げ、動議を採決するだろう」とグーツヴィラー氏は楽観的だ。「スイスはこの問題に取り組む国際組織の中でも非常に有利な立場にいる。世界の金融界の中心国として、スイスは国家破産制度という素晴らしい提案を行うことによって、存在感を高めることができるだろう」

フェリックス・グーツヴィラー(Felix Gutzwiller)氏の動議内容

スイス政府は公正で独立した国際破産制度の設定に関する動議を審議しなければならない。この制度は、将来的な累積債務危機を回避し、安定した通貨金融システムを確保する。また、この制度は個人投資家も対象とする。さらに、政府は国際的な支援と提案の実施を提唱しなければならない。

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累積債務危機打開キャンペーン

スイスの金融システムを監視するNGO「アクションスイス金融業界(AFS/APS)」は世界の累積債務危機を打開することを目的にキャンペーンに参加している。

キャンペーンでは、破産した国家に対する債務請求の合法性を確立し、債務再構成協定を仲裁する、公正で独立した破産法廷を設立するよう求めている。また、不当な債務や、国家が国民に必要不可欠なサービスを提供することを妨げるような債務を無効にすべきだと主張している。

さらに、今年、G20の議長を務めるフランスのニコラス・サルコジ大統領にも累積債務問題を採り上げるよう要求している。

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(英語からの翻訳、白崎泰子), swissinfo.ch


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