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養蜂問題 続くミツバチの大量死、バロアダニが主因



リーベフェルト・ポシユウ農業研究所では、ミツバチの大量死について研究を重ねる

リーベフェルト・ポシユウ農業研究所では、ミツバチの大量死について研究を重ねる

ミツバチの劇的な大量死と消滅は、ここ数年世界中で起きている現象だ。農薬や気候変動、電磁波まで原因とされているが、主因はやはりダニの一種のバロアダニ(ミツバチヘギイタダニ)の繁殖だ。

 2007年にアメリカでミツバチの大量死が報告されて以来、世界中で同じ現象が起きている。ところが、2011年の秋から2012年の冬にかけ、スイスでは初めて壊滅的なミツバチの消滅が報告された。

 連邦経済省農業局(BLW/OFAG)の調査によると、スイス全国のコロニーの5割、つまり10万個のコロニーが全滅したのだ。

第一の原因はバロアダニ

 ミツバチ消滅の原因は多様で、除草剤と殺虫剤の使用、花の多様性の欠如、病原菌の繁殖、気候変動、遺伝子組み換え作物の導入、電磁波などが挙げられている。

 しかし、専門家は第一の原因はバロアダニ(Varroa mite)によるバロワ病だとしている。「いくつもの研究が、もしこのダニが大量に寄生した場合、コロニーが冬を越すのは難しいと証明している」と、リーベフェルト・ポシユウ農業研究所(Agroscope de Liebefeld-Posieux)のジャン・ダニエル・シャリエール研究員は説明する。シャリエール研究員は国際的な調査にも参加している。

 同じ声が養蜂家からも上がる。「ミツバチ消滅の要因は多様だ。しかし、バロアダニがリストの第一番目にくるのは間違いない。このダニがミツバチの体力を弱め、ウイルスを感染させ、他の病気に対する抵抗力を落とさせる」とヴォー州の養蜂家、ディディエ・ベタンさんは言う。

バロワダニと気候

 しかし、このバロワダニはすでに30年も前からヨーロッパで問題になっていた。なぜ突然、昨年の冬にスイスで膨大な被害をもたらしたのだろうか?

 ベタンさんによると、それは気候と関係している。「冬、女王蜂は卵を産まない。よって卵や幼虫のいる巣板は普通は空だ。ところが、このダニは繁殖するために卵と幼虫が必要。実は、昨年の秋と今年の冬は暖かく、ミツバチは巣板で幼虫を育て続けた。そのため、ダニの繁殖が盛んになった。一方、ミツバチは10月が暖かかったため、休息する代わりに蜜の採集を続け、すっかり弱ってしまっていた」

 シャリエール研究員も調査の結果、 「幼虫を育てる時期が長引く年ほど、ダニの繁殖が多く、コロニーは壊滅状態になることが分かっている」と言う。

ギ酸が有効だが

 では、このバロアダニを駆除する方法があるのだろうか。全くないわけではない。現在のところ巣箱にはギ酸を使うのが一番有効だと言われている。

 だが、これも100%ではない。「バロアダニはギ酸で95%駆除できるが、完全ではない。つまり、容認できる範囲で食い止められるということだ」とベタンさんは言う。

 ただ、このギ酸も、使い方に気をつけなければならない。蜂蜜の収穫時にはその質が変化するため使えない上、使用時の温度も大切になる。なぜならギ酸は気化するので、寒すぎるとうまく全体に行き渡らないからだ。また時には、このギ酸が女王蜂を死なせてしまう場合もある。

 いずれにせよ、地域全体でバロアダニを駆除するには、地域の全養蜂家が協力して、同時に行わなくては効果がない。

抵抗力を持つハチ

 ギ酸以外に、考えられているのがバロアダニに対して抵抗力を持つハチを選び育てることだ。「今までは、女王蜂の生産能力や従順な性格を基準に選んできたが、今後は抵抗力や免疫力が選択の基準として取り入れられるだろう」とベタンさん。

 一方、シャリエール研究員は、ドイツで抵抗力のあるハチを選別する研究が15年来行われているが、なかなか思ったような成果が上がらないと話す。「大切なのは、簡単で一貫した選別の基準を作り出すことだ」

 さらにこう付け加える。「我々はバロアダニを病気にする病原菌の研究も行っている。しかし、ハチや幼虫にとっては危険にならないような病原菌を探さなくてはならない」

「世界の終わり」ではない

 ところで、ここ数年のミツバチの大量死は「世界の終わり」という考えを呼び起こしやすい。ミツバチがいなければ、多くの果物や野菜は実を付けない。植物も少なくなる。すると動物や人間の食糧が激減し、世界は終わりに近づくというものだ。

 シャリエール研究員は、それはあり得ないという。まず、ミツバチは種として生き残れることを証明したテストが行われたからだ。「スウェーデンの孤島に、150個の巣箱を持って行き、バロアダニに対する対策を一切行わなかった。その結果、六つの巣箱のハチが生き残った。つまり遺伝子的に生き残れるということが証明できた」

 さらに、たとえ蜜を作るミツバチがいなくなるとしても、それによる果物生産の打撃は、春に早く花を咲かせるサクランボ、リンゴ、ナシなどに限られる。もっと遅く開花する野菜類には、他の昆虫が受粉を手伝うからだ。

精神的、金銭的打撃

 だが、今の問題は養蜂家が落胆し、やる気を失くしているということだ。「多くの友人の養蜂家が店仕舞いをした。特に年を取った人達は何の問題もなく長年ハチを育ててきて、突然色々な『治療』を行わなくてはならなくなった。またこうした処置をしても、結局ハチを全部失くしてしまう人がたくさんいる」と、ベタンさんは言う。

 精神的な打撃だけではなく、金銭的打撃も大きい。連邦農業局によれば、この冬の打撃は2500万フラン(約20億円)に及ぶ。同局は「この金額は、養蜂家自身が負担しなければならない」としている。

 シャリエール研究員もベタンさんに同意する。「精神的、金銭的打撃が、恐らく最も重大な問題だろう。しかし、彼らのバロワダニなどに対処する努力のお蔭で、果樹の受粉はまだ行われている」

 だが、こうした落胆の事実があるにもかかわらず、若い養蜂家たちの養蜂に対する情熱は強く、ゼロから再スタートする動きが出ている。たとえ、今年もまた多くのハチの消滅があったとしても、この情熱は変わらないようにみえる。後は、今年の冬が暖冬でないことを祈るしかない。

スイスの養蜂

スイスにはおよそ1万9000人の養蜂家がいる。

コロニーの数は17万個。

1km2につき、4.5個のコロニーがあり、世界でコロニーの密度が一番高い。

蜂蜜は、一つの巣箱につき10kg。

花の蜜の種類は地域によって多様。

基本的なミツバチ用の植物は、果樹類の花、菜の花、アカシアの花、栗の花。また、マツ、スギ、モミなどの針葉樹の葉 など。

 

(出典:アグロスコープ・ agroscope )

インフォボックス終わり


(仏語からの翻訳・編集 里信邦子), swissinfo.ch


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