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高速道路計画地から恐竜の化石発見

発掘現場で足跡を示すウォルフガング・フグ氏 swissinfo.ch

約1億5000万年前の恐竜の足跡の化石がユラ期の地層から発見された。ユラ州Courtedoux村付近の石灰岩層800�Fに渡る範囲から、約500の保存状態の良い足跡が発見され、研究者らは科学的価値に興奮の色を隠せない。が、発掘現場には高速道路計画が。

発見された足跡から、この恐竜は4脚草食性の竜脚類(sauropodos)に属すると見られる。竜脚類は長い首と尾を持ち、大きなもの体長70mにもおよぶが、Courtedouxで発見された足型はほぼ50cmから60cmと小さめで歩幅も狭いことから体長10mほどの小型な恐竜であったと推定される。バーゼル自然史博物館のクリスチャン・マイヤー氏によると、これまでスイスで発見された恐竜の足跡は歩幅が広いものばかりで、このような小さな歩幅のものは珍しい。Courtedouxの足跡は、子供の竜脚類のものか、または特定の種のもののどちらかであろうとマイヤー氏は言う。さらに、発見現場が平坦地であった事も、スイスとしては珍しい。これまでベルン州Moutier、ソロトゥルン州Lommiswilで恐竜の化石が発見された時は、山間部の急な崖の層からだった。

ユラ州古生物学研究部のウォルフガング・フグ部長(地学者)によると、今から1億5000万年前のユラ地方は、今日のバハマのようだった。きれいなビーチに恵まれた島々から成り、湿度の少ない乾燥した気候で気温は高め、針葉樹、シダ、シュロなど竜脚類の食物となる植物が豊富だった。研究者らによると、竜脚類の移動スピードは時速3kmと推定される。

問題は、この発掘現場、貫ユラ高速道路A16の計画地にあたっていることだ。A16の橋脚は現場から100m南に来年末までに建設される計画だが、路線を変更するか橋を延長して発掘現場をまたぎ越すようにしなければ、道路の下になってしまう。現在、研究者らと政府関係部門の間で、現場保護の最良の方法を討議中だ。

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SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

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