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鮮烈な色で金賞のバラ

「金のバラ賞」に輝いたこのバラは、やさしく暖かみのある色合いで女性にも人気が高く「女性が選ぶ賞」も獲得した swissinfo.ch

新しい品種を競う「第63回ジュネーブ国際バラ新品種コンクール」が6月12日、13 日ジュネーブで開催された。雨が上がった曇り空に「鮮烈に映える」ピンクと黄色のフランスのバラが金賞を獲得した。

このコンテンツは 2010/06/14 15:32

今回は、香りより「病気への抵抗力」の点数配分が上がり、100点中30点を占めた。環境への意識が高まる中、薬の散布を必要としない強い品種が求められている。

鮮烈な色と健康な「照り葉」

「長い間オリジナルな色を追求してきたがやっと成功した。オレンジがかったピンクと黄色が共存するようなバラは作り出しにくく、世界で初めてのもの。とても誇りに思っている」
と、「金のバラ賞」を獲得したフランスの育種農園「ジョルジュ・デルバー ( George Delbard ) 」のジャン・ポール・レイノワール氏は満面に笑みを浮かべた。新品種の開発には7、8年間かかるといわれているが、このバラは6年間で生み出されたという。

日本から審査員として参加した岡山ばら会会長の木元淳介氏も
「周りがピンクで中心の黄色がオレンジ色に輝き、暖かみがある。このように鮮烈にアピールする色はそうあるものではない。日本だったら飛ぶように売れる」
と高く評価した。

今年100点中30点という病気への抵抗力の点数も満たしており
「日に輝くつやつやとした『照り葉』は病気もなく健康で、育てていてこれは素晴らしいと思っていた。特に深い緑色の葉は健康そうに見え、このピンクと黄色を浮かび上がらせる」
と、苗木育成の責任者ダニエル・ヤウシュ氏も、健康面を評価した。

ヤウシュ氏がもう一つ高く評価したのは、つるバラのカテゴリーで優勝したイギリスの、「1メートル離れていても甘酸っぱい香りが漂う」紫色のバラだ。

今年、抵抗力が高く評価されることには大賛成だが、香りの点数が昨年より低くなったのは残念だとヤウシュ氏は話す。実際今年の「金のバラ賞」は、色は素晴らしいが香りがほとんどなかった。ただ、香りの高いものは、一般に病気に弱いものが多く、「病気に強く香りの高いもの」は今後の課題だという。

誰にとってもよいこと

今年の採点は、1.受精、育成がよいこと 2.デザイン性 3.開花した花の数 4.つぼみと花の形状 5.色 6.香り 7.革新性の、七つが各々10点で計70点、残り30点が病気への抵抗力の点数だ。これは「世界バラ会連合 ( WFRS ) 」の採点方法で、今年から多くのコンクールが同じ方法を取るようになった。

「病気に強いと薬を散布しなくても自然に育ち、育成家も殺虫剤のせいで病気にかかったりせず、つまり誰にとっても良いことだ」
とヤウシュ氏は話し
「抵抗力を高め、これ以上農薬や化学肥料に頼らず地球を守ろうとする方向性を世界中が目指しているからだ」
と言う。ヤウシュ氏自身、3年前から世界から集まる苗木を、育成家に代わって完全な有機栽培で育てている。しかもこの完全有機栽培方は数あるコンクールの中でもジュネーブだけだ。

ただ、有機栽培にもまだ解決すべき問題が残っており、有機肥料や有機殺虫剤が簡単に入手できること、また価格を抑えることを今後の課題にしている。また、人々の考え方も変わっていかなくてはならず
「有機栽培は買う人の寛容性に関わる。つまりドイツなど有機栽培への理解が進んでいる国では、見た目が悪い苗木でも買っていく。ところが南ヨーロッパでは、まだまだ表面的な美しさが大切だ」
と付け加える。

バラという言葉で繋がる

ところで、同コンクールに今年日本を代表し、パリ市のバラコンクール公認審査官のパリ在住柳楽桜子 ( なぎらさくらこ ) 氏、前述の木元淳介氏といちよ夫人の3人が審査員として参加した。

「ヨーロッパでの国際コンクールに初めて出て、こちらの人のバラ作りには、売れるバラかという市場性と、一般受けしなくてもとにかくきれいだという美的選択とのバランスが取れている」
と木元氏は言う。

また
「日本ではバラ会を中心に、『高島屋のバラ』のような、一本の茎に大輪が付く『立ち木型ハイブリッド・ティー』のものがバラだという独特の伝統がある」
と木元氏は語り、さらにこうしたハイブリッド・ティーの品種のみを交配させると美しくても病気に弱いと話す。

日本の一般のバラ好きの人たちに関しては
「近年はハイブリッド・ティーに限らず、一枝から沢山の花が付くタイプ『フロリバンダ』にも人気がある」
と、柳楽氏は言う。

一方、同コンクールには今回初めて中国から6人の審査員が参加した。
「中国にはバラの原種があり、また現在53の都市がバラをシンボルの花にしている」
と、世界バラ会連合前会長ジェラルド・メイラン氏は語り
「来年もぜひ日本、中国ともに続けて参加してほしい。バラの世界は政治も宗教もなく、ただバラという言葉のみでみなが繋がっている世界だ」
と話した。

里信邦子( さとのぶ くにこ) 、swissinfo.ch

第63回ジュネーブ国際バラ新品種コンクール

品種の数の点で、パリ、ドイツのバーデン・バーデンに次ぐ、世界第3位の国際バラ新品種コンクール。
今年はフランス、オランダ、ドイツ、イタリア、ベルギー、デンマーク、イギリスなど、11カ国から19人の育種家が参加し、新種57株を出品した。
1人の新品種育種家は、1株から5株まで出品でる。
送られて来た苗木をジュネーブの公園「パルク・ラ・グランジュ ( Parc La Grange ) 」で2年間育ててコンクールに備える。
3年前から完全な有機農法で育成している。
今年は南ア、イタリア、フランス、スイス、ベルギー,
オーストリア、モナコ及び日本、中国から国際審査員68人が集合した。
審査は、公平を期すめ、1年に数回審査するスイス国内審査員の点数と、6月12日に行われた国際審査員の点数を合計して評価される。
賞では、「金のバラ賞」は全カテゴリーで最高点を取ったもの。「革新賞」は、オリジナルなバラにスイスの審査員から贈られる。
ほかに「香りの杯」、「メディア賞」、「女性が選ぶ賞」、「パブリック賞」がある。
さらに、「 大きなバラ、小さなバラ、ミニアチュール、公園用バラ ( 日本では修景バラ )、蔓 ( つる ) 状のバラ」のカテゴリーごとに、金賞、銀賞、胴賞、及び証明書が授与される。

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