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2019年スイス先読み(前) 今年のスイス政治に襲い掛かる「ゾンビ」

2019年のスイスを予想するには、過去を振り返る必要がある。今年は、長年の政治的課題がまるでゾンビのように眠りから目を覚ますだろう。その多くはすでに目覚めており、政府や連邦議会に対応を迫っている。スイスに今年襲い掛かる「ゾンビ」とは? 

スイスが今年対処しなければならない「ゾンビ」は主に次の四つだ。

1.老齢・遺族年金制度(AHV)と税制改革:動きあり、前進の可能性も

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踊る骸骨

スイスの有権者は17年、二つの重要な制度改革案を国民投票で立て続けに否決した。AHV改革案(同年2月)と法人税制改革案(同年9月)だ。そこで政府と連邦議会は有権者から支持を得やすいよう、この二つを一本化した案を有権者に提示しようとしているが、果たして成功するだろうか?税制・年金制度改革案他のサイトへが国民投票にかけられることになれば、投票の実施日は今年になるだろう。

法人税制改革案は、スイスの税制を新しい国際基準に適応させ、国際機関がスイスに重い制裁を課すのを避けるために政府と連邦議会が策定したものだったが、17年2月の国民投票で否決された。有権者はその数カ月後、社会保障制度を今後の経済的、社会的状況に対応できるよう政府と連邦議会が進めていたAHV改革案を否決した。 

政府と連邦議会は、今回の改革案でついに問題解決になると期待する。目的はこれまでと同様、法人税制を新国際基準に適応させること、そして少なくとも中期的に社会保障制度の財源を確保することだ。 

だが今回の改革案が連邦議会で可決されても、緑の党および国民党の各青年部がその是非を国民投票で問う方針だ。国民投票を提起するのに必要な署名数5万筆が集まれば、5月19日に国民投票が行われる予定だ。

2.温暖化対策を巡る議論、決め手は国民か

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お尻に火のついた狼

国民議会(下院)では冬の会期中、温室効果ガスの排出量削減に関する連邦法(CO2法)の改正他のサイトへが初めて議論されたが、結果は「空騒ぎ」に終わったと言えるだろう。シェイクスピアの悲喜劇と違うのは、温暖化の影響が徐々に迫る状況に喜劇の要素などない点だ。 

下院は上院(全州議会)に先駆けて、パリ協定の実現に向けたスイスの約束草案に関して議論。数日間にわたりCO2法改正を審議した。 

温室効果ガスの排出量を抑える手段については、例えば航空券への課税やガソリン価格の引き上げなど、右派からも左派からも提案が上がったが、審議が終わりに差し掛かると、一部の中道派議員が途中退席した。こうしてCO2法の改正論議第1幕が終わったが、議場から拍手が沸くことはなかった。 

下院は連邦内閣が出したCO2法改正草案を拒否している。第1党の国民党を中心とする右派議員は、国民経済に悪影響を与えるという理由から草案を拒否。草案は大胆な内容ではないが、社会民主党や緑の党の議員からも支持はなく、下院での審議では中身がさらに薄められた。今年は上院でも審議が行われ、議論はゼロからのスタートとなる。 

ただし、この分野で今年の主役を務めるのは政治家ではないだろう。市民団体は現在、2050年までに化石燃料を禁止する案(氷河イニシアチブ)を掲げており、発議成立に向けての署名集めが始まれば、有権者の意見が見えるようになる。国民投票が実施されれば、国民はこの件に関してわき役から主役となるだろう。

3.基礎医療保険の負担増

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渦を巻く高速道路

医療費の高騰を受け、基礎医療保険の保険料もスイスの時計のように規則正しく上昇している。毎年9月末はスイス人にとって一つだけ気になることがある。それは保険料が上がるかどうかではなく、どれほど上がるかということだ。

負担増の理由はいくつもある。一つは医療の進歩だ。それ自体は喜ばしいことだが、進歩に伴い薬代、手術費、治療費が上昇する。スイス医師新聞  はすでに2011年、「現代の医学が今の速度で大きな進歩を遂げていけば、そのうち私たちは皆、高齢で病気を抱え、一文無しになるだろう」とコメントしている。

ほかには国民の高齢化、移民流入、慢性病の増加、スイスにおける病院および医師の密度が極めて高いことが挙げられる。またスイスの医療制度には誤ったインセンティブがあるほか、制度自体も非効率的だ。さらにスイス人は医療への期待が高く、基礎保険の適用範囲を狭めることには抵抗感があることも、保険料の上昇につながっている。

こうした中、急増する医療費の抑制や保険料の値下げに関する国民投票が現在、4件提案され、すでに署名集めの段階にあるものもある。

4.ミューレベルク原発が廃炉に

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ドラキュラ

スイスを長い間翻弄した古い「ゾンビ  」が19年にようやく墓場に行こうとしている。首都ベルンから15キロメートルの距離にあるミューレベルク原子力発電所が12月20日をもって廃炉となる。1972年に稼働を開始したこの原発は、スイスにある五つの原発のうちの一つ。スイスの電力需要の約5パーセントを供給してきた。

燃料棒を冷却・中和後に中間貯蔵施設に移した後、発電所の解体作業が始まる。解体作業は2030年までに完了する予定。廃炉にかかる総費用は廃炉処理に9億2700万フラン(約1040億円)、放射性廃棄物の処理に14億3千万フランと試算されている。

2019年スイス先読み(後) 2019年のスイスを占う四つの問い

スイスは国際社会で影響力を発揮する一方、世界経済や世界情勢、欧州連合(EU)からも強い影響を受けている。そんなスイスでは今年、連邦議会選挙が行われる。世界の流れに歩みを合わせるか、それとも今の状態を維持するか―。四つの問いを中心に、2019年のスイスを国際的な観点から予想する。



(独語からの翻訳・鹿島田芙美), swissinfo.ch

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