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「第73回ジュネーブ・モーターショー」が3月6日から16日まで開催。

ジュネーブ・インターナショナル・モーターショーの会場。 Keystone

ヨーロッパの全メーカーをはじめ、アメリカや日本などから威信をかけたコンセプトカーが発表される場として注目される。

ヨーロッパ市場へ強い影響力を持つため、日本のメーカーもトヨタ、日産、ホンダなどほとんどが出品している。

ジュネーブモーターショー

 パリ、フランクフルト(隔年に交互に開催)とジュネーブが欧州の三大モーターショー(車の見本市)。この中でジュネーブは、スイスには自国に大手メーカーがないこともあって、全てのメーカーが公平な扱いを受けられると、自動車業界から高い評価を受けている。また、展示も「コンパクトで見易い」と評判だ。規模は他の二つよりも小さくとも世界中から注目を集めるモーターショーとなっている。
 今年は、30カ国から900の車種が展示され、150の新車が発表される。内容は、自動車、自動車部品、製造関連機、自動車補修用品など全般をカバーしている。各メーカーとも欧州市場に参入するための新車やコンセプトカーを出展し、メーカーのイメージ作りをする。昨年は11日間で小都市ジュネーブに東京モーターショーの半数以上に当たる70万人が訪れた。

コンセプトカー

 未来の車をイメージするコンセプトカーでメーカーは自社のイメージを売り込む。トヨタ自動車は燃料電池を使用したスポーツカー、「ファインS」を出展した。燃料電池は水素から作られる燃料で水が排出されるだけの環境にやさしい車だ。日産のコンセプトカー「Evalia(エヴァリア)」は電子レンジと冷蔵庫が内蔵された家族向けの整備を持ちながら、見た目はスポーティなデザイン。前部座席と後部座席のドアが観音開きになっているという未来の車らしい設計だ。真中のピラー(前部座席と後部座席の間にある金属製の仕切り)がないため出入りがし易く、空間が大きく感じられる。実用性とかっこよさを満たす若いファミリー層をターゲットにしている。

ヨーロッパ市場に進出する日本車のチャレンジ

 輸入規制があり、自国の自動車メーカーが強い欧州に日本のメーカーが参入するのは難しく、現在の市場のシェアは全体の10%弱に過ぎない。この市場に挑戦するため、ホンダは今回初めての自社開発で2,2Lの排気量のディーゼルエンジ「i-CTDi」を出展した。どのメーカーも「欧州で商売するにはディーゼルエンジンがないと話にならない」という。実際、欧州メーカーの売上の40%以上はディーゼル車で、燃費が良く、静かなディーゼルエンジンの開発が進んでいる。欧州日産広報部の小川さんは「日本ではNOx(窒素酸化物)の排気量を問題にするが、欧州では二酸化炭素(CO2)の排出を気にする」といい、日産はルノーからディーゼルエンジンの供給を受けて対応していると説明する。欧州は車の90%がマニュアル車で、車両の後部が開くハッチバックの車に人気があり、日本とはかなり趣向やニーズが違う。トヨタなどは欧州戦略車として新型モデルの「アベンシス」を発表。欧州向けに欧州で造られたモデルだ。今後、このように違った環境とニーズにどう対応するかが日本メーカーのチャレンジになりそうだ。

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SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

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