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「アジアのトラ」アルプスを越える

メスが長い鼻で刺し、血液を吸う

悪性のウイルス性疾患を伝染させ得る、「アジアのトラ」と呼ばれる蚊がアルプス北部のスイスでも発見された。

このコンテンツは 2007/12/03 10:25

アールガウ州で発見されたこの蚊は、同州に侵入した例外的なケースなのか、それともすでに広く繁殖しているか否かの結論を出すのは早すぎるというのが、連邦保険局 ( BAG/OFSP) の立場だ

バーゼルの「スイス熱帯研究センター」のジョナス・ブルーム氏によれば、今回発見された蚊が、デング熱やチクングニアなどの病気を伝染させる種類の蚊であるという確証はないという。またいずれにせよ冬に入り、こうした病気がはやる危険性も少ないという。

伝染病の危険性は低い

「アジアのトラ」とこの蚊が呼ばれるのは、足と胸部にまだらな線があるからだ。また、もともと生息地域は南東アジア。ヨーロッパでは1993年にイタリアで初めて発見された。スイスのティチーノ州はただちに監視と侵入を防ぐ体制を取ったが、2002年同州でも発見された。

ブルーム氏は、
「アジアのトラはかなり以前からヨーロッパ、とくにイタリアに生息している。そして何年にもわたって何の問題も起こさなかった」
と言い、

「昨年イタリアでチクングニアという、高熱を引き起こす伝染病に250人がかかり、1人死亡した。理論的には、同様の伝染病がスイスでも発生し得るが、その危険性はかなり低い」と保証する。

200メートル以上飛べないこの蚊が、世界中に広まった一つの理由は、世界中に行き渡っている中国製の古タイヤが媒介したからではと専門家はみている。またブルーム氏は地球温暖化も繁殖地域の拡大に一役買っているとみる。

さらにこの蚊は、一度住み着くと駆除が容易ではない。雌は、数日おきに150個の卵を産むだけでなく、産卵にはほんの僅かな水があるだけで十分だという

チクングニア、デング熱にはワクチンがない

アジアのトラは、日本脳炎、チクングニア、デング熱などの病気を伝染させ得る。ヨーロッパでは以前経験したことのないこれらの病気を、この蚊が伝染させる可能性はある。

こうした伝染病の主な症状は、高熱、関節の痛み、頭痛、筋肉痛,発疹などが数週間続くこと。チクングニア、デング熱にはワクチンがなく、連邦保険局は2008年1月からチクングニアにかかった場合は報告することを医師に義務付けている。

「この報告の義務付けで、状況がさらに明らかになる。ただ、医師たちが診断を誤まらないこと、またチクングニアの特別な血液検査を行う時期を誤まらないことが大切」とブルーム氏は注意を促した。

swissinfo、トマス・ステファンス 里信邦子 ( さとのぶ くにこ ) 訳

「アジアのトラ」

この蚊は足と胸部にまだらな線があることが特徴。

もともと東南アジアが生息地だが、1985年からアメリカ南部にも住み着いており、2007年には、ニュージーランド、カナダ東部、12のヨーロッパの国々で見つかった。

2~10ミリメートルの体長。ほかの蚊と同様、メスは長い鼻をもっており、卵を産むため血液を必要とする。一方オスは、ヒトを刺すことがなく、花の蜜で生きている。

メスは水の近くに産卵し、ほかの蚊のように水の中に直接産卵しない。

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