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「ジャンクフード」にキックオフ!

スイスの子どもの5人に1人が太りすぎだ。ヨーロッパでも肥満児は2000万人を越える。現在、ジャンクフードに関するテレビCMは世界中で批判の的だ。そこで今回、13人のサッカー選手たちがグラウンドを離れ、手作り料理のレシピを披露してファストフードに対抗する。

このコンテンツは 2008/12/14 15:25

16歳未満の子どもたちを不健康な食事から守ろうと、スイスでは4つの消費者団体がテレビCMの一部規制を求めている。このキャンペーンは国際的な消費者組織「国際消費者機構」の支援下にあり、今春、最終要綱をジュネーブの世界保健機構に提出する意向だ。

非協力的な政府

消費者保護基金 ( SKS ) はスイス連邦政府の方針転換を期待しているが、今までのところそのような動きは見られない。連邦健康局 ( BAG/OFSP ) は、当面、食品関係の宣伝規制を実施する意志はないという。つまり、消費者と企業の自己責任というわけだ。
「政府のこうした対応には驚かされるとともに失望させられます」
と、SKSの会長シモネッタ・ソンマルガ氏は不満を語る。子どもの肥満が非常に大きな健康問題の1つになっている今、
「当然、このキャンペーンには健康局の協力も必要なのです」
と主張する。

しかし、このキャンペーン活動が国際的な広がりを持っていることから、望みはまだあるとみている。さらに、他国政府の方が「スイス政府よりも理解を示している」ともいう。肥満児の健康問題は社会全体の問題であり、そして何よりも金銭的な負担が大きいため、
「だからこそ、政府の合意を得る必要があるのです」
とソンマルガ氏は訴える。

パスタ カンナヴァーロ風

ところで、このジャンクフード反対キャンペーンをサポートしようとする動きが、まったく別の方面から始まった。欧州連合 ( EU ) の支持を得た欧州サッカー連盟 ( UEFA ) と世界心臓連盟 ( World Heart Federation ) が、今をときめく13人のサッカー選手 ( 3人は女子サッカー選手 ) と共に料理の本『イート・フォー・ゴールズ ( Eat for Goals! ) 』を出版した。5歳から11歳までの子どもを対象にしたこの本には、「健康的な生活を送るには健康的な食事が基本」というメッセージが込められている。

「パスタ1袋、トマト6個、ナス2個、黒オリーブ12粒、オリーブオイル大さじ4杯、バジル、ケイパー、玉ねぎ2個、ニンニク4片」という具合に「パスタ・アラ・シチリアーナ ( シチリア風パスタ ) 」のレシピを披露するのは、ワールドカップで優勝したイタリア代表チームのキャプテンで「レアル・マドリード ( Real Madrid ) 」のメンバーのファビオ・カンナヴァーロだ。脂肪分が低く、簡単なレシピだ。

ほかにも、料理をしたことがない子どもたちが簡単でおいしく、体に良い料理を作れるように、「バルセロナ ( Barcelona ) 」のティエリ・アンリとカルレス・プジョル、「レアル・マドリード」のルート・ファン・ニステルローイ、「バイエルン・ミュンヘン ( Bayern München ) 」のルーカス・ポドルスキーとミラスロフ・クローゼのようなトップスター選手が、13種類のメニューを詳しい食材リストと丁寧な解説で紹介している。「リバプール ( Liverpool ) 」でキャプテンを務めるスティーブン・ジェラードはこの本を手に取り、
「小さなサッカー選手やサッカーファンがこの本を読めば、チャンピオンがどんな食事をしているかが分かる」
とUEFAに語った。

断わった選手はゼロ

今回の13人の選手の選考について、UEFA社会事業担当責任者のパトリック・ガッサー氏は
「協力を拒否した選手は1人もいませんでした。企画内容に適したクラブチームから選手を選び、コンタクトを取りました。比較的簡単にこの料理の本が出来上がりました」
と言う。

選考の段階でヨーロッパを代表する選手に絞ったという。もっとも、スイス人選手は1人もいない。トランキロ・バルネッタが「マクドナルド ( McDonald's ) 」のCMに出演しているからだろうかと聞くと、ガッサー氏は笑って、
「まったく関係ありません。UEFAには53の加盟国があります。各国から1人ずつ選出していたら、今回の企画には多すぎたと思います」
と語った。

マクドナルドを圧迫

肥満対策キャンペーンは複数展開されている。また、ヨーロッパでは2000万人以上の子どもが肥満だという事実が、巨大ハンバーガーチェーン店「マクドナルド」に圧力をかける。イギリスでは、脂肪分の高い食品のテレビCMに対する法律規制をさらに強化した。現在、特に子供向け番組を対象に、ファストフードの宣伝規制を求める声が世界中に広まっている。また、近年世界中で多く見られるようになった病気には肥満が関係しているという世界保健機構 ( WHO ) の報告を受け、各国政府の健康局や予防医学者がマクドナルドに対しさらに厳しい目を向けている。

ところが、マクドナルドの顧客数は毎日5600万人以上に上り、売り上げは伸びる一方だ。2008年の第3四半期は、売り上げが6%の増加を見せた。しかし、世界に君臨するこのハンバーガー帝国は、脂肪分の高い食事に対する国際的な反対運動で随分と批判を浴びている。もしかしたら、カンナヴァーロ、ジェラード、ファン・ニステルローイ 、アンリ、クローゼ、ポドルスキーといった料理のできるサッカー選手を恐れるのは、ゴールキーパーよりもマクドナルドかもしれない。

swissinfo、ジャン・ミシェル・ベルトゥー 中村友紀 ( なかむら ゆき ) 訳

肥満撲滅キャンペーン

6時から21時までのテレビCMの規制、インターネットやSMSのような新型メディアによる宣伝規制を消費者団体が要求している。
学校、子どもが頻繁に訪れる場所での宣伝規制、プレゼント商品や子どもたちが集めたがるおまけ商品を使っての宣伝活動の規制も含まれる。
また、有名人、漫画のキャラクターを使った宣伝の規制も求められている。

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政府の介入に先駆け

スイスには2007年末から、大手食品会社11社が共同で定めた「節度ある宣伝活動」に関する規準がある。消費者保護基金 ( SKS ) が望むような連邦政府による統制に先手を打った形だ。
また、ネスレ ( Nestlé ) 、バーガーキング ( Burger King ) 、コカ・コーラ ( Coca-Cola ) 、クラフト・フーズ ( Kraft Foods ) は、12歳未満の子どもに対しては、国際基準を満たしている栄養価を含む商品のみを宣伝することを義務付けた。これは欧州連合 ( EU ) 加盟国が対象とされているが、例えばクラフト・フーズの場合はスイスでも行っている。
しかし、SKS会長ソンマルガ氏は、企業によるこれらの措置には全然効果がないという。実際はまったく逆の方向に進んでいる。子どもに向けて発せられるファストフードの宣伝は過激になるばかりだ。

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3カ国語で出版

『イート・フォー・ゴールズ! ( Eat for Goals! ) 』は5歳から11歳までの子どもたちが対象で、ファルケメディア ( Falkemedia ) からドイツ語、英語、フランス語で出版されている。
スイス、ドイツ、オーストリア、リヒテンシュタインでは、10月末に発売開始。
1冊の売り上げにつき1ユーロ ( 約118円 ) が世界心臓連盟 ( World Heart Federation ) が運営する子どもの健康を支援するプロジェクトに寄付される。

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