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#ドローン最前線 地震の後でドローンが救援に?

Portrait of Davide Scaramuzza with a flying drone

スカラムッザ氏(写真)は、建物の中を自律飛行し、被害状況の地図を作成し生存者を見つけることができる敏捷な小型ドローンは、捜索救助隊にとって大きな助けになると確信している

(Meinrad Schade)

ダヴィデ・スカラムッザ教授は、カメラとセンサーを搭載し、危険で予測不可能な捜索救助活動の場で活躍する自律飛行ドローンの開発を行っている。自律飛行ドローンの最も将来性のある活用法とリスクについて教授に聞いた。

 個人的な使命感

 私が自律飛行ドローンに取り組んでいる理由は二つある。一つ目は個人的な理由で、私が地震で大きな被害を受けたイタリアのウンブリア地方出身だということだ。この数十年間で、アマトリーチェのような中世から続く村がいくつも壊滅的な打撃を受けた。私の町は幸いにも無事だったが、人命救助に役立つロボット技術を開発したいという思いは常にあった。

ダヴィド・スカラムッザ氏は、チューリヒ大学(UZH)情報科学部のロボット工学・認知学教授。チューリヒ大学と連邦工科大学チューリヒ校の神経情報科学研究所が行う共同プロジェクトに参加している。 

イタリア出身で、連邦工科大学チューリヒ校でロボット工学とコンピューターによる画像認識を専門として博士号を取得。スカラムッザ氏は移動ロボットの運転ソリューション開発プロジェクト「チューリヒ・アイ(Zurich Eye)」の共同設立者でもある。このプロジェクトは2016年に、フェイスブック・オクルス・スイス社に買収された

(swissinfo.ch)

二つ目の理由は、捜索救助活動がロボット工学の中で最も難しくやりがいのある問題だということだ。がれきなどがあふれる非常に複雑な環境でも飛行できるドローンを開発できれば、他のさまざまなロボット工学上の問題も解決できる。私が作りたいのは、非常に小型で相互通信が可能であり、建物の中に送り込んで生存者を捜索できるドローンだ。 

私の研究室では、ドローンが隙間空間を認識し、あらゆる障害物を避けて飛行しながら地図を作成できるような内蔵カメラを使っている。例えば地震の後では以前の地図が使えなくなっている場合があるため、地図の作成は救助活動にとって非常に重要だ。ドローンが、周囲の状況と被災者の位置を示す写真のようにリアルな立体地図を作成できれば、捜索救助隊は活動をより効率的に計画できる。 

「鷹の眼」を持つドローン 

動物にはできて、ロボットにはできないことをクリアするドローンが欲しい場合、どうしたらよいだろう?その場合、人間や動物の能力を超える眼が必要となり、まず三つの難関をクリアしなければならない。超高速で、ブレがなく、ダイナミックレンジが非常に高い(薄暗がりでも非常に明るい場所でも見ることができる)センサーだ。 

チューリヒ大学の私の学部他のサイトへで4年前から取り組んでいる「事象カメラ」という新種のカメラは、これらの問題全てを解決すると期待している。事象カメラはスマートピクセルを備え、各ピクセルは明度の変化があるたびに反応する。得られるのは画像ではなく、その場で動いているもの全てに関する情報だ。つまり、事象カメラは運動センサーだと言うことができる。 

事象カメラは障害物を避けるのに役立つ。普通のカメラでは1秒当たり100回程度までの運動しか検出できないが、事象カメラでは1秒当たり100万回の速度で検出できる。暗い場所では普通のカメラでは何も見えないが、事象カメラでは質感を捉えることができる。そのためドローンは衝突せずに飛行できるのだ。私たちは昨年9月、事象カメラ搭載のドローンの初の自律飛行他のサイトへを行った(下の動画)。

この素晴らしい技術はドローン以外にも応用できる。まだ記憶に新しいと思うが、2年前のテスラ車の初の死亡事故は、強い太陽光のもとで白いトレーラーがテスラの前を横切ったため、カメラが背景とトレーラーの違いを判断できなかったことから起きた。こういった新種のカメラを使えば、そのような問題はもう起きない。

drone video

Video of first drone flight with an event camera

ドローンについてもっと知りたいですか?

技術から規制まで、ドローンについての基礎知識ミニ講座他のサイトへはこちら

他にも知りたいことがある方は、下のコメント欄でお知らせ下さい。

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自律ロボットの製造

今存在する商業用ドローンはGPSを使って飛行する。これは戸外でしか機能しない。生存者を探すためなどの目的でドローンに屋内を飛行させる場合は、捜索救助隊は自分の目で常にドローンを追うか、またはFPV(一人称視点)ゴーグルを使うなど、VLOS(目視内)で行わざるを得ない。問題は、調べなければならない部屋がいくつもある建物の中では目視はうまくいかず、また50〜100メートル離れるとFPVの接続ができなくなることだ。この理由から、目視できない場所でも、無線通信ができなくても、完全な自律飛行ができるドローンが必要とされる。 

私の研究室では、人工知能(AI)を用いた取り組みを行っている。これはロボットの新しいプログラミング方法だ。ロボットをプログラミングするには通常、あらゆる状況を想定してどのように行動すべきかを、何千行ものコードを書いてロボットに教えなければならない。 

この数年間で、人工神経回路網が開発された。これらの回路網では、ロボットに従わせる指示のコードを書くかわりに、ロボットに例を用いてタスクを解決する方法を教える。例えば、ロボットに隙間空間を認識させるために、何千、いや何百万という隙間の画像を見せて訓練する。そうすれば、アルゴリズムが単に長方形の空間だけでなく、あらゆる種類の隙間空間に対応できるようになる。 

A room where drone prototypes are trained and tested at the University of Zurich

スカラムッザ教授が大学の一室で行っている実験。模様入ったじゅうたんの上に箱などを置いて、ドローンが障害物を避けながら周囲を察知できるかテスト飛行を行う

(swissinfo.ch)

「ドローンの国」スイス 

スイスはドローンの国だ。ドローン企業が約80社、ドローンのスタートアップ企業が約40社あり、スイス連邦科学基金(SNSF)とスイスの技術革新機関イノスイス(Innosuisse)からの多大な支援のおかげで、非常に環境が整っている。これらの機関の技術移転支援によって、この10年でスイスはドローン研究と産業の最前線に躍り出た。 

もちろん規制の壁はあるが、私の意見ではスイスは小国であるために(ドローンの規制に関しても)最前線にあると思う。それに連邦運輸省民間航空局とは意思疎通が非常にうまくいっていて、航空局は新しい分野への応用に積極的だ。すでにスイスではVLOS(目視内)の範囲を超えて人々の頭上を自律飛行することを認められた会社が2社ある。1社はメテオマティックス社他のサイトへで、気象観測の気球の代わりに、ドローンを使うというものだ。もう1社はマターネット社他のサイトへで、輸送ハブから最終届け先までの配達業務他のサイトへを行っている。 

ドローンに関して、一般に最も懸念されているのはプライバシーの問題だ。ドローンが一切データを保存しない限り、問題はない。しかしデータをドローン本体やサーバーに保存する場合は、顔やナンバープレート、家の番号といった慎重に扱うべきデータを全て確実に消去しなければならない。 

正直に言って、安全性についてはそれほど心配されていないように私には思えるが、実は心配するべきだ。時々、ジョギングしている人の頭上の非常に低い位置でドローンを飛ばしている人を見かけるが、ジョギングしている人は気にしていないようだ。ドローンのローターに保護リングが装着されていない場合(これは違法だが)、そのドローンに近づき過ぎると、怪我をする恐れがある。特に目が危ない。場合によってはパラシュートか、エアバッグまで必要になるかもしれない。 

6月に出席した世界経済フォーラムのドローン革新者ネットワーク他のサイトへでは、エアバス社のプレゼンテーションで、2035年までにチューリヒの上空を2千台のドローンが飛んでいるという予測が出ていた。そうなると、衝突を避けるために非常に正確な航空管制システムが必要になる。つまり、インフラ整備をしなければならない。

未来の娯楽? 

私たちは自律飛行ドローンレースにも取り組んでいる。将来的にこれが娯楽の一つとなると予想している。自律走行レーシングカーの開発コミュニティーもあるが、私たちはインテルの支援を受けたプロジェクトで、自律飛行レーシングドローンも開発している。ドローンレースで最高の人間パイロットに勝つのが目的だ。 

このプロジェクトはロボット工学における挑戦だ。もしもドローンを超高速で決められたコースに沿って飛行させ、人間のパイロットに勝つという難題を解決できるならば、それは自動的に、特に複雑な状況下での捜索救助活動にも役立つことになるからだ。それが私たちのやる気の原動力になっている。

「航空の未来 ドローン最前線」 

「航空の未来 ドローン最前線」他のサイトへは、スイスネクス・ボストン(が創設し主事を務める現在進行形のイベントシリーズで、専門ドローン技術の採用と導入が進んでいる中、それに伴う政策と社会の変化を検討することを目的としている。スイスインフォはスイスネクス・ボストンとの協力のもと、「航空の未来」シリーズと関連した出来事や話題についての記事を配信する。ソーシャルメディア上ではハッシュタグ#DroneFrontier他のサイトへで本シリーズをフォローできる。

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(英語からの翻訳・西田英恵), swissinfo.ch

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