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2008年夏季五輪も歴史の1コマに

色彩豊かなゴージャスな別れ Keystone

閉幕式が行われた北京のナショナルスタジアムには24日、まだ北京に残っていた参加国・地域の選手たちが最後に一堂に会した。スイスの旗手は、銅メダルを取った柔道のセルゲイ・アシュワンデンが務めた。

「鳥の巣」はこの夜、再び未来を思わせる多色多彩なパフォーマンスに渦巻いた。完璧な組織で幕を閉じた大会だったが、人権侵害の暗い影はやはり消えることがなかった。

満足

 この大会で中国はおそらく望んでいた物をほとんど手に入れたのではないだろうか。中国人選手は数多くの種目で他を圧倒し、史上最多の金メダルを獲得した。すべての競技はほぼ完璧に組織され、天気の崩れた日はあったものの、大気汚染も心配されていたほど大きな影響を与えることはなかった。中国は400億ドル ( 約4兆4000億円 ) を超える投資で、自国の強さと能力を誇示することに成功したというわけだ。

 胡錦濤国家主席は、北京オリンピックの成功は中国人や世界中の人々の努力の賜物だと褒め称えた。
「北京オリンピックは連帯と友好、そして平和というオリンピック精神を促進させた。また、中国と他の国々の間の相互理解と友好を高めた。この17日間は刺激的で素晴らしい時間だった」

 国際オリンピック委員会 ( IOC ) のジャック・ロゲ会長もまた、
「非常に満足だ。この2週間に成し遂げられた偉業は、この先ずっと忘れられないはず」
 と述べた。

批判

 しかしロゲ会長とIOCに対しては、報道の自由や体制批判者の拘留について消極的な姿勢しか見せなかったと人権グループから批判が続いた。北京市内に作られた「抗議ゾーン」は、認可が下りなかったため、結局一度も利用されることがなかった。

 にもかかわらず、IOCはこの先も五輪開催国の内政に干渉するつもりはないという。
「われわれは主権国家に変化を強制することはできないし、世界中の疾患を治すこともできない。だが、スポーツを通じてプラスとなる変化を起こすことはできる」

 ロゲ会長はまた報道の自由について、
「大会開催中には外国人報道陣に対する規制が緩和されていたが、完璧ではなかった。それでも以前と比べると基本的な改善が見られる」
 と述べ、大会後さらに報道の自由を拡大するよう中国政府に求めた。

 オリンピックの間は、2万人を超えるジャーナリストがある程度自由に中国国内を動き回っていた。しかし、報道の規制を批判する声は多く聞かれた。中国の外国人報道者連盟によると、この数週間で仕事を妨害されたジャーナリストは30人以上に上った。また、「国境なき記者団 ( RSF ) 」は、大会中100人を超えるジャーナリスト、ブロガー、体制批判者が拘束、有罪判決、検閲、監視、あるいは脅迫を受けたと発表した。

 スポーツ自体にも問題は残されている。最大の問題はドーピングだ。この問題が落とす影は大きく、そのおかげで陸上のウサイン・ボルトや水泳のマイケル・フェルプスなど、北京大会で大活躍した両選手の成績を疑問視する人も少なくない。

swissinfo、外電

第29回オリンピック競技大会は2008年8月8日から24日まで北京で開催された。

夏の大会がアジアで開催されたのは44年前の東京大会、20年前のソウル大会に続いて
これが3度目。

第30回オリンピック競技夏の大会は2012年にロンドンで開催される。

1. 中国 ( 金51、銀21、銅28、計100 )
2. アメリカ ( 金36、銀38、銅36、計110 )
3. ロシア ( 金23、銀21、銅28、計72 )
4. 英国 ( 金19、銀13、銅15、計47 )
5. ドイツ ( 金16、銀10、銅15、計41 )
6. オーストラリア ( 金14、銀15、銅17、計46 )
7. 韓国 ( 金13、銀10、銅8、計31 )
8. 日本 ( 金9、銀6、銅10、計25 )
9. イタリア ( 金8、銀10、銅10、計28 )
10. フランス ( 金7、銀16、銅17、計40 )
11. ウクライナ ( 金7、銀5、銅15、計27 )
12. オランダ ( 金7、銀5、銅4、計16 )
13. ジャマイカ ( 金6、銀3、銅2、計11 )
14. スペイン ( 金5、銀10、銅3、計18 )
15. ケニア ( 金5、銀5、銅4、計14 )

34. スイス ( 金2、銀0、銅4、計6 )

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