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よみがえるモーリス・ベジャールの「魔笛」

現代バレエの巨匠、故モーリス・ベジャール氏。彼の精神は今でもローザンヌで継承される。
現代バレエの巨匠、故モーリス・ベジャール氏。彼の精神は今でもローザンヌで継承される。 ©BBL_Philippe Pache

ローザンヌには、クラシック・バレエの革新者と言われ、20世紀の振付師でも最も偉大な巨匠、モーリス・ベジャールの足跡が残る。生前のベジャールのもとで踊りの指導を受け、彼が振付をした「魔笛」を踊るバレエ団「ベジャール・バレエ・ローザンヌ」のダンサーらに、ベジャール特有のスタイルについてインタビューした。

 モーリス・ベジャールの逝去から10年。今、彼の作品がローザンヌでよみがえった。自身のダンサー人生をベジャールと共に過ごした、ベジャール・バレエ・ローザンヌの芸術監督ジル・ロマン氏は、モーツァルトのオペラ「魔笛」の台本と音楽に深い敬服の念を持ちながら、ベジャールが振付をしたバレエ作品「魔笛」の魅力を再び際立たせている。

 ロマン氏は、ベジャールによる異なった「魔笛」の振付を「研究」し、この演目を再現しているという。ロマン氏は当時、バレエ作品「魔笛」の創作に立ち会っていた。そのため、今日、彼が望んでいたものを感じ、自分の目を通しながら、ベジャールの作品を伝えることができると語る。
 
 ロマン氏によると、ベジャールはダンサーによって常に変化する幅広い振付をした。「魔笛」では、「歌の線上に延びる動きがある」と説明する。ベジャールは、彼独特の世界を創造し、時にはその才能を音楽の最高傑作に使って、自分のメッセージを伝えた。その一つが、モーツァルトのオペラ「魔笛」だった。

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 ダンサーの身振りは、モーツァルトの楽譜に忠実に沿った音楽の延長線上にある。例えばそれは、主題のフルート(笛)のように、不思議な現象と儀式的な象徴を統合しているのだ。

 べジャール・バレエ団のダンサーたちは、歌声と感情に添いながら、観客に共感を呼び起こす振付をしたベジャールのもとでの「ユニークな仕事」について振り返る。

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  ベジャールは、ヨーロッパの枠を越えた振付家で、常にユニバーサルな見方を持っていた。スイスだけではなく、世界的にも名を知られたベジャールが残したものは、アジアにまで広がっている。

 国際色豊かなダンサーで構成されるベジャール・バレエ団は今秋、ベジャールのアイデアや発想に大きな影響を与えた日本へと旅を続ける。

 モーリス・ベジャール(1927-2007)略歴

フランス人ダンサー、振付師。本名モーリス・ジャン・バーガー

1945年、マルセイユ・オペラ座に入団
1955年、エトワール・バレエ団を設立
1960年、20世紀バレエ団設立
1960-87年、ベルギー王立モネ劇場ディレクターに就任
1987年、スイスに拠点を移し、バレエ団「ベジャール・バレエ・ローザンヌ」を設立
1992年、ミシェル・ガスカル氏と共に若手ダンサーのためのルードラ・ベジャール・バレエ学校を創設
2002年、若手ダンサーのためのバレエ団「カンパニーM」を設立
2007年11月、スイス・ローザンヌで死去

モーリス・ベジャールは140を超える作品の振付をした。

代表的な作品:春の祭典(1959)、ボレロ(1960)、ベートーヴェンの交響曲第9番(1964)、現在のためのミサ(1967)、火の鳥(1970)、レニングラードの思い出(1987)、ピアフ(1988)、中国の不思議な役人(1994)、ダンスの愛(2005)、80分世界一周(2007)など

モーリス・ベジャール振付「魔笛」の公演

6月14日からローザンヌで公演外部リンクされている。

日本では、11月17~19日に東京文化会館で、11月28日には兵庫県立芸術文化センターで公演される。

その他、ベジャール・バレエ・ローザンヌの日本公演では、「ボレロ」や「ピアフ」などの演目も予定されている。

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