世界経済フォーラム(WEF)が26日に発表した世界各国の「男女格差指数2016」によると、教育や健康の分野では男女の格差が縮小したのに対し、「経済活動への参加と機会」においては2008年以降、男女平等の進展に低迷が見られる。「政治への参加」は、依然として格差があるものの、世界全体では改善が見られる。
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横浜市出身。1999年からスイス在住。ジュネーブの大学院で国際関係論の修士号を取得。2001年から2016年まで、国連欧州本部にある朝日新聞ジュネーブ支局で、国際機関やスイスのニュースを担当。2016年からswissinfo.chの日本語編集部編集長。
スイスは調査対象144カ国のランキングで11位。前年より3位順位を下げ、惜しくもトップ10入りを逃した。
政治への参加が高く評価されて15位、経済の分野が30位となった。ただ、前年から改善は見られたものの、健康の分野は61位、教育の分野は72位と両分野は中位にとどまった。
女性の国会議員や閣僚が多いことに加え、女性の労働参加や男女の所得格差が少ないことで高い評価を得た。また、識字率と高等教育における就学は、両項目とも1位にランキングされた。
一方、日本は前年より順位を10位下げ111位となった。
健康の分野は順位を上げて40位、教育の分野は中位の76位だが、経済の分野が118位で政治の分野が103位に位置づけられた。
女性の教育参加に改善が見られたが、男女の所得格差が広がり、女性の国会議員が少なく、専門的・技術的労働者の男女比率が拡大していると評価された。
世界ランキングでは、1位はアイスランド、2位はフィンランド、3位はノルウェーと北欧諸国が上位を占めた。また、ドイツ13位、フランス17位、英国20位、米国45位、中国が99位、韓国が116位だった。
世界経済フォーラム(WEF:World Economic Forum)
スイスのジュネーブに本部を置く非営利財団。1971年にスイスの経済学者クラウス・シュワブ氏により設立された。スイスの東部ダボスに世界を代表する企業家や各国の政治家、学者、非政府組織を招いて開催する年次総会「ダボス会議」で知られる。
男女格差指数
世界経済フォーラム(WEF)が、「経済活動への参加と機会」「教育」「健康と生存率」「政治への参加」の4分野において、男女平等の度合いを測定する。
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