スイスの視点を10言語で

10分でわかるスイスの2017年<下>

2017年ももうすぐ終わり。日本語編集部が7月~12月を象徴するニュース、読者に好評だった話題を月ごとに振り返る。下半期は特に、大手スーパーによる合法的な大麻タバコの販売開始、ノーベル賞化学賞および平和賞受賞ニュース、バーゼルの世界遺産登録が話題となった。またネコのブロッコリー准将が多くの読者を癒した。

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7月:スイスで日本ブーム到来、魅力は?

 旅行シーズンが始まる7月。日本語編集部はスイス人の間で日本の人気が急上昇している傾向に注目。その意外な理由を探った。

日本の人気の意外な理由とは?過去記事を読む

また、スイスアルプスに世界最長の歩行者用吊り橋がオープンしたほか、合法の大麻たばこがスイスの大手スーパーで販売開始になったというニュースも話題を呼んだ。

 スイス社会に根を下ろした日本人もいる。ベルンでアルプホルンを路上演奏する日本人女性は、この国の暮らしに孤独を感じていたが、音楽を通して「今ではスイスが好きと思えるようになった」と心のうちを語った。

ベルンでアルプホルンを路上演奏する日本女性とは?

8月:ロカルノ国際映画祭 無名作品を取り上げ続けた70年の歩み

 イタリア語圏のティチーノ州で開かれるロカルノ映画祭。70周年の今年は、自由の精神の下、無名作品を取り上げ続けた映画祭の歴史を写真で振り返った。

 日本の作品では、二ノ宮隆太郎監督の「枝葉のこと」が新鋭監督コンペティション部門に、近浦啓監督の「SIGNATURE」が短編コンペティション部門に入選した。

ロカルノ国際映画祭の70年の歩みを写真で振り返る

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休憩する兵士に目を光らせるネコのブロッコリー准将

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ネコのブロッコリー准将、スイス軍基地で年金暮らし

このコンテンツが公開されたのは、  きゃしゃな体つきに柔らかい毛並み。その体から発する鳴き声は驚くほどやかましい。ドアにはネコが出入りできる小さな扉があるのに、そばに立っている人にドアを開けるよう指示を出す。なんとも厳しいが、階級がものを言う軍隊では当た…

もっと読む ネコのブロッコリー准将、スイス軍基地で年金暮らし

 また、スイス軍基地で悠々自適の年金暮らしをするネコのブロッコリー准将を動画付きの記事で紹介した。ブロッコリー准将は自分のフェイスブックページ外部リンクを持っていて、3500人のファンがいるちょっとした有名人だ。この記事は日本語版でもソーシャルメディアで広くシェアされ、好評だった。

 記事には基地をゆったりとパトロールするブロッコリー准将の映像もある。

9月:24日の国民投票で年金改革は否決、食料安全保障は賛成多数

 日本と同じく高齢化が進むスイス。年金制度の持続性を高めるため、9月24日の国民投票では女性の定年年齢の引き上げ(64歳→65歳)などを盛り込んだ年金改革案の採否が問われた。結果は賛成47.3%、反対52.7%で否決。財源確保のための付加価値税率引き上げも州の過半数が反対して否決された。

政府の抜本的な年金改革案が否決された国民投票の特集記事を読む

 スイスの民主主義を揺るがしかねないニュースもあった。メディア大手「タメディア」が傘下の地域紙14紙の編集部をドイツ語圏・フランス語圏の2部にまとめると打ち上げた。政治・経済・外交についてはスイス全土で同じニュースが読まれることになる。

 スイスインフォでは言論の多様性が危機に晒されていると警告する記事を配信した。

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うつむいて横断歩道を渡る通勤客の写真

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「Karoshi」スイスでもニュースに

このコンテンツが公開されたのは、 NHKの政治部記者の過労死がスイスでも大きく報じられている。月間の残業が最大159時間に及んでいたことに注目し、「Karoshi」との単語とともに日本の長時間労働の問題を取り上げている。

もっと読む 「Karoshi」スイスでもニュースに

10月:スイス人研究者がノーベル化学賞、ジュネーブの核廃絶機関が平和賞を受賞

 今年のノーベル賞の発表ではスイスが相次ぎ注目を浴びた。ローザンヌ大学のジャック・デュボシェ名誉教授ら3人が、生体分子構造を高解像度で見られる「クライオ電子顕微鏡」を開発した功績で化学賞を受賞。平和賞にはジュネーブの「核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)」が選ばれた。

デュボシェ氏らが開発した「クライオ電子顕微鏡」とは?

 電通社員の過労自殺に続き、NHK記者の過労死のニュースはスイスでも話題になった。日本語編集部が配信したプレスレビュー「Karoshi、スイスでもニュースに」では、“日本は長時間労働の国”というイメージがスイス人の間で根強いことが浮き彫りになった。

 ただスイスでも皆がゆとりを持って働けるわけではない。日本語編集部では子供を育てながら働く人々にスポットを当てたシリーズ「スイスの働く親たち」をスタート。家計を圧迫する高額な保育料オペア制度で生活にゆとりを取り戻した家庭を取り上げた。

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アルビエン村

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人口減に悩む山村 移住者に280万円支給、住民も支持

このコンテンツが公開されたのは、 ここ数年、スイスだけでなく欧州全域の山村が人口減に直面している。過疎化に歯止めをかけるため、スイス南部ヴァレー(ヴァリス)州のアルビネン村がある奇策に出た。

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11月:人口減に悩む山村移住者に280万円支給、住民も支持

 スイスの山村では過疎化が進む。各地でさまざまな対策が講じられるなか、移住者1人につき2万5千フラン(約280万円)を支給すると決めたヴァレー(ヴァリス)州アルビネン村の記事は各言語で多くのページビューを集めた。

 昨年の「パナマ文書」に続き、世界のタックスヘイブン(租税回避地)を使った節税・脱税策を明るみに出した「パラダイス文書」。スイスの大手企業や連邦鉄道、元閣僚など大物が、違法経営で有罪判決を受けたアンゴラ系スイス人、ジャン・クロード・バストス氏と関係があることが同文書で明らかになった。

「パラダイス文書」で浮上したスイスの大物たち

12月:バーゼルのファスナハト、世界遺産に

 7日、スイス最大のカーニバル、バーゼルのファスナハトがユネスコ(国連科学文化教育機関)の無形文化遺産に登録された。スイスとしてはヴヴェイの「フェット・デ・ヴィニュロン(ワイン生産者の祭り)」に次ぐ2件目。

バーゼルのファスナハト、世界遺産に登録

 ちなみにスイスでユネスコ世界遺産に登録されているのはベルンの旧市街など11件ある。スイスインフォでは今年6月、これらの世界遺産を写真で巡る記事を配信し、好評だった。

スイスの世界遺産を写真ギャラリーで見る

 16日には世界で最も急勾配のケーブルカーがルツェルン近郊のシュトースに開業。ユニークな車体とともに注目を浴びた。

 スイスろう連盟は今年の手話の流行語大賞に「ロジャー・フェデラー」を選出。フェデラー選手は今年のスポーツ選手大賞も受賞するなど、充実の1年を締めくくった。

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SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

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