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EURO2008 いよいよ明日開幕!

50人を上回る人々が1年以上かけて丹念に作り上げた巨大な有名選手たち Photopress

サッカー欧州選手権「EURO2008」の開幕がいよいよ明日に迫った。各ホストシティは最後の準備を終え、これから3週間「サッカーの祭典」に突入する。街はどれくらい盛り上がっているのだろうか。

チューリヒ市では5月末にファンゾーンの建設が始まり、ビッグスクリーンや観覧車がその大きな姿を現した。沿道には青いEURO2008の旗がはためいている。サッカーボールやスイスの赤い国旗、あるいは参加国の色とりどりの国旗をショーウインドーに飾る店舗も次第に数を増している。

EURO2008とチューリヒ

 湖沿いのベルビュー広場 ( Bellevue ) 近辺にあるファンゾーンは入場無料。ビッグスクリーンを備えた2つの会場はおよそ4万5000人を収容できる。広場から湖岸を町外れの方に向かって歩いていくと、飲食物を売る屋台がにぎやかに軒を並べている。料金は一律で、ビールはどこで買っても5デシリットルが6フラン ( 約600円 ) だ。

 市内の中心部に戻って、観光船発着場からバーンホフ通り ( Bahnhofstrasse ) を歩くと中央駅に突き当たる。バーンホフ通りには高級店が立ち並ぶ。EURO2008にちなんだ装飾を施している世界的に有名なファッションブランドを扱う店もあるが、全体として見れば比較的少ない。

 チューリヒ市長付広報課長のナート・ベヒトルト氏は、
「もちろんEURO2008に向けたデコレーションは行うが、チューリヒの街が持つもともとのキャラクターが失われない程度に抑えている。たとえば、チューリヒ市のカラーは青と白。このような特色は残したい」
 と説明する。

 中央駅の広い構内に入ると、巨大な人影が視界を覆う。身長が17メートルもある11人のサッカー選手が円陣を組んでいるのだ。これはEURO2008の公式スポンサー「アディダス ( Adidas ) 」がPRキャンペーン「ドリーム・ビッグ」の一環で作った像で、ウィーンのプラーター公園には42メートルもの巨大なサッカー選手が立っている。

 チューリヒの11人はそれぞれ、ドイツのバラック、ラーム、オランダのファン・ペルシ、チェコのチェフ、ギリシャのハリステアス、スペインのビジャ、フランスのベンゼマとヴィエラ、ルーマニアのキヴ、オーストリアのイヴァンシッツ、そしてスイスのバルネッタにそっくりだ。毎日、朝8時と夕方6時には、これらのマンモス選手が母国語で気合いを入れるという。

 市内ではまだそれほどの熱気は感じられないが、路上を行き交う人の数は普段より増えているようだ。そろそろ観戦客がスイスにやって来ているのだろうか。

今からでもホテルは取れる?

 チューリヒ観光局のモニカ・テッサロ氏によると、EURO2008開催中、星無しから2つ星の安いホテルはすでにほぼ満室状態。3つ星から5つ星の高めのホテルにはまだ少し余裕があるということだ。

 しかし、観光船発着場からほど近い5つ星ホテル「ボー・オ・ラック ( Baur au Lac ) 」は、チューリヒで予選グループ戦が行われる間はすでに予約でいっぱいだという。マネージング・ディレクターのミシェル・レイ氏は
「EURO2008のおかげで、6月はスイスのホテル業界にとって全体的に素晴らしい月になりそうだ」
 と期待する。EURO2008観戦のために、わざわざアメリカから飛んでくる宿泊客もいるという。

スタジアムへは路面電車で

 チューリヒの市内から少し離れたところにあるスタジアム「レツィグルント ( Letzigrund ) 」でも最後の準備が着々と進んでいる。締めくくりはおよそ1万4000本の案内標識の取り付けだ。大会の間スタジアムを管理する「Euro 2008社」の広報官パスカル・フェゲリ氏によると、約10カ月前に改築されたレツィグルントは芝生の状態も良好。入場客の混乱を避けるため、試合開始の3時間前に門を開け、余裕を持って安全チェックを行えるようにしているという。

 6月7日の開幕戦はバーゼルで行われる。キックオフは夜6時だ。だが、「祭典」はその前日からすでにスタートする。数日前から雨の多い日が続いているが、バーゼルシュタットとバーゼルラントの両州でEURO2008の責任者を務めるハンスペーター・ヴァイスハウプト氏は、
「準備はすべて整い、あとはスイスの人気ポップ歌手が出演する今日のオープニング・コンサートを待つばかり」
 と待ち遠しそうだ。

 気になる空模様。スイス気象台 ( メテオ・スイス ) によると、この先もまだ雨が残るという。だが、晴れ間も見え、気温も20度を少し上回るまで回復する様子。気温とともにスイスの熱気もさらに上昇することを期待しよう。

swissinfo、小山千早 ( こやま ちはや )

推定訪問者数:110万~140万人

ボランティア:800人

ファンゾーン:収容数4万5000人、指定座席数2900席、湖上ホスピタリティ・プラットフォーム収容数750人

ファンマイル:マーケット85軒、飲食スタンド62台、ゴミ箱240個、ペットおよびアルミ回収箱384個

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SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

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