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FIFA会長インタビュー:所属チームの挑戦に挑む

今年100周年を迎えるFIFAのブラッター会長 Keystone

国際サッカー連盟(FIFA、本部チューリヒ)主催による代表チーム選手招集規定を巡り、スイス公正取引委員会は2日、欧州サッカーの有力所属クラブの要請を受けて、FIFAの規定がスイスの独占禁止法に違反しているかどうかの予備調査に踏み切った。選手の過密日程問題はドーピング(禁止薬物使用)にも及ぶため深刻だ。今年100周年を迎えるFIFAはこの難題を乗り越えられるのか。ゼップ・ブラッター会長にswissinfoがインタビューした。

——レアル・マドリード(スペイン)を含む所属クラブで構成されたグループ(G14)は、所属選手が代表チームに出場した場合、金銭的補償をするように求めていますが、FIFAはこれを拒否しています。G14が公取委に訴えたことをどう思いますか。

 遺憾だ。サッカー界で、尊敬の念も規律も失われた証拠だ。

 FIFAは、自分達が主催する国際試合に出場している代表チームには報酬を支払っている。そのお金をどう使うかは代表チームが決めることだ。(G14は)FIFAの規定を問題視しているが、FIFAの規定は欧州連合(EU)の規定とも合致している。EUの規定に従っていて、そこから逸脱することはありえない。

——ドーピング(禁止薬物使用)検査を受けなかったマンチェスター・ユナイテッド(イングランド)の一流選手リオ・ファーディナンドに対して、FIFAは厳しい処分を取りましたが。

 FIFAはドーピング問題を深刻に受け止めている。英国サッカー協会も彼の出場停止8カ月の処分を決めた。彼らの決定は正しいと思っている。ただ、決断が遅すぎた。ファーディナンド選手が検査を受けなかった時点で即刻、処分を科すべきだったと思う。

 FIFAと英国サッカー協会に対して非難が集中したが、最終的にファーディナンド選手はその処分を受け入れた。規則を破ったことを素直に認めてから、同選手の一連の態度はよかった。

 サッカー界で問題なのは、所属クラブがたくさんありすぎて、試合も多すぎるということだ。選手は厳しい過密日程をこなさなければならず、そのため肉体的にも精神的にも消耗しきっている。

 回復する時間もなく、一方でいいパフォーマンスを残すプレッシャーから何かに頼らざるを得なくなってしまう。選手達は自分達の健康にどれだけ害を及ぼすのか理解していないし、だからこそ注意していなければいけない。

——スイスのサッカーは成長していますか。

 スイスサッカー協会の努力で、少年サッカーや女子サッカーの成長が目覚しい。欧州の最終試合に残ったり、アテネ五輪出場を目指したりと奮闘している。代表チームも欧州のベスト16入りを果たしている。

 
 スイス国際放送 アダム・ボーモント   安達聡子(あだちさとこ)意訳

国際サッカー連盟(FIFA)は世界のサッカー界を統括する国際競技団体。

FIFAの加盟国・地域は204にのぼる。

FIFA主催の大会は、4年ごとに行われるワールドカップ(W杯)と、オリンピックのサッカー競技ほか8つある。

会長はゼップ・ブラッター氏(スイス出身)で、2002年に再選された。

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SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

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