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日本の「おしりたんてい」、スイスの「社会福祉探偵」解説に一役

遠い日本では、お尻みたいな探偵も活躍しているよ―。スイス人俳優のドミニク・デビルさんが語りかけると、お行儀良く耳を傾けていた子供たちは大はしゃぎ。スイスの政治問題を子供向けに解説するスイス公共放送の特番に、日本のアニメ「おしりたんてい」が登場した。彼が扮したスイスの「社会福祉探偵」とは―?(swissinfo.ch/SRF)

 ドイツ語圏のスイス公共放送(SRF)の深夜番組「デビル・レイトナイト」は春の特番の一環で、子供向け番組「キンダーシュペツィアル(Kinderspezial)外部リンク」を先月13日に放送。普段は大人向けのエンターテイメント番組だが、この日の特番ではスタジオに集まった未就学の子供たちに向け、スイスの歴史や政治の話題トピックを分かりやすく説明した。司会のドミニク・デビルさんは、スイスで現在議論の的になっている「社会福祉探偵」についても触れた。

「社会福祉探偵」とは

 スイスの連邦議会は3月、障害者を装って障害者基礎年金や保険金を不正受給する人を調査・監視する調査員、通称「社会福祉探偵」に法的根拠を与えるため新法を可決した。

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障害者年金・保険金の不正受給、GPSで追跡可能に

このコンテンツが公開されたのは、 スイス連邦議会は12日、障害者と偽り障害者基礎年金・保険金を不正に受給していると疑われるケースで、対象者の調査にGPS(衛星測位システム)の使用を認めることを決めた。GPSの使用により対象者の現在地を割り出し、行動を特定しやすくなる。使用には裁判所の許可が必要となる。

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反対派は「個人のプライバシーが害される」として、法の発効を食い止めるレファレンダム(国民投票)を提起。7月5日までに5万筆の署名を集めれば国民投票が実施され、投票で否決されると新法は白紙に戻る。

 番組でデビルさんは「社会福祉探偵は、身分証も持たないで監視したり密告したりするよ」と説明した後、「僕は正直、『お尻みたい』に馬鹿げたアイデアだと思う」と子供の笑いを誘った。デビルさんは元幼稚園教諭ならではの巧みな話術で、子供心をがっちりつかんだ。

 番組を制作したアペロ・フィルム外部リンク社のパトリック・カルピツェンコさんは「ユーチューブで探偵に関する素材を探していて、たまたま日本のアニメ『おしりたんてい』を見つけた。子供たちの関心を引くためにはぴったりだと考えた」と話す。吹き替えたおしりたんていの台詞には、「社会福祉探偵」案への痛烈な批判も込めた。収録会場やテレビ放送の視聴者からは「とても好評だった」という。放送後に投稿されたフェイスブックの動画外部リンクは23日までに7千回以上閲覧された。

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SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

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