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スイスの時計メーカーは21世紀を生き残れるか?

記者が一日時計職人 オリジナル腕時計作りに挑戦

腕時計を自分の手で組み立て、1日の終わりには自分だけの時計を持って帰る。このような体験講座を、スイス西部ジュラ州の新興企業イニシウムは、スイス国内外の時計愛好家に提案する。同社のコンセプトに惹きつけられ、多くのライバル企業が現れた。swissinfo.chの記者がイニシウムで腕時計作りに挑戦した。

高級腕時計の愛好者にとって、時計の世界は魅力的だが近寄りがたい砦のようなものだ。時計の国スイスでさえ、初心者が機械式時計のムーブメントを観察し、自分の手で触れることができる機会は滅多にない。 

マチュー・ジガンデさんとジル・フランクフォーさんは、この状況にアイデアを得て、5年前にイニシウム外部リンクを設立した。誰でも参加できる腕時計の入門講座を提供する新興企業だ。

同社の従業員は8人。ジュラ州のル・ノワールモンをはじめ、ジュネーブやチューリヒ地方に複数の工房を構える。さまざまな半日講座や1日講座を1690~2690フラン(約19万6千~31万2千円)で提供する。受講料は時計込みの値段だ。講座を終えると、自分で(一部を)作った腕時計を持ち帰ることができる。

コロナ危機の打撃

初めはほとんど知られていなかったイニシウムのコンセプトは近年よく知られるようになり、類似の講座を提供する数多くのライバル企業が現れた。フランス語圏のスイス公共放送(RTS)のリアリティ番組「Les Intrépides外部リンク」で紹介されて以来、特に顕著だ。

イニシウムは今、数カ月にわたるコロナ危機で受けた経済的打撃からの立て直しを図っている。ジュネーブにある工房の顧客の半分近くを占めていた外国人観光客の減少によって、スイス時計産業のほとんどの企業と同様に、イニシウムの売上高も大打撃を受けた。

時計業界を専門とするswissinfo.chの記者が1日、時計職人になりきり、「Self Swiss Made」と刻印されたオリジナル時計作りに挑戦した。

(仏語からの翻訳・江藤真理)

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SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

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