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OECDがスイス税制を再び批判

ドイツのペール・シュタインブリュック財務相は税の未払いは経済的にも社会的にも問題と発言 Keystone

10月21日に開催されたフランスのエリック・ブルト予算・会計・公務相の招聘 ( しょうへい ) によるOECDの17カ国の財務大臣会議で、スイスの税制が再び批判された。参加国の大半が、非公正で非協力的な国としてスイスを租税回避地のブラックリストに載せるというドイツ財務相の意見を支持した。

「アメばかり使うわけにはいかない。ムチも必要だ」
 ドイツのペール・シュタインブリュック財務相はパリで開催されていた経済協力開発機構 ( OECD ) の17カ国財務大臣会議終了後の記者会見でこう発言した。

来年にブラックリストを更新

 「スイスにはドイツの納税者に脱税を招くような制度がある。よってスイスは、わたしの見解では、そのような国のリストに属する」。スイスは納税詐欺事件の捜査には協力的だが「ドイツの納税者の詐欺を証明するためには、詳しい情報が必要だ」その情報はスイスが握っているが「スイスは情報を渡してくれない」
 とシュタインブリュック財務相の発言は続いた。

 ヨーロッパ13カ国のほか、オーストラリア、日本、メキシコ、韓国の財務大臣が出席した今回の会議では、OECDの基本原則に従わない国家に対し、一歩踏み出した処置を取ることで意見が一致した。OECDはこれまで、厳格な銀行機密制度を敷いたり、税率が非常に低いかまたは、まったく課税のない国として38カ国を挙げていたが、ブラックリストに載ったのは3カ国だった。この3カ国は金融関連の情報開示がまったくないアンドラ、リヒテンシュタイン、モナコである。

 シュタインブリュック財務相は2009年夏までにブラックリストを更新する意向だと語った。フランスの高官によると、ブラックリストには10カ国以上が掲載される見込みだという。シュタインブリュック財務相はスイスのほか、ルクセンブルク、オーストリアを挙げている。また、ドイツはこの問題については国際協力ばかりではなく国内でも、銀行・保険業界におけるオフショア諸国での子会社設立に対しより厳しく監視するという。

スイス政府静観

 スイスはOECD加盟国ではあるが、今回の会議には出席しなかった。国税局のベアット・フーラー広報担当官はスイスが欠席したことについて、OECDの総会のみを討議の場として認めていることを理由に挙げた。パリの会議はOECD全体の意見からだいぶ離れたものであるとフーラー氏はスイス通信 ( SDA/ATS ) に対し語った。

 スイスの右派各党の代表らは、スイスの税制に対する攻撃は不当だと口をそろえて反発し、銀行の守秘義務を支持した。また、社会民主党 ( SP/PS ) のクリスティアン・レブラ代表も22日のスイス・ドイツ語ラジオ放送で、シュタインブリュック財務相の発言は「極端な発言」だと非難した。

swissinfo、外電

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SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

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