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スイス加盟50年 「欧州評議会は極めてスイス的」

フランスのストラスブールにある欧州評議会は、欧州各国の対話の場だ

(swissinfo.ch)

人権や民主主義など共通の理念の下、ヨーロッパの経済と社会の発展を目指して設立された「欧州評議会」。加盟国間の対話の場であるこの国際機関に長い間携わってきた、チューリヒ大学のダニエル・トゥーラー氏は、欧州議会を「ミニチュアのスイス」に例える。

1945年、スイス東部ザンクト・ガレンに生まれたトゥーラー氏は、チューリヒ大学で国際法、欧州連合(EU)法、憲法学を教える。欧州評議会内に設置された「人種主義と不寛容に反対する欧州委員会(ECRI)」の委員を10年前から務めている。

欧州評議会はEUとは違い、決議は加盟国に対する勧告であり、法的拘束力はない。しかし、政治的もしくは心理的に強い影響を及ぼすことがあると、トゥーラー氏は話す。

swissinfo.ch : スイスが欧州評議会に加盟してから50年が経ちます。加盟していなかったらどうなっていたでしょうか。

トゥーラー : あまり良くなかっただろう。欧州評議会が設立されてから14年後の1963年になって、スイスはようやく加盟したが、これは遅すぎる。欧州評議会は軍事問題とは全く関係がないというのに、我々は第2次大戦後、隔絶と中立という考えに長く固執してきた。歴史を振り返って言えることは、幸いにも当時のスイスが、結果的には欧州評議会に加盟したということだ。

スイスと欧州評議会

スイスは2013年、欧州評議会加盟から50年を迎えた。スイスは1963年5月6日、17番目の加盟国になった。

フランスのストラスブールに置かれる欧州評議会には現在、47カ国(計8億人)が参加。

欧州評議会に設置された議員会議には、スイスから6人の代表が参加。また、地方自治体会議にはスイスの自治体代表6人が参加。欧州人権裁判所にも裁判官1人を送り込んでいる。

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swissinfo.ch : スイスが50年間加盟して得られたものとは何でしょうか。

トゥーラー : あまり実利主義的に考えるべきではないだろう。「こうすることでどんな利益を得られたのだろうか」というような考え方を我々はよくする。国連加盟の際も、スイス人は自問したものだ。「国連に加盟するとどんなメリットがあるのか」と。

ヨーロッパというのは、新しく、政治的で、文化的な「状態」であり、一つの存在形態だ。そこに利益目的なしで所属することは至極当然なことに私には思える。

連邦制の理念をかなり取り入れているという点において、欧州評議会は極めてスイス的であるといえる。EUは対照的に、加盟国間の均一化を強く推し進めている。

欧州評議会は、多元的かつ多言語的な機関であり、スイスと同様、法の理念に重きを置いている。多言語国家であるスイスは、欧州評議会で発言することが多い。(多くのスイス人のように)フランス語、英語、イタリア語などを理解し話せるヨーロッパ人は少ない。

(Ex-press)

swissinfo.ch : では、スイスは模範国なのでしょうか。

トゥーラー : それは少し傲慢に聞こえるかもしれない。あえて言うなら、一種のモデル国だろう。大戦後、「ヨーロッパをスイス化しなくてはならない」と主張する人がよくいたものだ。

私は、そうした考えはモラル的な観点から全く支持しない。しかし、スイスが歴史的に社会的に成長していったプロセスが、ヨーロッパの枠組みの中で今も繰り返されている。

swissinfo.ch : 自国の民主制度を誇るスイスも、欧州評議会から批判を受けたことがあります。やはり、スイスは模範国ではないということでしょうか。

トゥーラー : 欧州人権条約(EMRK)の批准に伴い、スイスはさまざまな点を改善しなければならなかった。スイスが改善に乗り出したのは、EMRKに抵触していた問題を解決する必要があったからだ。

特に問題だったのが、まだいくつかの州では導入されていなかった女性参政権だ。他には、イエズス会を禁ずる例外規定、ミナレット(イスラム建築の尖塔)の建設を禁じる法律、(重罪を犯した外国人に対する)強制送還イニシアチブなどが、欧州評議会から強く非難された。

人種主義と不寛容に反対する欧州委員会(ECRI)

ECRIは1993年、オーストリアのウィーンで設立され、翌年に活動開始。任務は、人種差別、異文化の人に対する敵意、反ユダヤ主義、不寛容の撤廃。人権が守られているかどうかを監視し、加盟国に勧告を行う。

欧州評議会の各加盟国はECRIに代表を出しており、スイスからはダニエル・トゥーラー氏が参加。チューリヒ大学の教授(国際法、欧州連合法、憲法学)を務めるトゥーラー氏は、赤十字国際委員会や国際刑事裁判所でも活躍している。

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swissinfo.ch : 欧州評議会におけるスイスの比重は、本来スイスのような小国に与えられる比重に比べ大きいのでしょうか。

トゥーラー : その質問は、スイス人のメンタリティを映し出している。我々はいつもこう言う。「我々は小国であり、(世界から見れば)何の意味も持たない」。しかし、視線をヨーロッパに向けると、スイスは小国ではないことが分かる。人口的には中間の大きさで、(世界経済における)影響を鑑みれば非常に重要な国だ。

スイスは確実に(世界から重要な国だと)認識される。スイスの影響力は図りにくい。スイスがどの機関に属し、どんな人がその機関で活躍しているかによる。私は、ECRIには独立委員として参加しており、スイスを代表しているわけではない。スイス政府からの指図は受けていない。

私が欧州評議会に幾度も足を向けるうちに確信したことは、スイスは(他国から)歓迎されているということだ。大きな信頼が寄せられている。

swissinfo.ch : スイスはEUに加盟していません。そのことがかえって、欧州評議会への参加に大きな意味をもたらすのですか。

トゥーラー : そうだろう。スイスはヨーロッパの一国、一員としてかなり融合している。しかし、近い将来、EUに加盟することはなさそうだ。それゆえ、欧州評議会や欧州安全保障協力機構(OSCE)などの欧州機関への参加がとりわけ重要になる。

欧州統合には、スイスが貢献できることも多い。ヨーロッパは今後数十年で構造的にもコンセプト的にも大幅に変化する必要があるだろう。我々が常に強調しなければならないのは、国民と政治的権利の意義だ。政治的構造物の国と各国の国民が重要な役割を演じるヨーロッパへと再帰しなくてはならない。

スイスのように、国民が(政治レベルでの)事案決定にも関わることのできる伝統は、ヨーロッパ、いや世界を見てもこのような形では存在しない。参政権も人権の一つだと私は考える。


(独語からの翻訳・編集 鹿島田芙美), swissinfo.ch


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