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当選したオランド氏、一蹴されたサルコジ氏

フランソワ・オランド氏の勝利は、ライバル候補者で現職のニコラ・サルコジ氏に対する国民の嫌悪によるものとの見方が強い Keystone

あまり目立たない社会党党員から、一躍フランス大統領へ。フランソワ・オランド氏の当選に、スイスのメディアでも驚きの声が上がっている。投票の決め手となったのは、現大統領のニコラ・サルコジ氏に失望する有権者の勢いだった。

 仏大統領選が行われた5月6日の日曜日、社会党のオランド氏は51.7%の得票率で次期大統領に当選。社会党が勝利したのは、フランソワ・ミッテラン元大統領が1981年に当選して以来、約30年ぶりのことだ。一方、サルコジ氏は48.3%で敗北を喫した。

 ジュネーブの日刊新聞ル・タン(Le Temps)は「ニコラ・サルコジ氏に対する拒絶反応が露わになった。有権者の多くは、『普通の』大統領候補の呼びかけに好意的に応じた」と分析。

 ドイツ語圏の日刊新聞ターゲス・アンツァイガー(Tages Anzeiger)とデア・ブント(Der Bund)も、5年間大統領を務めたあとにサルコジ氏が残したものは高い失業率と記録的な国の借金だと、現政権を批判した。

 ドイツ語圏大衆紙のブリック(Blick)も「サルコジ氏はエネルギッシュなところが評価を得ていたが、国民から愛されたことは一度もなかった。傲慢でけんか好き、せっかちな性格で、金持ちの肩を持ちすぎる」と辛らつなコメントをした。

試練はこれから

 仏次期大統領に当選したオランド氏には、数々の重い課題が待ち構えている。「フランスはこれまで、自国ではカバーしきれないほどの財政支出を繰り返していたが、こうした問題を議論しようとはしない。オランド氏も選挙戦ではこの問題に触れなかった」と、ベルン州の日刊新聞ベルナー・ツァイトゥング(Berner Zeitung)は指摘する。

 アールガウ州の日刊新聞アールガウアー・ツァイトゥング(Aargauer Zeitung)も、フランスは他の欧州連合(EU)諸国同様、財政問題に一刻も早く取り組む必要があると見る。「オランド氏はフランスの労働市場を刷新し、国の財政を見直さねばならない。言わば、フランスのシュレーダー(ドイツの前首相)になる必要がある」

 一方、「オランド氏の勝利は、(サルコジ氏が主張してきた)予算カットや制度改革を拒絶するフランス国民の意思の表れだ」と、チューリヒ州の日刊新聞ノイエ・チュルヒァー・ツァイトゥング(Neue Zürcher Zeitung)は分析する。「オランド氏は福祉政策を拡大すると公約したが、具体的な財政削減案は提示しなかった。これはヨーロッパにとって危険だ」

 同紙はまた、オランド氏が当選したことで、ヨーロッパの各国は財政改革を後回しにしてもいいと考えるのでは、と危惧している。

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SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

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