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ベネズエラ大統領選に向け ウゴ・チャベス前大統領の功績とベネズエラの未来

(AFP)

ウゴ・チャベス大統領の死去に伴い14日、ベネズエラで大統領選挙が開催される。南米諸国の連合・共同を促しながら、同時にこうした国の自立を指導したチャベス氏。その軌跡と今後のベネズエラの姿を追った。

 チャベス前大統領は、ケベックで開催された2001年の第3回米州首脳会議で孤独感を痛いほど味わったと後に述べている。「米州首脳会議で米州自由貿易地域(FTAA)に反対の手を挙げたのは本当に私1人だけだった」。しかし4年後の第4回米州首脳会議で、アルゼンチン、ブラジル、パラグアイ、ウルグアイそしてベネズエラは、共同でFTAA交渉再開に反対した。 

 この上記5カ国の連帯は、商業的なつながりからというより、連携と共同の理念から生まれている。それは、ネオ・リベラリズムとは異なるコンセプトに基づいていた。アルゼンチンのネストル・キルチネル前大統領は、この第4回米州首脳会議でこう語った。「ネオ・リベラリスムによる政策は、貧困を引き起こすだけでなく、地域に根付いた制度を不安定にする」

 マドリード・コンプルテンセ大学のパブロ・イグレジアス教授は、こうした国々の姿勢を次のように説明した。「南米諸国は、FTAAに反対することで自国の主権を取り戻し、国際的な諸制度に反対できることを示そうとした。そして、『我々は負債を支払わない。なぜなら負債は非合法的に生み出されたからだ。我々は一部の銀行家のために政治を行っているのではない。家族や市民のために政治を行っているのだ』と表明したのだ」

国内外での支援

 中でもFTAA交渉再開に一番強く反対したベネズエラは、アメリカとの貿易を継続しながらも、世界最大の産油国の一つとして中国との貿易関係を強めた。中国はベネズエラの第1の輸出相手国であり、第2の輸入相手国になっている。

 チャベス前大統領は、この豊富な石油を利用して貧困層に家や学校を提供した。その結果ベネズエラは、極度の貧困と飢餓の撲滅、普遍的初等教育の達成などを掲げる国連の「ミレニアム目標」をほぼ完全に行ったと言われる。

 一方対外的にもチャベス前大統領は多大な貢献をした。2010年のハイチ大地震では、アメリカと欧州連合(EU)からの支援を合わせたよりも多くの支援を行った。また、20万人に及ぶ南米の貧困層の老人は、ベネズエラとキューバの医療支援により目の手術を受けている。ニューヨークの貧民街ブロンクス(Bronx)の住民は、2007年から2008年の健康・食糧・教育プログラムで300万ドルの援助をベネズエラから受けている。

 だが、チャベス前大統領の政策を批判する側はこう言う。「前大統領は、他国との連帯や協力関係を石油だけで構築した。エネルギーだけでベネズエラの主権性と正当性を維持した」

ベネズエラの大統領選挙

3月5日のウゴ・チャベス大統領死去に伴い、14日に大統領選が行われる。

7人の候補者が出馬している。

最も有力なのは、チャベス前大統領代行で社会党のニコラス・マドゥロ氏。

現時点の調査では、マドゥロ氏がもう一人の有力候補者エンリケ・カプリレス氏より20ポイント上回っている。

マドゥロ氏は、チャベス前大統領の政治路線を受け継ぐと約束している。それは、安定した生活と低額の家賃、無料の教育を石油の収入で保障することだ。

一方、カプリレス氏はこうした社会保障は継続するものの、私企業の参加を認めるとしている。

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今後の変化

 チャベス前大統領を批判する側の意見はともあれ、大統領亡き後ベネズエラが他国との(特に南米諸国と)関係構築に使う費用を削減することは避けられない道であり、国際政治の舞台で一つのモデル国としての立場は失われるだろうと、ベネズエラのあるメディアの記者は述べている。

 さらに、リンツ大学政治学科のダリオ・アジェリーニ教授によれば、南米諸国が求める利益は今や異なりつつある。従ってチャベス前大統領の悲願であった「21世紀の社会主義構築」に必要な政策は、今後放棄される可能性がある。

 「チャベス前大統領は、南米の統合において中心的な役割を果たしていた。それは多極性を持ったまま、南と南が繋がり合うという形の統合だった」とアジェリーニ教授は言う。しかし、「大統領が亡くなったとはいえ、南米諸国は国家の主権と南米の統合という観点から、さらに政治・経済的自立という観点からも一緒にやっていく可能性は残っている」と続ける。

今後の石油輸出

 大統領亡き後のベネズエラとその周辺諸国を経済的観点から懸念するのは、スイスの連邦経済省経済管轄局(SECO)で南米を担当するフィリップ・ネル氏だ。

 「ベネズエラは南米諸国に特別な低価格で石油を輸出してきた。1日25万バレルを周辺諸国に輸出し、それはこうした国のエネルギー需要の45%を占めていた。ポスト・チャベスの現在、重要なことは今後ベネズエラがこうしたプログラムを継続していくかどうかだ」

 例えばキューバは、ベネズエラの主要な輸出国として1日10万バレルの石油を受け取ってきた。今後新しい大統領による政策変換で一番苦しむことになるのはキューバかもしれない。キューバは、ベネズエラの最良の協力国で前述のように共同で南米諸国の老人医療支援を行ったのみならず、ベネズエラ国内の貧困層の医療を支援し、また文盲の根絶にも協力している。

チャベス前大統領の功績

 前出のアジェリーニ教授は、チャベス前大統領の功績を懐かしむ。例えば、大統領はコロンビアの左翼系反政府組織「コロンビア革命軍(FARC)」とコロンビア政府との和平交渉を仲介。さらに、南米諸国連合(UNASUR)や中南米カリブ諸国共同体(CELAC)といった組織の形成と促進を指導。南米地域の独立を促した。

 2008年コロンビア軍がエクアドル領内でコロンビア革命軍を制圧した。また2012年、パラグアイの評判の悪かったフェルナンド・ルゴ大統領が罷免された。「これらは南米諸国がアメリカやカナダからの介入なしに、自立した形で紛争を解決した例だ。これもチャベス前大統領が形成した南米諸国の連合や共同体に負うところが大きい」


(仏語からの翻訳・編集 里信邦子), swissinfo.ch


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