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メルツ財務相 辞任

メルツ財務相が辞任表明 Keystone

ハンス・ルドルフ・メルツ財務相は8月6日、10月いっぱいで退任すると発表した。7月9日に発表されたロイエンベルガー環境・運輸・エネルギー・通信相に次ぎ、スイス閣僚の相次ぐ辞任となった。7年間財務相を担当したメルツ氏は昨年には輪番制で大統領も務めた。

「夏休みをこの難しい決定に使った」とメルツ氏は発表の記者会見で語った。

非難の末の辞任

 連邦議会は9月13日から開催される定例会でメルツ氏の後任を選出することになる。

 メルツ財務相はUBS銀行のアメリカ法人による主にアメリカ人投資家の脱税ほう助問題で、アメリカ政府との外交が世論やマスコミに非難され続けていた。スイスの銀行の守秘義務に対する国際的非難にも対処が遅かったという非難も受けている。また、リビア国内に拘束されていた2人のスイス人ビジネスマンの解放をめぐる外交も失敗したと非難が募った。唯一評価される功績は、20カ国との個別に結ばれた租税条約だった。

 メルツ財務相は2008年9月、67歳で心臓麻痺で倒れたが、6週間の短期間で復職した。7人の閣僚の中では、ディデエ・ブルカルター内務相と同じく急進民主党 ( FDP/PLR ) 出身で経済界と距離が近いと見られている。

 7月には、環境・運輸・エネルギー・通信相で社会民主党 ( SP/PS ) 出身のモリッツ・ロイエンベルガー氏が今年末の辞任を表明した。来年には総選挙を迎えるが、その前の閣僚の相次ぐ辞任となった。
 スイスの内閣は現在、5つの党の代表で構成されている。急進民主党と社会民主党がそれぞれ2席、中道保守の人民民主党 ( BDP/PBD ) 、キリスト教民主党 ( CVP/PDC ) 、右派の国民党 ( SVP/UCD ) がそれぞれ1席を占めている。長年、辞任した閣僚の出身党員が後を継いできたが、2003年頃からこうした暗黙の了解も破られるようになっている。

ウルス・ガイザー、swissinfo.ch
( 英語からの翻訳 佐藤夕美 )

7人の閣僚は就任後、それぞれ出身の政党との関係は断たれ独立性を保ち、影響しあうことはない。辞任の時期も各人の自由意思で決められる。4年ごとに信任選挙があるのみ。

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SWI swissinfo.ch スイス公共放送協会の国際部

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